【第8号】失敗から学ぶということ

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ども、杉野です。

気分がよかったので、今日も記事を書いてみました(笑)

早速、本編をどうぞ。

 

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第8号 失敗から学ぶということ

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たくさんの失敗を重ねて成功した人物として有名なエジソン
という人がいます。

彼は何度も何度も失敗を重ね、上手くいかない方法をいくつも
見つけることによって、最終的に大きな成功をおさめました。

この話は巷の自己啓発書では、

「だからあなたもたくさん失敗してください」

「そうすればエジソンみたいに成功できますから」

という風に繋げられるワケですが、こんなアホな話を鵜呑みに
しないでくださいね。

そもそもエジソンのやっていたことは厳密には「失敗」では
ありません。

彼が何度も重ねていたのは「検証」です。

この違いが理解できなければ、失敗から学ぶことはほぼ不可能です。

 

検証とは、自分で考えた仮説が上手くいくかどうかを試すことです。

例えばある男子が「バンドをやればモテるに違いない」という仮説を
立てたとしましょう。

彼はモテるために大学で軽音楽サークルに入り、バンドを組みました。

毎日ちゃんと練習もして、それなりに演奏もさまになってきました。

「これで俺もモテモテだぜ!」

そう意気込んで、いざ文化祭でライブ。

しかし、彼のライブを見ている女子は一人もいませんでした。

「なんでモテないんだよぉ・・・」

そこで彼は次の仮説を立てます。

「多分まだ俺はモテるほどには演奏が上手くなかったんだろう」

「もっと演奏が上手くなれば、モテるに違いない」

それから彼は猛練習を始めました。

毎日へろへろになるまでギターを弾き、気付いたときには彼は
大学内で一番ギターの上手い人間になっていたのです。

「これでいける」

そう思った彼は、ここぞとばかりに自分たちでライブハウスを借り、
周りのバンドと対バンのライブを決行します。

・・・しかし。

声をかけてくるのは男ばかり。

みんな彼のことを「ギターが上手い」と褒めてくれるのですが、
またしても女子は寄ってきませんでした。

「一体なにがダメなんだ・・・」

彼は悩みます。

「こんなにギターも上手くなって、バンドの完成度も上がって
きたのに、なんで俺より下手な奴らの方がモテるんだよ・・・」

悩みに悩んだあげく、彼はひらめきました。

「あ、そういえば、あいつらカッコイイ服着てたなぁ」

「もしかして、服装を変えればモテるんじゃないか」

そこから彼の次なる検証が始まります。

彼は今までギターや機材に注ぎ込んでいたお金を、すべて
ファッションに使って、モテる男子と同じような服装にしました。

「さすがにここまでやればモテるだろ」

しかし、そう思ってのぞんだ次のライブでも、彼に声をかける女子は
一人もいなかったのです。

これには彼も絶望してしまいます。

「どうせ俺は根っからのモテない人間なんだ・・・」

「どうせ俺がモテることは最初から不可能だったんだ・・・」

駅のホームでそんなことを考えていると、彼の目に女子と楽しそうに
会話をする男子の姿がうつりました。

「そういえば俺、女子の友達なんて一人もいなかったなぁ」

「・・・それだ!」

ここから彼がどんな行動を起こしたのかはご想像にお任せしますが、
要するにこれが仮説を立てて検証するということです。

 

エジソンがやったのも、これと同じ。

彼は自分なりに「こうすれば上手くいくに違いない」という仮説を
立てた上で、それを検証していただけなのです。

仮説の検証である以上、それが上手くいかないのは「普通」です。

だって上手くいくかどうかを確かめるのが検証なんだから。

検証の1つ1つにいちいち凹んでたら、キリがありません。

失敗から学べない人というのは、この「仮説を立てて検証する」
という視点が大きく欠落しています。

彼らは、失敗することは普通、という捉え方ができていない。

要は、欲張り過ぎなんですよ。

宝くじだって1枚買っただけじゃ当たらないでしょ?

100枚買ったって1000枚買ったって、当たらないことは
ざらにあるワケです。

宝くじすらそんなんなのに、人生の成功が3回や4回の挑戦で
得られるなんて、むしが良過ぎますよ。

 

ただ、宝くじと人生で大きく違うのは、後者は仮説を立てて
検証ができるということです。

宝くじは何度はずれても毎回あたる確率は変わりませんが、
人生は失敗すればするほど、成功する確率が高くなります。

もちろん、ちゃんと仮説を立てて検証していれば、の話ですけどね。

手当たり次第にテキトーに失敗しても、成功する確率が
上がることはありませんので、そこだけは勘違いしないように
気をつけてください。

 

仮説の立て方は自由です。

根拠があるに越したことはありませんが、最初の段階では
「バンドをやればモテる」みたいに根拠がないものも仮説として
成立します。

大事なのは、検証の過程でその仮説を修正していくということです。

いつまでも「バンドをやればモテる」のままでは、絶対に成功には
近づいていきません。

例の彼が「バンドをやればモテる」から「演奏が上手くなればモテる」、
「服装をカッコ良くすればモテる」という風に仮説を修正したように、
あなたも徐々に根拠のある仮説を立てていく必要があります。

これが失敗から学ぶということなのです。

より本質的には「哲学する」と言った方が正しいのですが、それはまた
少し話が難しくなるので、今はやめておきます。

とにかく。

今回は以下の2つを覚えておいてください。

 

1.失敗することは普通である

2.失敗から学ぶとは、仮説を立てて検証することである

 

これはちゃんとメモを取りましょう。

もう一度言います。

必ずメモを取ってください。

サボるのはあなたの自由ですが、どうなっても僕は知りません。

些細なことだと思うでしょうが

「神は細部に宿る」

のです。

 

この記事に関するご意見ご感想は

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まで送ってください。

ありがとうございました。

杉野

 

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【第7号】逆境の時代を生き抜くために

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ども、杉野です。

前回からすっかり間が空いてしまいましたね。

この間にちゃんと復習してましたか?(笑)

あんまり長かったから忘れちゃってるかもしれませんが、
前回募集した意見は今のところ1つも届いていないので、
あれに関する解説はスルーということにします。

気が向いたらどこかで書くかもしれませんが、他にも話すことは
山ほどあるので、どうなるかは分かりません。

もし「やっぱり解説してほしい」と思ったら、後からでもいいので
意見を送ってください。

いくつか意見が集まれば、その時点で解説することにします。

 

ちなみに、今後もこうやって期間が空いてしまうことがあると
思いますが、このメルマガは「不定期」ということにしてあるので
あんまり気にしないでくださいね。

人間ってのは、毎回定期的に記事が書けるほど便利にはできて
ないんですよ。

2日3日連続で書けることもあれば、今回みたいに20日ぐらい
空いても書けないときは書けない。

僕だって人間だもの、仕方ないじゃない(笑)

