ども、杉野です。

今回はゲンさんのカッコイイ側面が見られます。

それではどうぞ(笑)

あ、そうそう、言い忘れていましたが、ブログの更新は
月1回ということに決めました。

メルマガは不定期配信なので月2回以上配信することが
ありますが、その場合は少年ジャンプ方式でどんどん
ブログとメルマガの記事が離れていくことになります。

より早く記事を読みたい場合は、メルマガへの登録を
ご検討くださいませ。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

第24号 猫が教える成功哲学 ニャポレオン・ヒルの秘密(8)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

・・・2ヶ月と10日目・・・

コミュニケーションとは何か。

他者とは何か。

理解とは何か。

鉄平がその答えを出すまでには10日という時間がかかった。

その間、鉄平は何度もレオン様に答えを聞こうと思ったが、
なんとか思いとどまり、最後まで自分で考え抜いた。

前回レオン様が言った通り、鉄平の中にも少しずつだが、
ホンモノの芽が出始めていたのだ。

朝の瞑想を終えた鉄平は、レオン様にリサーチの話を切り出した。

「なんとか答えらしきものは見つかったよ」

「そうか」

「でも、あんまり自信ないんだよね・・・」

「そうだろうな」

「いや、そこは『自信を持て』って言ってよ!」

「誰だって最初はそんなものだ」

「はじめから自信に満ち溢れているとしたら、それは単なる
勘違い野郎か、既にホンモノかのどちらかだが、少なくとも
今のお前はそのどちらでもない」

「よかったな」

「よかねーよ!」

「私は『お前は勘違い野郎ではない、だからそのまま進めば大丈夫だ』
と言ったのだ」

「褒められて怒るバカがどこにおる」

「へ?そうなの?」

「それならそうと、はっきり言ってよぉ」

レオン様に説明されて、鉄平は少しにやけている。

「その程度のことに気付かぬようでは、とてもリサーチなどできぬぞ」

「それとリサーチは関係ないでしょ」

「だから、そう思っているうちはまだまだだと言っておるのだ」

「どういうこと?」

「つまりだ」

「私の言うことすらボケーっと聞いているようでは、誰を相手に
リサーチをしても同じことになる、ということだ」

「いやいや、僕だってリサーチのときはもっと集中して聞くよ」

「それがダメだと言っておる」

「お前はリサーチをするときだけ頑張るつもりでいるようだが、
それは私が今まで見てきた中でもっとも典型的な失敗する人間の
パターンだ」

「ホンモノは、いつどんなときも誰の話であっても集中して
聞いている」

「だから彼らは、凡人なら油断して見逃してしまうであろう
多くのチャンスや成功のヒントを見つけることができるのだ」

「大事な相手が、必ずしも大事なことを話すとは限らぬ」

「むしろ、どうでもいいと思っていた者の方が、思わぬことを
口走ったりするものなのだ」

「例えば、お前は道を行き交う女子高生や男子高生の会話に
耳を傾けたことはあるか?」

「ないよ、そんなの」

「1つや2つ聞いただけでは分からぬが、それを何十回、何百回と
聞いていると、彼らが本質的には同じことしか喋っていないことが
分かってくる」

「そういった普段からの地道な活動がリサーチなのだ」

「わかったか」

「うん・・・」

「何か言いたそうだな」

「なんでもない」

「そうか」

「では飯にするぞ」

 

昼食の間、二人(一人と一匹)は終始無言だった。

鉄平は自分で考えた答えをレオン様に聞いてもらうつもりだったが、
いきなり説教が始まって出鼻をくじかれてしまった。

加えてその説教が自分の至らない部分を的確に突いているがゆえに、
鉄平は何も言えなくなってしまったのだ。

レオン様の言っていること、それ自体は正しい。

しかし今回の場合は、それを言ったタイミングが悪かった。

どれだけ正しいことも、誤った文脈で使えば誤りになる。

レオン様とて、やはり完璧ではないのだ。

さっきの説教で、鉄平のやる気はすっかり萎えてしまっていた。

リサーチどころか何もやる気にならない。

昼食が終わってもそれは変わらなかった。

 

・・・昼食後・・・

 

