【第28号】猫が教える成功哲学 ニャポレオン・ヒルの秘密(10)

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ども、杉野です。

久々にニャポレオンを書きました。

次回からニャタリー編の本編って感じでしょうかね。

今回はその導入になっています。

レオン様の出番はしばらくお預けです(笑)

成功哲学はどこへ?って感じですが、物語の性質上、
すべての記事にその要素を入れるのは無理があります(苦笑)

そこはご了承くださいませ。

 

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第28号 猫が教える成功哲学 ニャポレオン・ヒルの秘密(10)

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・・・2ヶ月と12日目・・・

「うーん、んんっ、あー・・・」

「ねみぃー・・・」

鉄平は自然と朝4時に目を覚ました。

「あー・・・んぁ?」

「あ、そういえば、もうこんな時間に起きなくてもいいんだった」

「でもこれだけ習慣になってると逆にやらない方が気持ち悪いん
だよなぁー・・・」

「さて、どうするか」

しばし悩む鉄平。

2分ほど悩んだあとに彼はあっさりと結論を出した。

「別に瞑想に罪はないんだし、これぐらいは続けておくか」

こうしていつものように瞑想を終えた鉄平はそそくさと朝食を済まし、
寺田との約束の前にもう一度ゲンさんに会いに行くことにした。

「今日はいるかなぁ・・・」

不安を抱えながら例の場所へ向かう。

辺りを見回すが、今日もゲンさんらしき猫は見当たらない。

と、そこに茶色い猫が鉄平の視界に入った。

「ゲンさんっ!」

「にゃー」

「なんだ、普通の猫か・・・」

「にゃーん」

「お前はいいよなー、気楽そうで」

「僕もお前みたいにのんびり暮らしたいよ」

そう言いながら近づくと、猫は駆け足で去って行ってしまった。

「はぁーあ・・・」

「おーい、ゲンさーん!ゲンさんってばー!いないのー?」

何度呼んでもやはりゲンさんは現れない。

このときもゲンさんは陰に隠れながらずっと鉄平の様子を窺っていた。

「どうしちまったんだ、アイツは」

「昨日と言い、今日と言い、この間と全然様子が違うじゃねーか」

「せっかく俺が喝を入れてやったのに、昨日から腑抜けた顔ばかり
してやがる」

「こいつぁ、何かあったに違いねぇ」

「とはいえ、ここで俺が表に出ていくと話がややこしくなりそうだ」

「もうしばらく様子を見て、状況を把握するべきだな」

ゲンさんは鉄平のことを放っておくことができなかった。

ブログの件からも分かるように、ゲンさんは天性の世話焼きなのだ。

それでいて義理と人情に厚いため、一度でも関わった人間のことは
放っておくことができない。

これが鉄平にとってこれ以上ないほど心強い味方となった。

そんな味方があとをつけて陰で見守ってくれていることなど
つゆ知らず、鉄平はゲンさんとの再会を諦め、寺田との約束の
場所へと向かうのだった。

 

・・・ホテルニャポレオン東京・・・

 