まあどんだけ遅くても1ヶ月以内にはメールを送ると思います。

もし届かなかったら僕が死んだということにしてください(笑)

というか、僕がいつ死んでも後悔しないように、生きている間に
感想やら質問やらを送っておきましょう(笑)

メールの宛先は

info●philosophia-style.com

まで。

ではでは、本編のはじまり、はじまり。

 

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第7号 逆境の時代を生き抜くために

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今回はナポレオン・ヒルの

「逆境には必ずそれ相応もしくはそれ以上の利益の種子が存在する」

という言葉を取り上げてみましょう。

一般に、逆境とは自分を窮地へ追い込む状況のことを言います。

会社が倒産して失業した、交通事故に遭って足の骨を折った、
大学の受験に落ちた、地震や火事で住む家がなくなったなどなど、
人生にはトラブルがつきものです。

多くの場合、このトラブルをキッカケに人は逆境に陥ります。

人は逆境に陥ると、当初の状態を復帰させるために、今までして
こなかった努力を必死で始めます。

再就職のために新しい資格の勉強を始めてみたり、家から出なくても
できる仕事を探してみたり、大学に行く以外の道を探してみたり、
生き方そのものを見直してみたり、そういうことを始めるワケです。

 

ただ、ここでちょっと考えてほしいことがあります。

そもそもその逆境に陥る前から今挙げたような努力をしていれば、
逆境は逆境にならずに済んだのではないでしょうか。

例えば会社が倒産して失業したとしても、会社が潰れる前から
相応の努力をして他社でもバリバリ働けるだけの実力をつけていれば、
失業は痛くもかゆくもなかったはずです。

実は僕も以前、失業を経験しています。

僕の勤めていた会社はあるラジオ局の仕事を請け負っていたのですが、
その局が突然ほかの局に吸収されることになり、うちの会社は9割の
仕事を失いました。

それに伴ってリストラが・・・みたいな典型的な流れではなかった
とはいえ、そういう事情で僕も失業したのです。

しかし、これは僕にとって逆境ではありませんでした。

というのは、このことが起きる5年以上前から、僕はずっと独立の
準備を進めていたからです。

実際、その時の僕の感情は

「起業するには丁度いいタイミングだな」

でした。

まさかこんなに早くラジオ業界が衰退するとは予想していません
でしたが、そうなっても大丈夫なように準備はしていました。

そもそもラジオ業界が先細りなのは目に見えてましたからね。

つまり逆境とは、多くの場合、怠惰な人間だけが経験するものだ
ということです。

 

ナポレオン・ヒルの言うとおり、逆境に利益の種子が存在することは
間違いないと思います。

逆境を経験し、それを乗り越えた人は、かなり高い確率でその種子を
手に入れることができるでしょう。

ただそれは逆に言えば、逆境に陥るまでその人は利益の種子を探そうと
しなかったということです。

ナポレオン・ヒルは「逆境には利益の種子がある」と言っていますが、
その他に利益の種子がないとは一言も言っていません。

彼は逆境以外のことについては、ここでは触れていないのです。

彼の著書をちゃんと読んでいれば分かることですが、彼は失敗や
挫折にも、逆境と同じように利益の種子があると言っています。

言葉は「成功の糧」という言い方になっていますが、利益の種子でも
成功の糧でも似たようなものです。

要は、逆境じゃなくても、いろんなことにチャレンジして失敗したり
挫折したりしていれば、利益の種子は手に入るということです。

 

だったら。

 

逆境なんて待ってないで、自分から利益の種子を探しに行ったら
どうでしょうか。

失業してから必死になるなんて、どう考えてもリスクが高過ぎます。

そんな状況で冷静に資格の勉強なんてできるワケがないし、
きっとまともな仕事だって見つかりません。

また骨を折ってから家で出来る仕事を探したって、どうせ録音データの
書き起こしやアフィリエイトや内職ぐらいしか見つからないと思います。

僕の仕事は足の骨を折ってもできるし、独立しているワケですから
当然失業も関係ありません。

というか、ある意味ではつねに失業中です(笑)

地震で家が潰れても、パソコンとネット環境さえ手に入れられれば
いつでも復活できる。

これぐらい準備を整えておけば、逆境に陥る確率はほぼゼロです。

もちろん利益の種子はその準備をする過程でガシガシ手に入ります。

他にも利点を挙げていけば色々ありますが、細かいことはともかく、
こういう環境を自分で作って、あらかじめ利益の種子を確保して
おくことが、特に今の時代においては重要なことなのです。

 

ナポレオン・ヒルの言葉は、ただの事実です。

「逆境には利益の種子がある」

そう言っているだけで、逆境を乗り越える方法も、利益の種子を
手に入れる方法も、利益の種子を利益のなる木に育てる方法も
何一つとして彼は教えてくれません。

それは自分で考えて、実践して、失敗して見つけるものだからです。

あなたにはあなたの逆境があり、それは他の人の逆境とはまったく
違います。

同じ逆境は何1つとしてありません。

失業という状況は同じでも、僕の失業とあなたの失業は別物なのです。

つまり、逆境に対処する方法は事実上、人の数だけ存在する
ということです。

だとしたら、それがノウハウにできないのは当然ですよね。

だってあなたの逆境と僕の逆境は違うんだから。

言えることがあるとすれば、

「情熱を持って生きること」

が逆境を乗り越える最大の助けになるということぐらいです。

ここから先はその人自身が考えて、自分で自分の成功哲学を
生み出していかなければならない。

それが逆境を乗り越えるということであり、成功するということ
なのです。

 

あなたが頼れるのはあなただけです。

しっかり準備を進めましょう。

 

この記事に関する意見や感想は

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まで送ってください。

ありがとうございました。

杉野

 

追伸1:『脱凡人のすすめ』について。

今まで紹介したことがなかったと思うんですが、僕は独自配信で
『ここヒル』以外にもう1つメルマガを発行しています。

その名も『脱凡人のすすめ』。

タイトルの通り

「がんばって凡人から脱していきましょう」

という内容です。

なんでこんなメルマガを出しているのかというのは色々理由が
あるのですが、一番大きな理由を挙げるなら

 

凡人が生き残れる時代はもう終わっているから

です。

これは人だけでなく企業や国も含みます。

平凡な人間、平凡な企業、平凡な国・・・。

そんなものはもはや誰も求めていません。

イノベーションという言葉がよく使われることからも分かるように、
今の世界は

「新しい」

「普通じゃない」

「有り得ない」

そういうものを求めているのです。

あなただって、このメルマガを「普通じゃない(面白い)」と
思ったから読んでいるのではないでしょうか?