鉄平は外に出かけて、気分を変えることにした。

「ちょっと出かけてくる」

1分ほど歩いて、彼はあることを思い出した。

「そういえば、ゲンさんどうしてるだろ」

リサーチのことに夢中になり過ぎて、鉄平はゲンさんのことを
すっかり忘れていたのだ。

「あれだけ協力してもらったんだから、ブログをやめたことは
ちゃんと伝えておかないとダメだよな」

「よし、一旦家に帰ってお土産にかつお節を持って行こう」

鉄平は一度家に戻り、かつお節の袋を1つ持っていつもゲンさんと
会っていた場所へ向かった。

しかし、辺りを見回しても茶色い猫は見当たらない。

「もういなくなっちゃったのかなぁ・・・」

「おーい、ゲンさーん!」

「おうっ!」

その声に反応して鉄平が振り向くと、そこには小太りの黒猫がいた。

「え、ええっ!?ゲ、ゲンさん!?」

「ひさしぶりだな、元気だったか?」

「いやいや、そんなことより、いつから黒猫になったのさ」

「あ、これか?」

「さっき煙突から落っこっちまってな」

「いまどき煙突って」

「知らねぇのか?まだ古い銭湯には煙突があるんだぜ、粋だろ?」

「ま、まあ確かに粋だけど・・・そんなところに何の用が・・・」

「猫はいつだって気の向くままに生きてんだよ」

「そうでしたね・・・」

「あ、いや、そんな話をしに来たんじゃなくて、今日はいろいろ
報告しなきゃいけないことがあって」

「なんだ、急にどうした」

「あのー、ちょっと言い難いんだけどさ、前やってたブログ、
やめちゃったんだ」

「ほう、そうか」

「え、あれ、それだけ?」

「別にいいじゃねーか、死ぬワケじゃあるめぇし」

「俺はそんな小せぇことを気にするほど、小せぇ猫じゃねぇ」

ぽよん、ぽよん。

鉄平はゲンさんのお腹をなでている。

「なにしてるんだ?」

「確かに大きい猫だな、と思って」

「お前も蝋人形にしてやろうか」

「冗談だってば」

「というか、なんでゲンさんがそんなネタを・・・」

 

「それより、ありがとう、ちょっと気が楽になったよ」

「そりゃよかったな」

「だけどよぉ、お前も小せぇ男だな」

「謝るぐらいなら、もっとデカイ土産を持ってくるっていう発想に
ならねぇのか?」

「あ、そう思ってかつお節を」

「そういうことじゃねぇ」

「え?」

「ブログはやめたけど一億円稼いだとか、ブログはやめたけど
可愛い彼女ができたとか、そういう報告をするのが『報いる』
ってことじゃねぇのか、ってことだよ」

「俺は最初から礼なんて求めちゃいねぇ」

「俺はお前に協力したいと思ったから協力しただけだ」

「そういう相手に対して報いるなら、協力した甲斐があったと、
それが無駄じゃなかったと思わせるべきだろ」

「『ブログをやめました』だけ言われても、俺も『そうか』としか
言い様がねぇじゃねぇか」

「ごめんなさい・・・」

「そうじゃねぇ」

「そこは『見返してやるから待ってろ!』って言うんだよ」

「み、見返して・・・やるから・・・待ってろ!」

「そうだ、それでいい」

「男だろうが、猫だろうが、二言はなしだ」

「次会うときはデカイ土産を持ってこいよ」

「は、はい!」

 

帰り道、ゲンさんに喝を入れられた鉄平はやる気を取り戻していた。

「ゲンさんってカッコイイなぁ」

「レオン様じゃなくて、ゲンさんが師匠だったらよかったのに」

「とにかく今はゲンさんにデカイ土産を持っていけるように
もっと頑張らないと」

「うしっ!」

家に到着。

「ただいまー」

「長い散歩だったな」

「まあね」

「お、いいものを持っておるではないか」

レオン様は鉄平の持っているかつお節に気付いた。

「なんだ、私に黙って他の猫に餌づけでもしていたのでは
あるまいな」

「ち、ちがうよ」

「ではなぜそんなものを持っておるのだ」

「そ、それは・・・」

「怪しい・・・」(ジーーーー)

「うっ・・・」(もぞもぞ)

「交換条件だ」

「そのかつお節を素直に差し出せば、これ以上の詮索はしないで
おいてやろう」

「卑怯者!」

「嫌なら何をやっていたのか話すまで私は帰らぬぞ」

「うぅ・・・わ、わかったよ、レオン様にあげるよ」

「ふっふっふっ、分かればよろしい」

「ふぅ・・・」

「私がこれを食べている間に、晩飯を作っておくようにな」

「へいへい」

「どっかの猫とは大違いだな」(ぼそっ)

「何か言ったか?」

「なーんにも」

 

今日の一連の出来事が、翌日にあんなことに発展しようとは、
誰も知る由もなかった。

つづく。

※メルマガ登録はここをクリック。