「うへぇー、表の入口が小さかったから普通のビジネスホテルかと
思ったけど、こんなにセレブなホテルだったのか・・・」

「この服装じゃ、場違いもいいところだな」

鉄平は一人で苦笑いしている。

「やけに猫の置物が多いのは、やっぱりあの名前に合わせてるん
だろうか」

「そういえば言われたときはその場の勢いで気付かなかったけど、
よくよく考えると嫌なことを思い出させる名前だよな・・・」

「まあ、もう関係ないからいいんだけど」

「篠原ー!」

「ん?」

鉄平が横を見ると、ロビーの豪華なソファーに座ってスーツに
身を包んだ寺田が手を振っていた。

「お、おう」

「待ってたぜ、じゃあ早速行こうか」

「うん」

部屋へ向かうエレベーターの中で鉄平が寺田に話しかける。

「ただ話をするだけなんだから、別にこんないいホテルじゃなくて
よかったのに」

「言ってなかったけど、これはニャタリーの指定なんだよ」

「え、そうなの?」

「そう」

「俺も話をするだけならもっと普通のホテルでいいと思ったんだけど、
ニャタリーがニャポレオン東京にしろってうるさくてさ」

「ふーん」

「お、着いた」

ドアが開くと、そこは部屋の入口になっていた。

「な、なんじゃこりゃ!」

「うおぉ、すげー!」

「寺田はニャタリーと一緒に来たんじゃないの?」

「いや、俺もこの部屋には今初めて来たんだよ」

鉄平たちの目の前には、リビングへと繋がるドアがある。

「よし、じゃあ入るか」

「う、うん」

寺田がそっとドアを開けると、一枚ガラスの巨大なパノラマの窓が
彼らを出迎えた。

「ひゃー!!」

2人は言葉にならない言葉を口にする。

と、次の瞬間、彼らの視界の下の方から声が聞こえた。

「おーほっほっほっ、2人とも興奮してるみたいね」

寺田が声をあげる。

「ニャタリー!」

ニャタリーはリビングの大きな絨毯の上に座っていた。

「待ちくたびれたわよ」

「え、さっき来たばっかりでしょ」

「おだまり!」

「へいへい、いっつもその調子なんだから」

寺田が鉄平の方を向く。

「あ、そうそう、こちらが偉大なる俺の師匠、ニャタリー嬢です」

「ニャタリーよ、よろしく」

「あなたのことは亮太から聞いてるわ」

「あ、亮太は俺の下の名前だから」

「篠原鉄平です、よろしくお願いします」

「いきなりだけど、鉄平って呼ばせてもらうわ、私のことは
『世界一美しくて優しくて賢いニャタリー様』と呼びなさい」

「え、あ・・・」

鉄平は声が出ない。

「冗談に決まってるでしょ、ニャタリーでいいわよ」

「それと敬語はなし、堅苦しいのは嫌いなの」

「はい・・・いや、うん」

「そう硬くなんなってぇ」

寺田が鉄平の背中をたたく。

「うへっ・・・」

「興奮してるところ悪いんだけど、早速本題に入りましょうか」

「本題って?」

「弟子入りのことに決まってんだろ、何寝ぼけてんだよ」

「あのー、そのことなんだけどさ」

「どうした」

「やっぱり気が進まないんだよね・・・」

「なんでだよ、まだゲンさんってヤツのこと考えてんのか?」

「うん・・・」

「ゲンさんって?」

ニャタリーが何かを察した様子で寺田に尋ねる。

「いや、ニャタリーの他に弟子入りしたい猫がいるらしいんだけどさ、
そいつの名前がゲンさんって言うんだよ」

「俺はそんなヤツやめとけって言ったんだけど」

「それってもしかして・・・茶色い猫のこと?」

「え、ニャタリーはゲンさんのこと知ってるの!?」

「し、知らないわよ、あんな猫のこと・・・」

突然ニャタリーの顔色が曇る。

「ねぇ、何か知ってるの?ゲンさんって何者なの?凄い猫なんでしょ?
知ってるなら教えてよ!」

「・・・(イライラ)」

「ニャタリーとゲンさんはどういう関係なの?さっき知ってる
ようなこと言ったじゃない」

「だから知らないって言ってるでしょっ!!これ以上その名前を
出したらひっかくわよっ!!」

ニャタリーはヒステリー気味にそう叫んだ。

「おい、篠原、その辺でやめとけよ、ニャタリーが嫌がってるだろ」

「でも・・・」

「なんかお前のせいで空気が重くなっちゃったなぁ」

「ごめん・・・」

「さて、これからどうするか」

そこでニャタリーが急に思い立ったように口を開いた。

「鉄平、今日から私の弟子になりなさい」

いきなりのニャタリーの発言に戸惑う鉄平。

「そんなこと急に言われても、まだゲンさんのことが・・・」

「いいから、なりなさい」

「でも・・・」

「あぁ、もう、イライラするわね、だったらなんのためにここへ
来たのよ」

「いや、その場の流れで仕方なく・・・」

「流れ?」

ニャタリーはキレ気味だ。

「流れだか何だか知らないけど、実際に足を動かして来たのは
あんたなんだから、それはあんたの責任でしょ」

「それは、そうだけど・・・」

「まさかこのまま『やっぱり弟子入りやめます』で済むとは
思ってないわよね?」

鉄平は助けを求めて寺田の方を見たが、寺田は知らん顔をしている。

「弟子入りせずに帰るって言うなら、この部屋のお金、
全額払ってもうらから」

「そ、そんな・・・」

「それが嫌なら弟子入りするしかないわね」

鉄平が寺田の方へ向かって叫ぶ。

「おい、寺田、どういうことだよ、こんなの聞いてないよ」

「そりゃ言ってないからね」

「お前、俺に恨みでもあるのか?」

「いやいや、そんなのはないって」

「ただね」

「ただなんだよ」

「俺にも色々事情があって、篠原の助けが必要なんだよ」

「助け?」

「そう、詳しいことは後でちゃんと説明するから、今は大人しく
ニャタリーの弟子になっておこうぜ、悪いようにはしないって」

「そんなの信用できるワケないだろ!」

「じゃあホテル代払うか?ニャタリー、ここっていくらだっけ?」

「一泊百万円」

「そんな金、無いに決まってるだろ」

「だったら選択肢は1つなんだから、何も迷うことはないでしょ」

「ホテル代はこっちでもつ、って先に言ってたじゃないか」

「そりゃ弟子入りすれば、っていう話だよ」

「仲間にならないヤツに百万円もつぎ込むバカはいないって」

「別にさぁ、篠原を追い込むためにこんなことをしてるワケじゃ
ないんだよ」

「ニャタリーに弟子入りすれば篠原も絶対稼げるようになるから、
取り合えず弟子入りだけしとこうぜ、なっ?」

それから鉄平は散々寺田に反論したが、鉄平の選択肢が増えることは
なかった。

 

気付いた頃には窓の外はもう真っ暗になっていた。

「じゃあこの紙にサインして」

鉄平の気力はもう尽きかけていたが、最後の力を振り絞って
なんとか差し出された契約書にサインした。

「うぃー、おめでおう!」

「これでやっと仲間になれたな」

鉄平は声を出す気にもなれない。

「詳しいことはまた明日話すから、今日は取り合えずこの部屋で
ゆっくり寝てくれ」

「あ、約束通り部屋代はニャタリーが払ってくれるからご心配なく」

鉄平は目で頷いた。

寺田との口論で鉄平は気付かなかったが、いつの間にか部屋から
ニャタリーはいなくなっていた。

喋る猫たちはみんな、サラッと姿を消すのが上手いらしい。

寺田が部屋を出たあと、ベッドの下に隠れたいたゲンさんが姿を現す。

鉄平のあとをつけていたゲンさんは、周りの隙を突いてベッドの下に
忍び込んでいたのだ。

さすがホンモノ、と言ったところだろうか。

「へんっ、怪しいと思ったらこういうことだったか」

「鉄平はもう寝ちまってるみたいだな」

「ニャタリーめ、しばらく見ない間にまた変なことを企みやがって」

「ま、俺に勝とうなんざ、百年はえーな」

そして眠っている鉄平に向かってゲンさんが話しかける。

「鉄平、心配すんな」

「そのうち俺がなんとかしてやるからな」

こうしてまた鉄平の新しい日々が始まるのだった。

つづく。

 

 

【第27号】成功者として考える

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ども、杉野です。

書店の売れ筋ベスト10を見て悲しくなる今日この頃ですが、
そんなことは気にせず、われわれはわれわで頑張りましょう。

 

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第27号 成功者として考える

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成功者の真似をすれば成功する。

このことについては、これまで何回かお話ししてきましたが、
今回はその「真似の仕方」をお話ししたいと思います。

結論から言ってしまうと、やることは極シンプルです。

ある状況(どんな状況でも構いません)に立たされたときに
「こういうとき成功者なら何をどういう風に考えるだろうか?」
ということを考えるだけ。

この成功者は実在する人物でもいいし、自分の中にある成功者の
理想像でも構いません。

悲しいとき、悔しいとき、苦しいとき、イライラするとき、
失敗したとき、逃げ出したいとき、成功者なら何を考え、感じ、
どんな気持ちで、どういう行動を起こすか。

それを想像して、そのように振る舞えば、真似は完了です。

シンプルでしょ?