僕が普通にナポレオン・ヒルの言葉を紹介するだけのメルマガを
発行していたら、恐らくあなたは読まなかったと思います。

そして僕がその辺にいる普通の人間だったら、こんなメルマガを
書くことはできなかったでしょう。

つまり、あなたのためにも、僕のためにも、僕は凡人から脱し
なければならなかったのです。

 

素朴な感覚で考えましょう。

普通の人間になんて、ついて行きたいと思わないですよね?

同様に、普通の人生なんて、つまんないですよね?

だったら普通じゃない人間になって、普通じゃない人生を作って
みませんか?

『脱凡人のすすめ』は、この意見に共感できる人を応援する
メルマガです。

もし興味があれば、登録してみて下さいな。

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【第6号】正しい目標とは何か

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ども、杉野です。

クイズの解説はどうだったでしょうか?

なるべく誰にでも分かるように書いたつもりなのですが、
分からない箇所があれば遠慮なく言ってくださいね。

どうやら最近の僕の常識は、世間一般の常識から離れてきている
ようなので、僕にとっての「分かりやすい」が、あなたにとっての
分かりやすいになっているかどうかが僕には分からないのです。

書いた以上はちゃんと読んでもらいたいし、読む以上はちゃんと
理解してもらいたいので、分からないことは素直に「分からん!」と
言ってもらえる方が、僕としても助かります。

何より、あの解説は、これから先1年ぐらいの日本を知る上では、
おそろしく重要ですから、サラッと読んで分かった気にならないで
下さいね。

解説に関する質問はいつも通り

info●philosophia-style.com

までどうぞ。

 

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第6号 正しい目標とは何か

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目標についてナポレオン・ヒルは著書の中で

「目標も計画もないしに成功はありえない」

と言っています。

恐らく多くの人はこれを

「目標がないと成功できない」

という風に解釈していると思うのですが、彼はまったくそんなことは
言っていません。

この言葉を考える際にまず注意しなければならないのは、彼の言う
「成功」とは何かということです。

目標も計画もないしにはありえないもののことを彼は「成功」と
呼んでいるワケですが、「成功」の定義はこれを逆に考えればすぐに
分かります。

目標や計画を設定すればありえるもの。

それが彼の言う「成功」です。

つまり「成功」とは、目標達成のことです。

「目標や計画なしには目標達成はありえない」

こう言い換えてしまえば、今言ったことは明らかだと思います。

要するに彼は

「目標を達成するためには目標は欠かせない」

と言っているだけなのです。

その意味では彼の言っていることはまったく正しいことなのですが、
これが何の役にも立たない発言であることもまた事実です。

だってこれは「水なしには生物は存在しえない」って言ってるのと
同じですから。

だからなに?って話です。

それを知ったところで目標を立てられるワケでもなければ、目標達成に
近づけるワケでもありません。

僕はこの言葉をナポレオン・ヒルの名言を紹介するサイトから取って
きたのですが、こんな言葉を恥ずかしげもなく名言として紹介しちゃう
センスの無さにびっくりです。

 

目標達成に目標が必要なのは当然だとしても、目標は立てりゃいい
ってもんじゃありません。

重要なのは、その目標が「正しい目標」であるかどうかです。

多くの人は、深く考えることなしに達成したいことを目標にします。

例えば「TOEICで800点以上を取る」とか「来年までに自動車の
免許を取る」とか「半年で10キロ痩せる」とか、そういうのが主に
凡人が立てる目標です。

これはべつに悪いことではないのですが、そうして立てた目標の
ほとんどは達成できません。

その理由は、達成できなくても何の責任も負わなくて済むからです。

ためしにTOEICで800点以上を取らなかったら給料が20%
減らされる、という設定を考えてみてください。

これでもあなたは目標を達成できないでしょうか?

もちろん試験までの期間があまりに少ない場合や、学力的にひらきが
あり過ぎる場合、仕事が恐ろしく忙しい場合などは無理がある
でしょうが、そういう過酷な条件でなければ大半の人が達成せざるを
えないと思います。

しかし、この方法はあまり現実的ではありません。

というのは、そもそも今例に挙げたような大きなリスクを自分から
背負える人がほとんどいないからです。

TOEICで800点を取れなかったら20%減給してください、
なんてことを自分から頼める人がこの世にどれだけいるでしょうか。

そんなことが出来る人は、とっくに800点なんて取っていると
思います。

つまり、いかにして自分を目標を達成せざるをえない状況におくかが、
目標達成における胆なのです。

 

それを解決してくれるのが、達成すべき目標です。

その目標は、達成したい目標である以上に、達成すべき目標なのか。

これを考えてください。

僕のメルマガはその両方を満たしているつもりです。

「真の成功哲学を教える」というのは、僕のしたいことでもあるし、
少しでも日本を底上げするためにも発信すべきだと思っています。

その理念に共感してメルマガを読んでくれているあなたがいる時点で、
その目標はそう易々とは裏切れません。

この「すべき」目標をあきらめることは、僕だけの問題ではなく、
あなたに、日本に、世界に、損害を与えることになるのです。

大袈裟だと思うでしょうが、それぐらい思っておいて丁度です。

そうじゃないと目標なんて簡単に諦めちゃいますから。

ファッションモデルをやっている女性が、いとも簡単にダイエットに
成功してしまうのも、この原理が働いています。

彼女たちは、彼女たちに憧れているファンを絶対に裏切れないから、
ダイエットに失敗することが許されないだけなのです。

彼女たちにとってダイエットとは「したいこと」以上に
「すべきこと」であって、彼女たちがダイエットという目標を必ずと
言っていいほどの割合で達成できてしまうのには、こういう理由が
あります。

言われてみれば当たり前の話なんですが、みんな全然わかってない
ですよね。

自分以外の人間に対して、どれだけ責任を持てるか。

目標が達成できるかできないかって、これだけの差なんですよ。

「正しい目標」さえ、達成すべき目標さえ立てられれば、それだけで
達成は約束されたようなものなのです。

 

それに加えて、達成すべき目標には大きなおまけが付いてきます。

それは、自分を応援してくれるファンや仲間がたくさんできる、
ということです。

ビジネス書の類では、セミナーや異業種交流会に出席して人脈を
作れだの何だのとうるさいものが多いですが、人脈というのは
こうやって作るんです。

こうして出来たファンや仲間は、あなたが困ったときに“真剣に”
助けてくれるし、応援してくれます。

なぜなら、あなたが目標を断念することは、あなたの仲間にとっても
不利益なことだからです。

もし山中教授が資金不足でiPS細胞の研究ができないようになったなら、
おそらく大勢の人が京大の研究所にお金を寄付するはずです。

もし石川遼選手が資金不足でゴルフの練習すらまともにできないような
状況になったなら、多くのゴルフファンやスポンサーが彼に資金援助する
でしょう。

それが人脈です。

仲が良いとか、よく飲みに行くとか、そんな薄っぺらい表面的な関係は
いくらでも作れますが、本当に困ったときに助けてくれるファンや仲間は
達成すべき目標に向かっていないと作れません。

