【第20号】猫が教える成功哲学 ニャポレオン・ヒルの秘密(6)

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ども、杉野です。

久々にニャポレオン・ヒルの続きを書いてみました。

読んでみてくださいな。

 

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第20号 猫が教える成功哲学 ニャポレオン・ヒルの秘密(6)

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・・・11日目・・・

いつもの瞑想を済ませ、鉄平はレオン様と朝食を食べていた。

そこで鉄平は昨日の夜に考えたことを話し始める。

「昨日寝る前に考えたんだけどさ、まずは猫ブログを書くことから
はじめてみることにしたよ」

「ほう、そうか」

「で、そのブログには何を書くのだ?」

「そりゃもうレオン様にきまっ」

「ダメだ」

「えー、まだ言い終わってないじゃん」

「お前は自分の師匠を出汁に使う気か」

「だって身近にいる猫ってレオン様しかいないんだもん」

「甘えるな!」

「そもそもその猫ブログとやらと『みんなが笑顔で、貧困がなくて、
不安もなくて、誰もがやりたいことをやって暮らしている世界』は
どう関係あるのだ」

「うーん、それはまだ考え中」

「とりあえず、みんな猫の写真を見れば笑顔になるかなー、って」

「お前はやはり私の言ったことが理解できていないようだな」

「確かに私は、自分のやりたいことを世界に発信しろ、とは言った」

「だがな、鉄平」

「それは、ただデタラメに自分のやりたいことを発信すればいい、
ということではないのだ」

「え、そうなの?」

「でも発信してみないと周りがそれを望んでるか否かは
分からないんでしょ?」

「だったら数打つしかないじゃん」

「お前の言うことも一理あるが、そうではない」

「よく考えてみよ」

「誰が他の人気猫ブログを差し置いて、お前のブログなど見たいと
思うのだ?」

「お前は別に写真が得意なワケでもなければ、文章が上手い
ワケでもない」

「仮に私が写真を使うことを許可したとしても、そんな素人が
テキトーに書いたブログが読まれると思うか?」

「そんなのやってみないと分からないじゃん」

「そう思うならやってみればよい」

「ただし、私はモデルにはならんからな」

「えぇー」

「マタタビをご馳走してもダメ?」

「むむ・・・だ、だ、ダメだ・・・こ、これは譲らんぞ」

「ちっ、分かったよ」

「(絶対に見返してやる!)」

 

・・・朝食後・・・

 

「まずはモデルの猫をどうするかだなー」

「犬も歩けば棒に当たる・・・人も歩けば猫に当たる・・・」

「よしっ、たまには散歩でもするか」

鉄平は部屋を出て猫を探すことにした。

「そういえば動物園に行って以来の外出だなぁ」

「風がきもちぃー!!」

「お、もう蝶々が飛ぶような季節になったのか」

「うちの近所ってこんなに心地良かったっけか??」

「まあそんなことはいいか」

「とりあえず猫だ、猫」

「おーい、ねこー、いたら返事しろー!」

「・・・猫だが、なんか用か?」

「!?」

「今聞こえてはいけない声が聞こえたような・・・」

鉄平は振り返ってあたりを見回すが、何も見当たらない。

「・・・気のせい・・・だよな」

「よし、もう1回」

「おーい、ねこー!」

「だからなんか用か、って言ってんだろうがよ」

「うぇっ!?」

鉄平はふたたび振り返り、今度は入念にあたりを見回した。

すると近くの家の屋根の上に茶色い小太りの猫がこっちを
見ているのを見つけた。

「おい、そこの坊主」

茶色い猫が喋る。

「ちょっとこっち来いや」

「ちょ、ちょ、ちょっとって、言われても」

喋る猫に慣れた鉄平でも、さすがにこの不意打ちには動揺を
隠せない。

まさかレオン様の他にも喋る猫がいるとは想像もしなかったのだ。

「いいから来いって」

訳も分からぬまま鉄平は猫に近づいていく。

「お前、なんで猫なんて探してんだ?」

「い、いや、ちょっと、猫ブログを書くためのモデルを・・・」

「猫ブログ?なんだそりゃ」

「いや、あの、日記みたいなものです」

「ふーん」

「あ、あのー」

「なんだ?」

「な、なんで・・・喋れるんですか?」

「細けぇことは気にすんなよ、猫だってたまには喋りたいときぐらい
あるんだよ」

「は、はぁ」

「ところでよ、困ってんなら協力してやってもいいぜ」

「えぇっ!?」

「モデル探してんだろ?俺がやってやるよ」

「本当ですか?」

「あぁ、猫に二言はねぇ」

「(なんだかよく分からないけど)ありがとうございます!」

「あの、じゃあ早速写真撮っていいですか?」

「おう、自由にしろや」

「それじゃ遠慮なく」

カシャッ、カシャッ、カシャッ。

「えーっと・・・」

「どうした、遠慮なく撮ってくれていいんだぜ」

「そのポーズ・・・なんとかなりませんか?」

「あ?ダメか?」

「ダメっていうか、古いっていうか、猫らしくないっていうか」

猫はイヤミの「しぇー」のポーズをとっていた。

「じゃあこんなのはどうだ」

猫がポーズを変える。

カシャッ、カシャッ。

「うーん、もっと自然なポーズの方が有り難いんですが・・・」

今度はコマネチだった。

「なかなかモデルってのもてぇへんなんだな」

「もっと普通にしてくれていいんですよ?」

「いや、モデルになると言った以上は手を抜く気はねぇ」

「(かなり勘違いしちゃってるなぁ・・・)」

「分かりました、もう自由にしてください」

「よし、俺に任しとけっ!」

 