ただし、この真似の精度、つまりどれだけ細かく成功者が
考えることや感じることを真似できるかによって成功の度合いは
変わってきます。

例えば今あなたはこのメルマガを読んでいるワケですが、
もし成功者ならこのメルマガに対してどのような感想を持つと
思いますか?

「なるほど」と思うのか、「当たり前のことだな」と思うのか、
それとも「しょーもな」と思うのか。

そういうことをいちいち考える癖をつけてください。

その時間が長ければ長いほど、成功者として考えれば考えるほど、
あなたは着実に成功者へ近づいていきます。

なぜなら、その時間だけ、あなたは成功者として生きたことに
なるからです。

 

成功者として考えることが特に効果を発揮するのは感情的に
なっているときです。

翌日配達になっていたのに、1週間経ってもまだ商品が届かない。

こういうとき、われわれはイライラしてしまったり、
場合によっては汚い言葉で苦情を送ったりしてしまうワケですが、
果たして成功者はそんなことでいちいち怒るでしょうか?

彼らはそんなに暇人で、器の小さい人間なのでしょうか?

こうやって考えると、イライラすること自体がバカらしくなり、
むしろ自分の器の小ささを実感して反省することになります。

そのときの感情に流されるような幼稚な人間が、成功なんて出来る
はずがない。

そういう自分の弱さや愚かさを強く自覚し、それを戒め続けている
からこそ、成功者は成功者であれるのです。

 

成功者として考えるということは、自分を成功者の視点から見る
ということです。

さて、ここでまた質問です。

もしあなたが成功者だったら、今のあなたと友達になりたいと
思うでしょうか?

この答えがNOならば、なぜNOなのかを考えてください。

そこから得られた答えが、あなたが成功するために必要なことです。

ご存知の通り、成功者の周りには成功者が集まってきます。

それ故そこにはオイシイ話がゴロゴロしており、彼らは互いに
利益を与え合いながら成功の度合いを高めていきます。

一方、凡人の周りにはやはり凡人が集まります。

そこでは下らない世間話や思い出話や愚痴などが飛び交うだけで、
一時的な快楽以外に得られる利益は何もない。

そうして彼らは、成功者たちとは対照的に、互いの足を引っ張り
合っているのです。

今あなたの周りに凡人しかいないならば、それは今のあなたに
凡人を引き寄せる程度の魅力しかないからです。

まずはその現実を、成功者として考えることを通して、
受け止めなければなりません。

成功者なら今の自分を見てどう思うだろうか。

その問いから、自分の今やるべきことが見えてくるのです。

 

やってみれば分かりますが、成功者として考えるのは簡単では
ありません。

感情的であればあるほど、なかなか落ち着いてそういうことは
考えられない。

けれども、そこを乗り越えないと人間の器は広がらないワケです。

思い出したときだけで構わないので、ここまで話したことを
実践してみてください。

1ヶ月も続ければ、自分の気持ちの変化にも気付くと思います。

変化は「ちょっとずつ」です。

地道にいきましょう。

ありがとうございました。

【特別号】成功者の真似をするために ~Copy the Secrets~

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ども、杉野です。

いよいよ、こっちのメルマガでも教材を作ってしまいました。

今回はその案内を兼ねた記事です。

忘れないように最初に言っておきます。

『Move On』セミナーのExpertコースを受講されている方には、
この教材を無料で差し上げますので、間違って買わないように
してください。

『Move On』って何?と思う人も一定数いると思いますが、
分からなければ気にしなくて大丈夫です。

それでは、渾身の記事をどうぞ。

 

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特別号 成功者の真似をするために ~Copy the Secrets~

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成功者の真似をすれば成功する。

これまで僕は何度かこの手の話をしてきました。

あるときは直接的に「成功者の内面を真似しましょう」と言ったり、
またあるときはやや間接的に「成功者ように自分の限界を
知りましょう」と言ったり、「成功者の覚悟を身に付けましょう」と
言ったりしてきたワケですが、そもそも成功者の真似をするためには、
成功者のことをよく観察し、詳しく知らなければならないということに
気付いているでしょうか?

当たり前ですが、「成功者の内面を真似する」と一言で言っても、
成功者の内面とは何なのか、成功者は普段何をどんな風に考え、
どんな風に物事を見ているのかを知らなければ、真似することは
できません。

例えば成功者の思考はネガティブかポジティブかどちらかなのか
知っていますか?

「そりゃポジティブに決まってるでしょ」と多くの人は思っていると
思いますが、それは間違いです。

じゃあネガティブなのかというと、それも間違い。

そもそも成功者はネガティブやポジティブという二元論的な思考を
していません。

巷の自己啓発本では「ポジティブになりましょう」みたいなことが
よく言われますが、それはまったく成功者の真似になっていない
ということです。

自分が成功者だったら、ということを考えてみてください。

既に成功しているのに、わざわざ「ポジティブになろう」なんて
考えますか?

考えませんよね?