達成すべき目標には、こんなおまけを生み出すパワーもあるのです。

 

目標設定において、自分の達成したい目標を立てるのは三流です。

そして自分の達成すべき目標を立てるのは二流です。

一流になるには、自分の達成すべき目標を立て、それを堂々と世界に
宣言しなければなりません。

「私はこれをやり通します」と。

そうして初めて、一流への扉は開かれるのです。

どれだけ自分を追い込めるか。

どれだけ大きな責任を背負えるか。

結局、人間の器の大きさを決めるのは、そこだと思います。

成功するに相応しい人間になるためにも、ぜひ達成すべき目標を
立ててください。

そしてそれを周りに宣言し、実践してください。

その一歩が、あなたという人間を大きく変えるのです。

 

このメルマガに関するご意見ご感想などは

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までどうぞ。

ありがとうございました。

杉野

 

追伸1:意見を募集します。

よく巷の本では「目標は明確にしろ」ということが言われますが、
あなたはこれについてどう思いますか?

正しいと思う、間違いだと思う、その他諸々なんでも構いません。

なにか意見を考えて、その根拠とともに送ってください。

前に出したクイズ同様、求めているのは「正解」ではなく「回答」
ですから、そこは誤解しないように。

いくつか回答があれば、近いうちに解説します。

何の反応もなければ解説もしませんので、あしからず。

メールは

info●philosophia-style.com

まで。

件名は【目標について】とでも書いておいてください。

よろしくー。

 

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【第5号】報われる努力と報われない努力の違い

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ども、杉野です。

前回の記事からまたクイズの回答をいくつか送って頂きました。

届いたメールにはすべて個別に返信させて頂きましたが、
ホントに参考になります。

「ほー、あのクイズをそんな風に読んだのかぁ」って。

僕も勉強させてもらうことが多かったです。

送ってくださった方、ありがとうございました。

で、肝心の解説についてなのですが、もうちょっと待って
いただいても、いいでしょうか?

これは僕が解説できなくて焦っているのではなくて、あれをそのまま
このメルマガで解説してしまうと、メルマガの主旨から逸脱して
しまいかねないので、いろいろ案を練っているところなのです。

近いうちに必ず解説しますので、少々お待ち下さいませ。

 

その代わりと言っては何ですが、今回の記事は第2号のクイズに
関連する話にしてみました。

いつも通り、当たり前の話しかしていませんが、これも読む人に
よっては大きな気付きになると思います。

文章の量にも配慮してみましたので、サラッ読んで下さい。

むろん、内容はサラッと読み流せるようなものではないですが。

 

ニャポレオン・ヒルの記事は大きく賛否が分かれるようなので、
続きは様子を見ながら書くことにします。

「早く続きが読みたい」という希望が多ければ、別枠を用意して
書くことも考えています。

何か意見があれば

info●philosophia-style.com

まで送ってくださいな。

 

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第5号 報われる努力と報われない努力の違い

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「金持ちになれる人は、どれだけの犠牲を払ったとしても
成功するまで努力し続ける覚悟を持っている」

これはハーブ・エーカー著『大金持ちになれる人』という本から
引用した言葉です。

この手の努力に関する言葉は世の中に腐るほどあるワケですが、
その「努力」が何を意味しているのかを明確に解説している本を
僕は見たことがありません。

大体どの本も

「努力を続けていれば、その努力は必ず報われる」

という曖昧な表現でごまかしています。

それでいて報われなかった人に対しては

「あなたが途中で努力をやめるから報われないんだ」

とか言っちゃうワケですからキモイですよね。

 

そもそも、努力とは「する」ものではありません。

これはよく言われることだと思いますが、未だに間違えている人が
たくさんいるようなので、あらためて言っておきます。

努力は「してしまう」もしくは「せざるをえない」ものです。

個人的には後者の感覚をつよく感じています。

僕がこうして文章を書くのは、当然それが好きだからなのですが、
それ以上に、僕にしか言えないことを世の中に対して発信しなければ
ならないと感じているから書かざるをえないのです。

これは僕が勝手に感じているだけなので、誰から強制されている
ワケでもありません。

けれども、なぜか勉強すればするほど、知識が増えれば増えるほど
この感覚は強くなってきています。

文章力を落としたくない、バカになりたくない。

そういうある種のネガティブな感情から、努力してしまっている
というのが実際のところです。

 

努力せずにいられる人というのは、よくも悪くもこのネガティブな
感情が弱いのだと思います。

テレビのクイズに答えられなくても、ニュースで使われていた言葉の
意味が分からなくても、それを恥ずかしいことだと思わないし、
後からそれを調べたりもしない。

そういう無知な状態でも彼らは平気なのです。

彼らが努力「する」のは、自分の得になりそうなことだけです。

これをやれば痩せる、これをやればお金が稼げる、これをやれば
モテる・・・彼らはそういうことにだけ目が向きます。

しかし、それらは彼らにとって「せざるをえない」ものではない
ですから、ほとんどの場合は長続きしません。

みんな口では「ダイエットしなくちゃいけない」と言いますが、
だったらさっさとやれよ、という話です(苦笑)

彼らの「しなくちゃいけない」は単なる「したい」の言い換え
でしかありません。

そこにはまったく義務なんて感じていない。

だから長続きしないし、長続きしなくても済ませられてしまう
ということです。

人間の意志は、われわれが自由にコントロールできるほど便利には
できていないのです。

 

報われる努力が「報われるまで続ける努力」のことだとしたら、
それは正確には

「報われるまで続けざるをえない努力」

だと言えます。

人間は何かを続けようと思って続けられるほど自分の意志を自由に
あやつれない、というのは今言った通りです。

そんなことが出来るなら、誰もダイエットになんて悩みません。

だとしたら、自分を続けざるをえない状態にもっていけるかどうかが
努力が報われるか否かを左右するということです。

 

じゃあどうすれば努力せざるを得ない状態になるのか。

そんなのは簡単ですよ。

高い理想を持って、自尊心を高めればいいんです。

僕が知るかぎり、これしか方法はありません。

自尊心が高まって自分がバカであることを恥だと思うようになれば、
嫌でも努力するしかなくなります。

もう少し突っ込みましょうか。

どうすれば高い理想を持つことができるのか。

それは可能なかぎりホンモノに触れることです。

美術でも音楽でも文学でも演劇でもダンスでもマンガでも本でも
人物そのものでもなんでも構いません。

とにかく、できるだけ下らないモノを避けて、ホンモノにだけ
触れるようにして下さい。

そしたら勝手に理想は高くなりますから。

簡単でしょ?

 

あなたの限界を決めているのは、あなたが普段、見て、聞いて
触れて、感じているものすべてです。

しょーもない本を読んで、しょーもない番組を見て、しょーもない
音楽を聞いて、しょーもない人間とばかりつるんでいたら、
そりゃ誰だってしょーもない理想しか持てなくなるし、しょーもない
人間になりますよ。

マクドナルドばかり食ってたら、舌がバカになるのと一緒です。

自炊して、ちゃんとしたものを食べていれば、あの食べ物が
いかに塩辛くて不味いかぐらいは誰でも分かるようになります。

哲学書や学術書を読んでいれば、ビジネス書や自己啓発書が
いかにアホらしいものかぐらいは誰でも分かるようになります。

そういう当たり前のことをやって下さい。

そうすれば早ければ1ヶ月やそこらで、あなたも努力せざるを
えなくなりますから。

 

今回はこれぐらいでサラッと終わっておくことにしましょう。

いつも通り、ご意見ご感想ご質問などは

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それでは。

ありがとうございました。

杉野

 

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思っていますので、よかったらチェックしておいて下さいな。

(しかしフェイスブックの使い方がよく分からん・・・)

 

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【第4号】猫が教える成功哲学 ニャポレオン・ヒルの秘密(2)

No Comments

ども、杉野です。

今回はニャポレオン・ヒルの第2話目です。

物語の構成や流れが下手なのは自覚していますが、今のところ
書くのが楽しいので、まだ続けると思います。

ウザければ

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まで「ウザイ」と送ってください。

無視しますので(笑)

「やりたいことをやれ」って言ってる本人が、やりたいことをやって
なかったら説得力ないですからね。

僕は僕でやりたいことをやります。

もちろん“あなたの役に立つカタチで”ね。

ちなみに今回のレオン様もかなり重要なことを言います。

サラッと読み流さないように注意してくださいませ。

それでは、本編をどうぞ。

 

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第4号 猫が教える成功哲学 ニャポレオン・ヒルの秘密(2)

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社員が全員そろったところで、突然、社長が大きな声を出した。

「みんなに大事な話がある」

静まりかえる社内。

みんな社長の方を振り向く。

「実は今、ある企業から莫大な損害賠償を求められている」

「損害賠償!?」(全員)

ざわつく社内。

「私のチームの一人がその企業のページで商品の価格を誤って表記して
しまったことが原因だ」

「誰のミスなんですか?」

篠原の先輩の佐々木が質問する。

「いや、誰がやったとか、何があったとか、もはやそういう問題では
ないんだ」

「どういうことですか?」

「うちの会社は、もう、おしまいなんだ・・・」

「それじゃ分かりませんよ、どういうことなんですか、はっきり言って
下さいよ」

「とてもうちの会社に支払える額じゃないんだよ、賠償金が」

「一体いくらなんですか?」

「聞いても仕方ないだろ、そんなこと・・・」

「聞かなきゃ納得いかないですよ!」

「ふぅ・・・」

社長はため息をついたあと、口を開いた。

「5億だよ」

「5億!?」

社員全員が驚く。

「分かるだろうが、その金額はうちの年商の約10倍だ」

「うちのような弱小企業に、そんな賠償金を支払う力はない」

社員の一人が思わず声をだす。

「え、じゃあ、これから会社はどうなるんですか?」

社長は声のトーンを落としながら答える。

「その件については、みんなが想像している通りだ」

「うちの会社は、今日をもって・・・倒産とする」

社員たちは動揺を隠せない。

「本当にみんなには申し訳ないことをしたと思っている」

「だが幸い、倒産による失業の場合は、雇用保険がすぐにおりる」

「給料3カ月分満額というワケにはいかんだろうが、生活できるぐらいは
もらえるはずだ」

「その間になんとか次の職を見つけてほしい」

「もちろん会社の後処理は、私が責任を持っておこなう」

「もうこれ以上、みんなには迷惑をかけられない・・・」

すると寺田が声を出した。

「じゃあもう帰っていいですか?」

みんな、信じられない、という顔で彼を見ている。

「・・・あぁ」

社長が弱々しく答える。

最初はみんな戸惑っていたが、寺田が帰るのをキッカケに他の社員も
ぞろぞろと帰り始めた。

帰りがけに寺田が鉄平に声をかける。

「お前は帰らないのか?」

「うん、ちょっと社長と話がしたくて」

「ふーん」

「じゃあ俺は先に帰るわ、また何かあったら連絡してくれよ」

「あぁ、わかった、いろいろ、ありがとな」

「おう」

会社に残ったのは鉄平と社長だけになった。

社長は頭をさげ、うなだれている。

「社長、ちょっとだけ、お話聞いてもいいですか?」

「なんだ」

「社長はどうしてこの会社の社長になろうと思ったんですか?」

「俺は・・・別に社長になりたくてなったワケじゃないんだ」

「この会社の立ち上げ当初、ここには俺を含め4人の役員がいた」

「俺はそいつらと一緒にこの会社を立ち上げたが、最初、俺の役職は
取締役で、社長は別のヤツだったんだ」

「けれども、社員が1人増え2人増え会社の仕事が増えていくうちに、
役員同士のコミュニケーションが希薄になっていった」

「それでもしばらくは無事に会社も回っていたが、気付いた時には
役員はみんなそれぞれのやり方や方針で仕事をやっていて、それを
統合することが出来なくなっていたんだ」

「その結果として他の役員は会社をやめ、当時、社内で一番大きな
プロジェクトをやっていた俺が成り行きでこの会社を引き継ぐことに
なったということだ」

「俺はババを引いたってことさ・・・」

「そうだったんですね・・・」

「でも、俺は、社長が社長でよかったと思ってます」

「え?」

「社長はババを引いたと思ってるかもしれませんが、俺はぜんぜん
ババだなんて思ってませんよ」

「だって俺、この会社に育ててもらいましたから」

「まだまだミスばっかりで怒られてばっかりですけど、この会社で
育ててもらわなかったら、俺、絶対もっと酷い人間になってました」

「俺みたいなどうしようもない人間を見捨てずに育ててくれた社長が
いたからこそ、今の俺があるんです」

「だからババを引いたなんて、言わないでください」

「篠原・・・」

「俺、感謝してるんですから、ホントに」

「ありがとう・・・ありがとう、篠原」

社長は涙を流しながら、そう言った。

「もう会社はつぶれちゃいましたけど、何か力になれることがあったら
言ってください」

「俺、後処理でも何でも手伝いますから」

社長が涙をぬぐって顔を上げる。

「あぁ、その気持ちだけで十分だよ」

「これは俺の責任なんだ、あとは俺だけでなんとかする」

「そうしなければケジメがつかないんだ、俺一人でやらさせてくれ」

なぜかこのとき、社長はすがすがしい顔になっていた。

「そうですか・・・分かりました」

「でも俺、この恩はぜったい忘れません」

「社長が引いたのはババじゃなかったって、俺が証明してみせますから、
待っててください」

「分かった、楽しみに待ってるよ」

「はいっ!!!」

 