ポジティブになろうと思うのは、そうやって意識しないと
ポジティブなれない人、「まだ成功していない人」の発想です。

要するにそれは凡人を真似しているだけなのです。

 

上記の例だけでも、いかに多くの誤解(もはや迷信)が世間に
蔓延しているかは想像できると思います。

その誤解を誤解のまま真似したところで、当然、成功者には
なれません。

当たり前ですが、成功者の真似をするためには、成功者のことを
正しく知らなければならないワケです。

ここで問題になるのが、どうやれば成功者のことを正しく知ることが
できるのか、ということです。

少なくとも巷の本があてにならないことは既に分かったと思いますが、
そうなると考えられる方法は2つです。

1.成功者に直接会う
2.成功者のことを「正しく」知っている人に教えてもらう

このどちらかしかないと思います。

1は厳密に言うと、自分のことを深く理解している成功者に直接会う、
ということです。

自己啓発本の著者のような自称成功者は、さっき話した例でも
分かるように、自分のことをほとんど理解していません。

「ポジティブになりましょう」みたいなアホなことを平気で言える
ワケですから、その程度はたかが知れています。

彼らはあくまで成功した人間であって、成功「させた」人間ではない
ということに注意してください。

成功することと、成功させることとは、必要とされる能力がまったく
異なるのです。

イチローや白鵬は恐らく世間的には成功者だと思いますが、
彼らが必ずしも名監督や名親方になれるワケではありません。

もっと身近な例で言うと、勉強のできるヤツが、勉強を教えるのも
上手いかというと、そうとは限りません。

むしろ東大生なんかは、普通の人よりも教えるのが下手だったり
するワケです。

逆に自身の成績はそこそこでも、教えるのが上手い名監督や名親方、
素晴らしい先生はたくさんいます。

われわれが直接会うべきは成功させることのできる、われわれを
成功へと導くことのできる(教えるのが上手い)成功者です。

彼らは自分のことを深く理解しています。

だからこそ彼らは自分の成功法則を「正しく」伝えることができるし、
自分と同じような結果を他者にも出させることができるのです。

 

2はそのまんま。

なんとか成功者のことを正しく知っている人を見つけて教えてもらう
だけです。

この人は必ずしも成功者とは限りません。

というのは、「知っていること」と「できること」の間には
それはそれは大きな溝があるからです。

このことから、成功者のことを正しく知っていても、それを正しく
真似できるとは限らない、ということが分かります。

成功者のことを正しく知った上で、それを正しく真似するための能力が
別に必要だということです。

これはモノマネのことを考えれば分かりやすいかもしれません。

例えばミッキーのモノマネができる人は、ミッキーの声や仕草を
よく知っていて、それをその通りに再現できるだけの能力があります。

ミッキーぐらい有名になれば誰だって声や仕草は知っていますが、
それを真似しろと言われても普通はできないですよね?

それと同じことが成功者を真似する場合にも言えるワケです。

とはいえ、真似する能力は、真似を練習することで身につきます。

何度も何度も練習しているうちに、真似は勝手に上手くなって
いきますから、根気さえあればそこまで大きな問題ではありません。

難しいのはやはり成功者のことを正しく知ることです。

その意味で成功者の真似をするための肝となるのはやはり

1.成功者に直接会う
2.成功者のことを「正しく」知っている人に教えてもらう

の2つと言えるでしょう。

 

話をまとめると、われわれが成功者の真似をするためには、

1.成功者のことを正しく知る
 (1)成功者に直接会う
 (2)成功者のことを「正しく」知っている人に教えてもらう
2.成功者のことを正しく真似する能力を身につける

という2ステップを踏まなければならないことが分かります。

ただ2については反復練習あるのみだということで、実際には1の
「成功者のことを正しく知る」だけが、目下、われわれにとっての
問題なワケです。

ここで「じゃあ自分で頑張ってね」と言って終わってもよかったの
ですが、それではあまりにも酷だろうということで、今回はじめて
教材を作ってみることにしました。

別に僕の言うことが絶対に正しいワケではないし、僕よりも優れた
教師や師匠はいると思いますから、そういう人がいるならそちらを
優先してください。

あれもこれもと手を出すより、自分の信じた人を信じ抜く方が
いろんな意味で利点が多いですからね。

ただ、そういう人がいない、どこにも信じられそうな成功者が
いないということであれば、僕の教材から始めてみるのもいいかも
しれません。

有料にはなってしまいますが、なんちゃらプログラムみたいな
ぼったくり価格ではなく、高校生、いや、中学生でも頑張れば
払えるぐらいの価格にしてありますので、ご心配なく。

それでは内容の話に入っていきましょう。

 

今回、僕が提供する教材はPDF形式のレポートです。

成功者の何をどのように真似すればいいのか。

巷で言われていることの何が正解で、何が間違いなのか。

それを僕が文章で詳細に解説します。

具体的な内容は例えば

 

●凡人が真似すべき7つのこと(この7つのことを真似するだけで、
誰でも成功者になれます。これは僕の人生を懸けて保証します。
いつも言うことですが、成功者は特別なことをしているから成功者に
なれたのではありません。つまりこの7つのことも、誰にでもできる
当たり前のことなのです)

●「成功したい」と思ってはいけない当たり前の理由(もしあなたが
成功したいと思うならば、成功することを望んではいけません。
成功したいと思えば思うほど、あなたは成功から遠ざかっていきます。
そのあまりにも当たり前な理由を解説します)

●成功者にとって成功よりも大切なものとは何か(もしこれを自力で
見つけられないならば、あなたが成功者になる見込みはありません)

●成功者だけが気付いている、誰もが持っている成功のカギとは何か
(成功者は別に特別な資質を持っているから成功者になれたのでは
ありません。彼らはただ自分の胸に「いつも既に」かかっている
成功のカギに気付いただけなのです。そのカギは当然、今この瞬間、
あなたの胸にもかかっています。それに気が付けば、成功するまでの
道のりも、そう遠くはないでしょう)

●なぜわれわれは成功しなければならないのか(人間にとって、
成功することは単なる「希望」ではなく「義務」です。この意味が
分からなければ、一時的なお金持ちにはなれても、人生の成功者には
絶対になれません)

●なぜ成功者は不安を恐れないのか(これは成功者に勇気があるから
ではありません。彼らは勇気などという得体の知れないものに頼るほど
落ちぶれてはいません。憶測だけでものを言うのはやめましょう)

●凡人よりも成功者の方が不安が多い理由(一般的な認識とは違い、
成功者は凡人の何十倍、何百倍もの不安を抱えています。その理由は
成功者が成功者である理由を考えれば誰でも分かるはずなのですが、
残念ながらその結論に自力で到達できる人は少ないようです)

●成功者は不安とどのように付き合っているのか(まず、成功者は
不安から逃げません。逃げないということは・・・。ここから先は
考えれば分かるのではないでしょうか?)