・・・帰宅後・・・

 

「レオンさまー、レオンさまー!」

「呼んだか?」

「はやっ」

「早くて何が悪い」

「ちょっとびっくりしただけだよ」

「そうか」

「で、何かあったのか?」

「俺、やります!」

「ほう、あと1ヶ月待ってくれと言っていた割には、ずいぶんと決断が
早いではないか」

「実は今日、会社がつぶれちゃったんだ」

「なるほどな、しかしそのわりには顔が明るいな」

「そう?」

「私にはそう見えるが」

「なんていうか・・・いろいろスッキリしたんだよ」

「そうか」

「そういえば就職活動はせぬのか?昨日は再就職するとか何とか言って
おったではないか」

「うーん、それは貯金と雇用保険が尽きそうになったら考える」

「切りつめて生活すればギリギリ半年ぐらいは生きていけそうだし」

「ほう、なんだか1日にして人間が変わったな」

「倒産のショックが大きすぎて頭のねじが飛んだか?」

「それもあるかもね、いきおいで社長にデカイ約束もしちゃったし」

「なんの約束だ?」

「ないしょ」

「ふっ、まあよい、これでやっと私も暇がつぶせる」

「あ、そうそう、しばらく収入がなくなるから、牛乳は当分、低脂肪で
我慢してね」

「おい、それとこれとは関係ないではないか」

「関係あるよ、節約しなきゃいけないんだし」

「うむむ・・・いや、違うぞ、それは断じて違うっ!」

「節約とは、無駄を削るのであって、必要なものを削るのではない!」

「だって牛乳なんて無駄じゃん」

「何を言うか、愚か者め!」

「私がホンモノになる方法を教えるかどうかは、私の気分次第だという
ことを忘れたのか」

「いやぁ、忘れちゃいないけどさぁ」

「だったら牛乳ごときでケチケチするでない」

「へいへい、分かりましたよー」

「分かればよろしい」

 

もふもふ。

「で、これからどうするの?」

「やりたいことをやれ」

「へ?」

「やりたいことを好きなようにやればよい、と言っておるのだ」

「やりたいことって言われてもなぁ・・・」

「ないのか?」

「特には」

「お前、よくそれで、やりますなんて言ったなぁ」

「だって、やるしかないんだもん」

「ではお前は普段、休みの日は何をしておったのだ?」

「うーん、ネコネコ動画を見たり、ニャンチューブ見たり、かな」

「お前はよっぽど猫が好きなのだな」

「まあね」

「それ以外には?」

「他は特に思い浮かばないなぁ」

「そうか、まあよい」

「このままではらちがあかぬので、今日はお前がやると決めただけで、
よしとしておこう」

「あれ、そんなんでいいの?」

「ただし、明日からはビシバシいくから、覚悟しておくように」

「はーい」

「ではもう飯にするぞ」

「もう飯!?」

「早く、牛乳だ、牛乳」

「ホント、食い意地だけは張ってるよな」

鉄平がぼそっとつぶやく。

「何か言ったか?」

「なーんにも」

ここからようやく本編のはじまりである。

 

・・・1日目・・・

 

「おい、こら、目を覚ませ、鉄平」

「んあ?」

「もう朝だぞ」

「へ?・・・って、まだ6時じゃん」

「何を言っておる、もう6時ではないか」

「仕事に行かなくてもいいんだし、もうちょっとゆっくりさせてよ」

「いいから早く起きろ」

「だってぇー」

「だってぇー、じゃない!」

「お前はホンモノを目指すのではなかったのか」

「そうだけどさぁ」

「だったら起きろ」

「うへぇ・・・」

鉄平が布団をたたんでいると、突然ラジオ体操の音声が聞こえてきた。

「ではラジオ体操から始めるぞ」

「な、なんでラジオ体操?」

「体を動かした方が、頭がすっきりするからに決まっておろうが」

「いやいや、そうじゃなくて」

「小さいことばかり気にしてないで、さっさとやれ、ほら」

2人(1人と1匹)がラジオ体操を始める。

腕を前から上げて、せのびの運動からー。

「いち、にー、さん、し・・・・そうそう、昨日は何もしなかった分、
今日はいろいろやってもらうぞ」

「にー、にっ、さん、しっ・・・え?いろいろって?」

「それは体操が終わってから話してやる・・・さーん、しっ」

「へいへい・・・さーん、しっ」

ラジオ体操が終了。

「おぉー、意外といいね、ラジオ体操」

「ホントに頭がすっきりしたよ」

「私が協力しておるのだから効果があるのは当然であろう」

「よし、朝食だ」

「ミルクとかつお節を差し出せ」

「おいおい、なんで勝手にメニューが増えてんだよ」

「いいではないか、お前がかつお節を棚の上に隠しているのは
お見通しなのだ」

「よかねーよ」

「これも貴重な食料なんだから、朝はミルクだけで我慢しろ」

「ぶぅー、これだから貧乏人は」

「いい加減、その悪態なおせよ」

「まあよい、とりあえず食事だ」

 

朝食終了。

「ふぅ、食った食ったー」

もふもふ。

「それでは今日は丸一日、ブレインダンプをやってもらう」

もふもふ。

「ブレインダンプって?」

「ブレインダンプとは、一言で言えば、頭の中をすべて吐き出して
からっぽにする作業のことだ」

「ふーん」

「これをやることによって、お前のやりたいことが見つかる・・・
かもしれない」

「かもしれない、ってなんだよ」

「言葉通りの意味だ」

「見つからないこともあるってこと?」

「そうだ」

「これをやっても見つからなかったらどうするんだよ」

「そのときは、そのときだ」

「んな無責任な」

「今の言葉は聞き捨てならんな」

「そもそもお前はなんで自分にやりたいことがないのか、考えたことが
あるのか?」

「ないけど・・・」

「やりたいことがないというのは、お前が今までずっと自分にウソを
つきながら生きてきた証拠だ」

「親の言うことに従い、先生の言うことに従い、上司の言うことに従い、
そして社会の言うことに従って、すべてを無批判に、自分の頭で考えて
判断することなく生きてきたから、自分が何をしたいのかも分から
ないのだ」