●成功者と凡人の視点の違い(成功者と凡人とでは、同じものを見ても
見えているものがまったく異なります。どうしてここまでの違いが出て
しまうのか。その理由を端的に解説します)

●なぜプラスチック製品を買うと成功できないのか(一見すると意味の
わからない問いだと思いますが、こういうところに成功の秘訣は隠されて
いるのです)

●買い物と成功の意外な関係(普段何気なく行っている買い物は、
実は成功と密接に関わり合っています。もしかしたらあなたは
チョコレートを1個買う度に成功者から遠ざかっているかもしれません)

●なぜ成功者はいつも冷静なのか(凡人が慌てふためくような場面でも、
成功者は落ち着いて冷静な判断や行動ができます。これは彼らがいつも
意識している「あること」に関係しているのですが、僕が見たかぎり、
このことを語っているのは一部の難解な思想本を除いて他にありません)

●なぜ成功者は成功を恐れるのか(彼らは成功を喜ぶ反面、
恐れてもいます。彼らが成功を素直に喜べないのには、凡人には決して
分からない、成功者ならではの特殊な事情があるのです)

●成功者にとって人生の意味とは何か(「人生に意味なんてない」
ということがたまに言われたりしますが、それは正解でもあり、
間違いでもあります。成功者は人生の意味をどう考えているのか。
それを知っておくことも彼らを真似するためには欠かせません)

●「子供っぽさ」とは何か(成功者には必ずどこかに子供っぽい部分が
あります。彼らの真似をする以上、やはりこれも「詳しく」知っておく
必要があるでしょう)

●「真の」成功哲学が学べる本(僕が基本的にオススメの本を
紹介しないのはご存知だと思いますが、1冊だけ成功哲学的なことを
真面目に語っている本を最近見つけましたので、その1冊を特別に
紹介します)

 

などなどです。

レポートの容量はメルマガ記事に換算して約6通分、文字数にすると
1万文字程度です。

「量」だけを比べられると、僕の教材は一般の自己啓発書には
かないません。

けれども、「どれぐらい役に立つか」の度合いで、つまり「質」で
比べてもらえるならば、ゆうに3千倍はくだらないと思います。

一般の書籍が「役に立たない」事実を考えると、比べることすら
アホらしいぐらいです。

一般の書籍が1冊千円とすると、その3千倍、役に立つのですから、
教材の妥当な値段としては300万円ということになります。

しかしながら、元々役に立たないものが千円で売られていることが
問題なのであって、それを基準に値段を設定することはまったく
フェアではありません。

フェアな設定としては、アマゾンで売られている中古本市場の価格で
考えるべきでしょう。

そうなると、ベストセラーの自己啓発本で1年以上経過したものは
大体1円になっていますね。

それが一般書籍の正当な価格です。

ですから、それを基準にして今回の僕の教材はその3千倍の3千円と
させて頂きました。

300万円から3千円へ、驚愕の99.9%オフです。

これで高いと言われたら、もう店をたたむしかありません(笑)

まあ冗談はともかく、内容は至極真面目に書かれていますので、
興味があれば読んでみてくださいませ。

 

教材のご購入はここをクリック(クレジット決済)。

※銀行振込での支払いをご希望の場合は、このメールにその旨を
返信して頂ければ対応いたします。

ただし手間の関係で銀行振込の対応は10月末までとしますので、
ご了承ください。

 

大事なことなので、最後にもう一度だけ言わせてもらいます。

自己啓発本を出版している有名な自称成功者たちは、自分が成功した
だけであって、誰かを成功「させた」人たちではありません。

ナポレオン・ヒルにしても、彼は成功「した」人たちを分析して、
「自分が」成功しただけで、彼の書いた本が成功「させた」のは、
ほんの一握りの人です。

彼らは、自分が成功することと、誰かを成功させることとの間に、
大きな壁があることを理解していない。

既に成功した人たちを分析して本にまとめたのがナポレオン・ヒルの
功績ですが、それは決して「成功できなかった人が成功できた方法」
ではありません。

彼がまとめたのは、

「成功するべくして成功した人が成功できた方法」

なのです。

この2つがまったくの別物だということが分かるでしょうか?

喩えるなら「東大生が英語を使えるようになった方法」と
「バカが英語を使えるようになった方法」の違いみたいなものです。

東大生は元々頭がいいワケですから、バカにはできない方法でも
あっさりできてしまいます。

けれども、バカはバカなので、バカに合った方法しかできない。

これは別にバカが悪いと言っているワケではなく、東大生とバカには
それぞれに合った方法がある、ということが言いたいのです。

僕はバカなので、バカの気持ちがよく分かります。

そして、どうやればバカが東大生になれるかも知っています。

だからそれを教えられるのです。

 

あなたが信じてついていくべきは、単なる成功者ではなく、

「優れた指導者」

です。

その人がどれだけ稼いだか、どれだけ成功したかは、あなたとは
ほとんど関係がありません。

彼がどれだけ「稼がせたか」、どれだけ「成功させたか」。

それがあなたにとって重要なことなのです。

これだけは理解しておいてくださいね。

ありがとうございました。

杉野

 

追伸1:教材の名前。

そうそう、教材の名前を言っていませんでしたが、

『Copy the Secrets』

ということにしておきます。

名前なんてどうでもいいんですけど、無いと何かと不便なんで。

 

【第26号】思い込みは現実化する

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ども、杉野です。

台風11号の被害が最小限で済むことを祈りつつ
26回目のここヒル配信です。

 

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第26号 思い込みは現実化する

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ナポレオン・ヒルの書いた有名な本に『思考は現実化する』
というものがあります。