「それは言い換えれば、お前は人生のほとんどを自分の足ではなく、
他の誰かにおんぶされて進んできたということだ」

「いやいや、それはいくらなんでも言い過ぎでしょ」

「俺はちゃんと自分で進路も決めたし、就職先だって自分で選んだよ」

「ではなぜ、やりたいことがないのだ」

「本当に自分で進路も就職も決めたのならば、なぜその進路や就職と
同じようなことをしようと思わないのだ、言ってみろ」

「それは・・・」

「言えぬのか」

「まあよい、では別の質問をしよう」

「お前は大学で何を専攻していた?」

「経営学・・・だけど」

「なぜ経営学を専攻したのだ?」

「経営のことを学んでおけば、就職したときに仕事を進めやすいんじゃ
ないかと思って・・・」

「そんなところだろうな」

「多くの人間、すなわち愚民は、やりたいことよりも、目先にある
お得なことを求める」

「自分が何をやりたいかではなく、今何をやっておくのが(将来の)
自分にとって得なのか、いかに損をしないか、を考えるということだ」

「大学は行かないより行った方がいい、就職はしないよりした方がいい、
福袋は買わないより買った方がいい、割引チケットは使わないより
使った方がいい、ポイントは貯めないより貯めた方がいい・・・
愚かな者はみんなこういう判断で生きている」

「しかし、それは“判断”などと呼べるものではない」

「そもそもなぜ大学は行かないより行った方がいいのだ?いつ誰が
そんなことを決めたのだ?大学に行かずに大成した者は何か損をして
おるのか?」

「それは・・・」

「今言ったようなことはすべて、自分ではない誰かが勝手に決めた
ことでしかない」

「大学も就職も福袋も割引チケットもポイントカードも、すべては
自分ではない誰かによって、仕向けられているだけなのだ」

「その証拠に、本当にお前が理想とする大学や就職先や割引チケット
なんてものはどこにもないはずだ」

「いつだって大学は大学のやり方にこっちが合わせなければならないし、
どれだけ遠くても職場にはこっちから出向かなければならないし、
仕事はどんなものでも渡されれば受けなければならない」

「それらの拘束を、お前は自分で判断して、心から受け入れていた
とでも言うつもりか?」

「いや、でも、俺は就職先は自分で選んで」

「だったらどうしてもっと精一杯やらないのだ、どうして言い訳など
するのだ」

「すべてはお前が自分の判断で選んだことなのであろう」

「自分で選んだことに対して、自分で文句を言うなど、どう考えても
おかしいではないか」

「お前は自分で買ったCDが最悪だったら、そのミュージシャンや
レコード会社に文句を言うのか?」

「好きなら聞く、嫌いなら捨てる、もしくは売る、それだけだろ!」

「それは・・・」

「いい加減、認めたらどうだ」

「私は別にお前をいじめたいワケではない」

「ただ、自分に正直になれ、と言っておるのだ」

「うん・・・」

「お前が正直になりさえすれば、やりたいことなど勝手に見つかる」

「ブレインダンプは、自分に正直になるための1つの方法なのだ」

「・・・悪かったよ、無責任なんて言って」

「俺、今までそんなこと考えたこともなくてさ、なんか軽い気持ちで
考えてた」

「やりたいことがないって、そんなに重大なことだったんだな」

「分かればよい」

「しかし今のような若い時期に私と出会えてよかったな」

「世の中では、このことにすら気付かずに無責任な人生を無責任に
終える者が、ほとんどなのだから」

「いくらでも感謝してよいぞ」

「はいはい、ありがとうございます」

「それだけか?」

「へ?」

「お礼に今日のお昼には煮干しを買って来ますとか、もっと色々あるだろ、
感謝の仕方が」

「それとこれとは話が別だっての」

「うむむ、これだけよい話をしてやったというのに、貧乏人めぇ」

「それよりも早くブレインダンプやろうよ」

「無視するな!」

「分かった分かった、いつもより多めに牛乳入れてあげるから」

「妥協案か、まあいたしかたあるまい、今日はそれで我慢してやる」

 

「で、ブレインダンプって具体的に何やんの?」

「まずは大きめのノートとペンを用意しろ」

「大きめってどれぐらい?」

「特に決まりはないが、A4以上がのぞましい」

「A4のノートならあるけど」

「それでよい」

「あとはペンだ、これは字が書ければ何でもよい」

がさごそ。

「はい、そろえたよ」

「では今から私が出す問いに対して、その答えを可能なかぎり多く
ノートに書き出していけ、それがブレインダンプだ」

「今日1日を使って、これだけを行う」

「これだけ?」

「そうだ」

「そんなの2,3時間で終わるんじゃないの?」

「それはやってみれば分かる、とにかく始めるぞ」

「う、うん」

「まずは今お前の欲しい物をすべて書き出せ」

「欲しい物ね」

ふわふわのベッド、ダイスンの掃除機、ヴィンドウズ8のノートパソコン、
スポーツカー、スマートフォン、新しい包丁、新しい鍋、ニスチルの
ライブチケット、ドリクムのライブチケット、電気ケトル、グッチョの財布、
オメニャの時計、フェナガモの靴、ライキャのデジタル一眼レフカメラ、
オンニョーのスピーカー、ペナソニックのプラズマテレビ、iPed、iPon、
ジャープの電子レンジ、マッサージチェアー、低反発まくら・・・。

「書けたか?」

「うん」

「何個ぐらい書けたのだ?」

「うーんと、3,40個ってとこかな」

「なるほど、この質問についてはそれぐらいでもいいだろう」

「次は今お前が社会に対して貢献したいことをすべて書き出せ」

「社会に対して?」

「そうだ」

「本来は、やりたことをすべて書き出せ、と言いたいところだが、
それでは範囲が広過ぎてお前には何も思い浮かばぬであろう」

「まあね」

「だからこうして私が的をしぼって質問してやっているのだ」

「なるほど、そいつはどうも」

捨て猫をなくしたい、ゴミ問題をなくしたい、貧困層の子供たちを
救いたい、水質汚染を止めたい、被災地でボランティアをしたい、
プログラマーの労働環境を改善したい・・・。

「よしっ、と」

「今回はどれぐらい出せたのだ?」

「10個ぐらいかな」

「それでは少な過ぎるな」

「えぇ、なんでさ、これで全部だよ」

「最低でも30個は出せ」

「そんなに出せないってば」

「とにかく無理矢理でもいいから出せ、それがブレインダンプなのだ」

「分かったよぉ・・・」

アマゾンの密林を守りたい、人身売買をなくしたい、タバコのポイ捨てを
なくしたい、ホームレスをなくしたい・・・。

「ふぅー・・・30個ぴったりだけど、なんとか出せたよ」

「ほれ、出るではないか」

「いいから早く次の問いを出してよ」

「次は死ぬまでに一度でいいからやってみたいことをすべて書き出せ」

「りょうかい!」

バンジージャンプ、スカイダイビング、北極探検、エベレスト登頂、
田舎で畑を耕す、シルク・ガ・ソレイユのショーを見る、ホバマ大統領と
食事をする、1泊30万円のスイートルームに泊まる・・・。