この本については巷のブログでもよく取り上げられていて、
僕が見たかぎりほとんどの人は「ホントに思考は現実化するん
ですよ!」的なことを言っています。

みんなそれぞれに実体験を根拠にして「私はこうやって思考を
現実化させました」と言っている。

別に今はこのことをとやかく言うつもりはありません。

本人がそうだと言うのだから、恐らくそうなのでしょう。

僕がここで考えたいのは、そういう個人的な体験を根拠にした
主観的なものではなく、もっと万人の役に立つ客観的なもの、
つまり思考が現実化する「原理」です。

なぜ思考は現実化するのか。

どういう理屈で、何がどうなることで思考は現実化するのか。

それを今回は考えてみたいと思います。

 

最初に考えたいのは、「現実化する思考」とはどのような思考か、
ということです。

当たり前ですが、すべての思考が現実化したら世界は大変なことに
なってしまいます。

例えば誰かと喧嘩したときに「あんなヤツ、死ねばいいのに」と
一瞬だけ思ったことが現実化したら、かなりヤバイですよね?

でも、そんなことはまず起こりません。

われわれの思考は基本的に「現実化しない思考」だからです。

では「現実化する思考」とは何なのか。

一般にそれは、繰り返し強く思ったこと、とされます。

何度も何度も「自分は成功できる、自分は成功できる・・・」と
刷りこむことによって強く思考できるようになり、やがてそれが
現実化する、という具合です。

要するに、そこで言われているのは、弱い思考は現実化しないけど、
強い思考は現実化するということです。

では思考の強さとは何なのでしょう?

われわれが「1+1=2」という思考をする場合、そこにおける
思考の強さは、1+1=2の度合い、です。

厳密に言えば、1+1=2だと思い込んでいる度合い、です。

1+1=2自体には是非があるだけであって、強いや弱いという
度合いはありません。

今は10%ぐらい1+1=2なんだけど、なんとかがんばって
50%ぐらい1+1=2にしてほしい、みたいな会話はあり得ない
ですよね?

そういうことです。

同様にして、「自分は成功できる」という思考をする場合も、
そこにおける思考の強さは、そう思い込んでいる度合いを
意味します。

つまり思考の強さとは、思い込みの強さであり、思い込みの強い
思考は現実化するということなのです。

 

ここでまた疑問が湧きます。

なぜ思い込みの弱い思考は現実化せず、思い込みの強い思考は
現実化するのでしょうか?

今考えたことから導けるのは、思い込みの強さが現実に影響を
与えているということです。

だとすれば、思い込みと現実の間には何らかの関係があります。

ところで、現実とは何でしょうか?

例えば僕の目の前にはパソコンがありますが、このパソコンが
存在することは僕の現実です。

けれども、もしかしたら、それは僕が勝手にそう「思い込んでいる」
だけかもしれません。

なぜなら、われわれには何かが存在することを証明することは
できないからです。

僕は目の前にパソコンが見えている気がしているだけかも
しれないし、パソコンを触っている気になっているだけかも
しれない。

自分の感覚は絶対にウソをつかないと、どうして断言することが
できるでしょう。

万人がパソコンの存在を認めたとしても、万人の感覚が誤っている
可能性は消えません。

『シックスセンス』ではありませんが、本当は死んでるのに、
生きているつもりになっている、という可能性もあります。

だとすれば、現実とは、われわれがそう思い込んでいるものに
過ぎないのではないでしょうか。

自分の感覚を正しいと思い込み、その感覚が知覚したパソコンは
存在すると思い込み、自分はそれを正しく捉えていると思い込む。

そう、現実とは、われわれの思い込みそのものなのです。

 

ここまでくれば、なぜ思い込みの強い思考が現実化するのかは、
誰でも分かると思います。

それは

思い込むこと=現実化すること

だからです。

ただここで注意しておきたいのは、実は思い込みには
度合いなんてない、ということです。

思い込んでいるか否か、思い込みにはそれしかありません。

99%の思い込みは、思い込んでいないのと同じです。

だって「思い込む」という言葉の定義が、100%そう思っている、
一切疑いを挟まない、という意味なんだから。

その意味で、ちょっとだけ思い込む、は語義矛盾です。

50%満杯みたいな。

満杯なのか、50%なのか、どっちやねん、と。

そんな感じです。

思い込んでいるか否かが、それが現実化するか否かを決めているのです。

 

今回のタイトルは『思い込みは現実化する』としました。

この間に入っている「は」という助詞は、『思考は現実化する』の
「は」と同じ意味で使っています。

多くの人は、この「は」を勝手に解釈して「思考することによって
現実化する」と思い込んでいますが、この「は」は因果関係ではなく、
順接の「は」です。

どういうことかというと、「思考は現実化する」の正しい解釈は
思考=現実化する、だということです。

思考する「から」現実化するのではなく、思考「は」現実化するのです。

思考「即」現実化、と言い換えてもいいでしょう。

この思考は思い込みのことですから、思い込み「即」現実化です。

それが『思考は現実化する』『思い込みは現実化する』の正しい
解釈であり、意味なのです。

 

あなたの現実は、あなたの思い込みが作っています。

あなたにとって今の現実が望ましくないものならば、
それはあなたが望ましくないことを「そういうものだ」と
思い込んでいるということです。

人生なんてちっぽけなものだ。

俺の人生なんて所詮はこんなものだ。

そう思い込んでいるかぎり、その思い込みはそのまま現実化します。

現実化は今この瞬間にも起こっています。

焦る必要はありませんが、そのことをいつでも自覚するようにして
ください。

思い込みを変えるには、思い込みを知らなければならないのです。

ありがとうございました。

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【第25号】猫が教える成功哲学 ニャポレオン・ヒルの秘密(9)

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ども、杉野です。

いやー、筆が進むのはいいんですが、ニャポレオンの終わりが
まったく見えてきません(苦笑)

こんなことになるなら、最初からもっと色々伏線やら仕込んで
おけばよかったと、若干後悔しています。

そんなワケで、そのうち最初の1・2話辺りをリニューアルする
かもしれません(と言っても、話が変わらない程度に、ですが)。

もちろんそのときはちゃんとお知らせしますので、ご心配なく。

ではでは、本編をどうぞ。

 

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第25号 猫が教える成功哲学 ニャポレオン・ヒルの秘密(9)

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・・・2ヶ月と11日目・・・

ゲンさんの喝でやる気を取り戻した鉄平は、この日の朝、レオン様に
もう一度リサーチの話を切り出した。

「あのさ、昨日話そうと思ってたことなんだけど」

「なんだ」

「リサーチの話」

「うむ」

「考えたこと、聞いてもらってもいい?」

「申してみよ」

「リサーチとは、相手のことをよく理解することであり、それと同時に
自分のことをよく理解することだと思う」

「理解するとは、コミュニケーションの文脈では、その人の立場を
想像することができる、もしくは客観的にその人を見ることができる、
みたいな意味」

「まとめると、リサーチっていうのは自分や相手を第三者的視点から
観察して、そこから何かその人の核となっているようなものを見つけて
いくことなんじゃないかな、って思ったんだけど、どう?」

「鉄平にしてはよく考えたではないか」

「へへっ、そう?」

鉄平は少し照れくさそうにしている。

「ところで、それはどうやってやるのだ?」

「それは・・・まだ考えられてないんだ」

「そうか、今まで私は何度も言っておるのだが、お前はそれに気付いて
おらぬようだな」

「え、そんなの一度も教わってないって」

「そう思うなら自分で考えればよい」

「そんなぁ・・・」

「その過程でまた一歩ホンモノに近づくのだから、よいではないか」

「そうかもしれないけどさぁ・・・レオン様ってなんか僕に遠回り
ばっかりさせてない?」

「なんだ、今ごろ気が付いたのか」

「じゃあ2ヶ月以上経っても何も進展しないのは、レオン様のせい
ってこと?」

「理屈上はそういうことになるな」

「暇つぶしは長く続くに越したことはない」

それを聞いて、鉄平の態度が急変した。

「なんだよそれ・・・なんなんだよ、昨日から・・・」

「そう落ち込むな、私も昔は師匠に」

「昔話なんてどうでもいいよっ!」

「どうした、怒っておるのか?」

「やれやれ、またお前は勘違いしておるようだな」

「その言葉は聞き飽きたよ」

「昨日だってそう言って、僕の気持ちも考えずに自分の言いたいことを
言ってただけじゃないか!」

「いいから聞かぬか」

「・・・もうこれ以上アンタの暇つぶしに付き合うつもりはないから」

「何を言い出す」

「止めても無駄だよ」

「昨日の時点で僕の心は決まってたんだ、アンタみたいなダラシナイ
猫じゃなくて、あの人(あの猫)についていこう、って」

「誰がダラシナイ猫だっ!」

「本当のことを言って何が悪いんだよ!」

鉄平の言葉に一瞬激情したレオン様だったが、次の瞬間には落ち着きを
取り戻し、冷静な声で鉄平に語りかけた。

「お前の言いたいことは分かった、ではこれからどうするのだ」

「そんなのアンタには関係ないだろ」

「それは私との約束を破るということか」

「そうだよ」

「こんなのやってられるワケないだろ」

しばらく沈黙が続いたあと、レオン様が口を開いた。

「・・・分かった」

「また私も暇になってしまうな」

鉄平は何も言わない。

「短い間だったが、それなりに楽しい暇つぶしになった」

「いい師に出会えるとよいな」

そう言い残して、レオン様は部屋を去っていった。

 

昼食後、鉄平は早速ゲンさんに会いに行った。

もちろん弟子にしてもらうためだ。

いつもの場所で何度か名前を呼んでみたが、ゲンさんは現れない。

「なんでこういう時に限って出てこないんだよぉ・・・」

実はゲンさんは近くにいたのだが、彼は鉄平の様子を察してあえて姿を
現さなかった。

あの表情、あの焦り具合、あの雰囲気、そして昨日の今日。

それらを勘案した結果、ゲンさんは会うべきでないと判断した。

鉄平はまったく気付いていなかったが、ゲンさんは鉄平が思っている
何十倍・何百倍も凄い実力者だったのだ。

ここで読者諸君には前にレオン様が言っていたことを思い出してほしい。

彼は鉄平にこんなことを言っていた。

「お前のような愚民には分からんだろうが、ホンモノの成功者ほど
実は裏でひっそり目立たずに世界を動かしているものなのだ」

これはそのままゲンさんに当てはまる。

忘れていないだろうか。

鉄平から見ればちょっと変わった粋で小太りな猫でしかないゲンさんも、
あのレオン様の師匠なのだということを。

ホンモノであればあるほど、自分のことを小さく見せようとする。

彼らは目立つことがリスクであることを理解しているがゆえに、
どこにでもいる平凡な猫(人間)を演じる。

そう思われている方が、何かと都合がいいのだ。

豪邸に住めば強盗に狙われ、年収を公にすれば多くの人に妬まれる。

顔が知れ渡ればプライバシーは侵害され、下手に賢いところを見せれば
相手に警戒されかねない。

だから彼らは「裏でひっそりと目立たずに」生きているのである。

ゲンさんがどの程度ホンモノなのかは、追々知ることになるだろう。

話を戻そう。

鉄平ががっかりしながらその場をウロウロしていると、突然、
彼の携帯電話が鳴った。

ピピピッ、ピピピッ(着信音)

「メールかぁ」

「え、寺田!?」

※久々の登場なのでお忘れかもしれないが、寺田は鉄平がかつて
勤めていた会社の同僚である。

「なんで寺田が急に???」

ピッ(メール確認)

そのメールにはこう書かれていた。

<うっす、久しぶり!ちょっと急なんだけど、今日の夜時間あるか?
もし暇だったら久々に飲まないか?あ、飲み代は俺のおごりで
いいからさ、その理由も含めて色々話したいことがあるんだよ、
よかったら連絡ちょうだい>