「できたー」

「今度はいくつ出た?」

「40個ぐらいかな」

「よしよし、その調子だ」

「次は生まれ変わったらやってみたいことをすべて書き出せ」

「おぉ、それならいっぱいあるよ」

ピアノを習いたい、ヴァイオリンを習いたい、そろばんを習いたい、
英会話を習いたい、たくさん本を読みたい、東大に入りたい、
演劇を習いたい、ダンスを習いたい、宇宙飛行士になりたい・・・。

「うっし、習いたいことばっかりだけど、40個ぐらい出せたよ」

「うむ」

「ちょっといい?」

「なんだ」

「休憩・・・しない?」

「そうだな、次は昼食をとってからにしよう」

「う、うん」

「バテたか?」

「かなり」

「やってみるとキツイものだろう」

「想像していた以上に疲れるね、これ」

「こんなに頭使ったの、生まれて初めてかも」

「それでいいのだ」

「午後からも続けるから、しっかり休んでおけよ」

「うっす!」

 

・・・1日目の午後・・・

 

「再開するぞ」

「おう」

「今度は無制限にお金が使えるならやってみたいことをすべて書き出せ」

「無制限に?」

「そうだ」

「うっは、それならいっぱい出そうだなぁ」

ジェット機のファーストクラスに乗る、新幹線のグリーン席に乗る、
赤坂のすし屋で10万円の寿司を食べる、高級車でドライブする、
ネズミーランドを貸し切る、都内の一等地に一戸建ての家を建てる、
ブランド品を買いまくる、スーツをオーダーしまくる・・・。

「これで50個ぐらいは出たんじゃないかな」

「十分だ」

「ではこれで最後にしよう」

「かかってこい!」

「もし自分が不老不死だったらやりたいことをすべて書き出せ」

「それって事故で骨が折れたりしても自然治癒するってこと?」

「いちいち設定が細かいな、お前は」

「そこは重要でしょ」

「そういう解釈でも構わぬ」

「よし、分かった」

治安の悪い紛争地域へ行って人の命を救う、FBIに喧嘩を売る、
医療機関に自分の臓器を売りまくる・・・。

「うーん、これまでの答えと色々かぶってくるんだけど」

「そうだろうな」

「かぶっているのも含めて、どれぐらい出せた?」

「20個ぐらい」

「まあいいだろう」

「一旦これで終了だ」

「おわったぁ・・・」

「では晩飯にするぞ、私はもう腹が減って死にそうだ」

「えぇ!?もうそんな時間なの!?」

「時計を見てみろ」

「うわぁ、夜7時って、マジかよぉ・・・」

「わかったら早く用意せよ」

「へいへい」

 

・・・食後・・・

 

「なんかまだ頭がくらくらするんですけど」

「知恵熱だな」

「へー、これが知恵熱なんだぁ、はじめてだよ、こんなの」

「あれだけ集中して考えれば誰だって知恵熱ぐらいは出る」

「そういうもんなのか?」

「そういうものだ」

「ところでブレインダンプはあれで終わりなの?」

「何を言っておる、これからが本番だ」

「えぇー、まだあるのかよー」

「今日書き出したものを、これから3日から1週間ほどかけてずっと
眺め続けてもらう」

「なーんだ、それぐらいなら楽勝だよ」

「ただし」

「ただし?」

「眺めている間はずっと自分に、なぜ、と問いかけること」

「どういうこと?」

「例えばだな、さっき欲しい物を書き出してもらったが、欲しいと
思っているのだから欲しいのにはそれなりの理由があるだろ」

「うーん、まあね」

「それを

なぜテレビが欲しいのか・・・テレビが見たいから

なぜテレビが見たいのか・・・見たい番組があるから

なぜその番組を見たいのか・・・好きな俳優が出ているから

なぜその俳優が好きなのか・・・

という感じで考えていくということだ」

「なんじゃそりゃ」

「現時点ではこの作業の意味は分からなくても構わない」

「とにかく明日からはこれをやってもらう」

「ほぇ」

「分かったら今日はさっさと寝ろ」

「いやいや、まだ夜の9時だよ?」

「明日は4時起きだ」

「4時!?」

「知恵熱が出るほど集中したのだ、すぐに眠れるだろ」

「まあ・・・たしかに」

「ではまたな」

そう言うと、レオン様はそそくさと窓から出て行ってしまった。

 

鉄平が布団を出して寝る準備をしていると、大学時代の友人から
1通のメールが入った。

「よっ、鉄平、明日久々にサークルのみんなで飲み会やるんだけど、
お前も来ないか?」

鉄平が返事を返す。

「悪い、俺の会社、倒産しちゃってさ、今それどころじゃないんだよ」

さらに返事が返ってくる。

「倒産!?マジか・・・うーん、わかった、みんなに事情話して
お前の分ぐらいなんとかしてやるからさ、気分転換も兼ねて出てこいよ、
ちなみに夜6時に三角公園に集合だから」

おどろく鉄平。

すかさず返事を書く。

「えっ、いいのかよ!?分かった、夜6時に三角公園ね、いくいく」

送信。

だが、メールを送ってから、ふと、不安がよぎる。

「さすがに6時にはブレインダンプ、終わるよな・・・」

若干の不安をかかえつつ、鉄平は眠りについた。

つづく。

 

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までどうぞ。

 

ありがとうございました。

杉野

 

追伸1:ブレインダンプの簡単なまとめ。

1.A4以上の大きさのノートとペンを用意する。
2.ノートに欲しい物を書き出す。
3.同じく社会に対して貢献したいことを書き出す。
4.同じく死ぬまでに一度でいいからやってみたいことを書き出す。
5.同じく生まれ変わったらやってみたいことを書き出す。
6.同じく無制限にお金が使えるならやってみたいことを書き出す。
7.同じく自分が不老不死だったらやってみたいことを書き出す。

以上です。

本文には出てきませんでしたが、もし自分でやる場合は、これらを
合計で200個以上書き出すことを目標にしてやって下さい。

特に3・4・5・6あたりを多く出すことが好ましいです。

「やりたいこと」を見つけたい場合は参考にしてくださいな。

 

追伸2:前々回のクイズについて。

あれからまた2通「回答」を頂きました。

メールを送って下さった方、勇気ありますね(笑)

でも答えてくれて、めちゃくちゃ嬉しいです。

ありがとうございます。

僕の「回答」は次回書かせて頂きますので、それまで回答は
受け付けることにします。

どしどし送ってくださいね。

あと、返事はまだ書けていませんが、いただいたメールには個別に
返信させてもらいますので、少々お待ちを。

 

追伸3:ブログ。

メルマガのバックナンバーはブログに貼っておきます。

復習したい場合はいつでも見に来てくださいませ。

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