「なんなんだろ、急に」

「このタイミングでこのメールって・・・偶然とは思えないな」

「まあ今日はゲンさんもいないみたいだし、弟子入りは明日にして
久々に息抜きでもするかぁ」

<おう、行こう行こう!じゃあ6時半にいつもの居酒屋で!>

鉄平はそう返信した。

 

夕方、鉄平がいつもの居酒屋で待っていると、以前よりも随分と
派手な格好をした寺田が現れた。

「よっ!久しぶり!」

そう声をかけてきた寺田の顔は、気持ち悪いほど満面の笑みだった。

「お、おう」

鉄平は寺田の変わり様に少し動揺している。

「な、なんか変わったな」

「そうか?」

「派手になったっていうか、ギラギラしてるっていうか」

「まあ俺もいろいろあってね」

「何があったの?」

「そう焦りなさんなって」

「今日は全部俺がおごるから、ゆっくり話そうぜ」

ウエイターがやってくる。

「ご注文はお決まりですか?」

「あ、生中2つとタコワサ、あとサイコロステーキね」

「生中でよかったよな?」

「う、うん」

「オーダー入りまーす!生中2つと(以下略)」

「ところで篠原は最近どうしてたんだ?」

「最近かぁ・・・」

鉄平は少し迷ったが、レオン様のことを打ち明けることにした。

「前に話した猫の話、覚えてる?」

「まあ一応」

「ここだけの話なんだけど、これこれしかじか、ってことでその猫に
ホンモノになる方法を教わってたんだ」

「へー」

「あれ、前みたいに『寝ぼけるな』とか言わないの?」

「言わないねぇ」

寺田は不気味な笑みを浮かべている。

「なぜなら俺も今、猫にいろいろ教わってるからね」

「ええぇっ!!!!!!!!!」

鉄平はあまりの驚きに大声を出さずにはいられなかった。

「しぃーーーー!お前声デカイよ、周りが見てんじゃねーか」

「あ、う、うん、ご、ごめん」

「それって、どういうこと?」

「どういうことも何も言葉通りだよ」

「え、じゃあその猫の名前は?もしかして・・・レオン様?」

「はぁ?レオン様って誰?俺の師匠はニャタリーだよ」

「ニャタリー?」

「そう、正式な名前は忘れたけど、たしか、なんとかかんとか
ニャタリー・ヒルって名前だったと思う」

それを聞いて鉄平は少しほっとした。

「そ、そうか、なるほど」

「で、寺田はそのニャタリーに何を教わってるの?」

「そりゃー、この格好を見ればなんとなく分かるでしょ」

「・・・お金?」

「グッドラック!」

「グッドラック?」

「正解ってことだよ」

「それを言うなら、ザッツライト、だろ」

「まあ細かいことは気にしない」

「相変わらず言葉のチョイスが独特だな・・・まあいいや」

「そのニャタリーにお金の稼ぎ方を教えてもらったことで、
そんな格好ができるようになった、と」

「そういうこと?」

「イェス、ウィーキャン!」

「ウィーキャンは余計だって」

 

「それで、なんで僕にその話をしにきたの?」

「あ、そうだった、それを言わなきゃな」

「うん」

「いや、話は簡単なんだよ」

「お前もニャタリーに弟子入りしないか、ってことだ」

「僕が?」

「そう」

「そりゃ願ってもない話だけど、なんでそんなオイシイ話を
わざわざ僕に持ってきたのさ」

「そういうこと誘う相手だったらもっと他にたくさんいるだろ」

「お前さぁ、猫が喋るなんて、誰に言っても信じてもらえると思うか?」

「あぁ、なるほど、そういうことね」

「いくらお金があっても、周りから白い目で見られたら悲しいだろ」

「だから前に猫の話をしてたことを思い出して、お前にこの話を
振ったんだよ」

「そこは分かったけど、別にそのことを寺田一人で独り占めしておいても
よかったんじゃないの?」

「うっ、そ、それは・・・そうなんだけど」

「僕を誘わなきゃいけない理由でもあるの?」

「そ、そんな細かいことは、どうでもいいじゃん」

寺田の目が泳ぎ出した。

「だって、ほ、ほら、たった2ヶ月やそこらでこんなブランドの服とか
時計が買えるぐらいお金が手に入るんだぜ?」

「それのどこに断る理由があるんだよ」

「まあそうだけどさ、普通は気になるじゃん」

「逆だよ逆、普通は気にしないって」

「そうかなぁ」

「そうそう」

「でも・・・実は他に弟子入りしたい猫がいるんだよ」

「なんだよ、その猫って」

「ゲンさん」

「ゲンさん?なんだそりゃ、大工の棟梁かなんかか?」

「違うよ、ゲンさんは・・・あれ、ゲンさんって何者なんだっけ?」

「お前、何者か分からないヤツの弟子になるつもりなのか?」

「いや、ゲンさんは・・・」

「なんか知らないけどさ、そんな得体の知れないヤツの弟子になるより、
ちゃんと実績のあるニャタリーの弟子になった方が絶対いいって」

「うーん」

「よし、じゃあ明日俺がニャタリーに会わせてやるよ」

「え、いいよ、そんなの」

「遠慮すんなって、お前もニャタリーに直接会えば絶対に弟子入り
したくなるから」

「そうかなぁ・・・でも僕はゲンさんに・・・」

「じゃあ明日の昼1時半にホテルニャポレオン東京で待ち合わせな!」

「ホテル?」

「あんまり人目につくとマズイだろ」

「あぁ、そうか」

「金はこっちで持つから気にすんな」

「う、うん・・・いや、でも」

「そうと決まったらパーっと飲もうぜ!!」

 

結局、鉄平は寺田の誘いを断り切れず、ニャタリーに会うことに
なってしまった。

一方その頃レオン様は次の暇つぶし相手を既に見つけていたのだが、
それはまだ先の話。

鉄平はゲンさんの弟子になれるのか、それともこの流れのまま
寺田と共にニャタリーの弟子になってしまうのか。

鉄平の運命やいかに。

つづく。

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