・・・撮影後・・・

 

「ふぃー、ちっと疲れたぜぇ」

「そういえばお前の名前聞いてなかったな」

「あ、俺は鉄平です、篠原鉄平」

「そうか、じゃあ今度からテツって呼ぶぜ」

「あの猫さんは?」

「俺か?俺はニャンドリュー・カーネギーってんだ」

「なんか聞いたことがあるような・・・」

「そうか?」

「まあそのままだと呼びにくいだろうから『ゲン』って
呼んでくれや、俺のあだ名だ」

「はい」

「あ、俺そろそろ昼ご飯を作りに家に帰らないといけないんで、
帰らせてもらいます」

「そうか、気をつけてな」

「今日はありがとうございました」

「いいってことよ、気にすんな」

「俺は大体ここにいるからよ、また用があったらいつでも来な」

「はい!」

 

・・・昼食・・・

 

「ただいまー」

「帰ったか」

「いいモデルは見つかったか?」

「まあね♪」

「やけに上機嫌だな」

「ふっふっふっ、そのうちビックリさせてあげるから楽しみに
しておいて下さいな」

「そうか、今は深く突っ込まないでおこう」

「そうしてちょうだい」

「そうそう、1つ聞きたいことがあったんだった」

「なんだ」

「レオン様以外に喋る猫って結構いるもんなの?」

「なぜ急にそんなことを聞く」

「いや、なんとなく気になってさ(今日のことは結果が出るまで
ナイショにしておこう)」

「いるにはいるが」

「どれぐらい?」

「多くはない」

「もっと具体的に教えてよぉ」

「私も正確には把握しておらんのだ」

「そっかぁ、でもレオン様以外にもそれなりにいるんだね」

「そういうことだ」

「わかった、ありがとう」

「そんなことよりも早く飯にするぞ」

「腹が減って死にそうだ」

「はいはーい」

 

・・・昼食後・・・

 

「よーし、写真も撮ったことだし、ブログを作ろう」

カチャカチャ・・・ブログ完成。

「これぐらいはプログラムを組むのに比べれば屁でもないな」

「あ、そうだ、ブログの名前はどうしよう」

「うーん『ネコっとライフ』でいいや、無難だし」

「とりあえず記事は5つぐらいアップしておこう」

「写真も貼りつけて・・・これでよし」

「まあ初日だし、まずはこれぐらいでいいでしょ」

「そのうちブログの書籍化、なんてこともあり得るかも・・・
ひっひっひっ」

「さて、もうこんな時間か」

「ブログ作ってるとあっという間に時間が経つんだなぁ」

「そろそろ晩御飯の準備をしないと」

 

ゲンと出会った鉄平はこうして毎日着々とブログを更新していった。

しかし、1ヶ月が過ぎてもブログのアクセスは思うように伸びず、
鉄平は焦りを感じはじめていた。

そしてレオン様と出会って2ヶ月が経ったある日、事件が起こる。

つづく。

 

ありがとうございました。

杉野

 

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【第15号】猫が教える成功哲学 ニャポレオン・ヒルの秘密(5) 

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ども、杉野です。

いやー、もう12月ですよ。

これが『ここヒル』では今年最後の記事になるかもしれませんので、
来年までにしっかりとレオン様の格言を復習しておくように(笑)

今回は新キャラ登場の予感・・・です(笑)

 

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第15号 猫が教える成功哲学 ニャポレオン・ヒルの秘密(5)

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・・・10日目・・・

いつもの瞑想の前に、レオン様が鉄平に話しかけた。

「瞑想をはじめてから、もう一週間以上になるな」

「え、もうそんなに経つっけ?」

「あぁ」

「少しは慣れてきたか?」

「うん、前よりは集中できるようになってきたと思う」

「そうか」

「では今日から少しメニューを変えることにする」

「どう変えるの?」

「今までは30分3セットだったものを今日からは
1時間2セットにする」

「えぇー、時間増えてんじゃん」

「少し朝食の時間は遅れるが、我慢してやろう」

「え、そっち?」

「我慢するのは俺の方だって」

「いつも私がどれだけ朝食を楽しみにしていると思っておるのだ」

「それを我慢して、お前のことを優先してやるのだから、少しは
感謝せぬか!」

「はいはい、わかったよ」

「やりゃーいいんでしょ、やりゃー」

「では始めるぞ」

 

・・・朝食・・・

 

「よし、終わったな」

「はやく飯を持ってこい、鉄平!」

「もう腹が減りすぎて背中になりそうだ」

「意味が分からん」

「今用意するから、とりあえずそのヨダレをどうにかしなさい」

「う、うむ」

鉄平が朝食の準備をしながら話しかける。

「昨日は息抜きでよかったかもしれないけど、今日はこれから
どうしたらいいの?」

「昨日も言ったであろうが」

「へ?」

「自分で考えるのだ」

「それが出来るなら、こんなこと聞かないって」

「そうだろうな」

「いやいや、おちょくらないでよ」

「おちょくってなどおらぬ」

「そもそもお前の考えは浅すぎると言っておるのだ」

「お前はたかだか一週間のブレインダンプをしただけで、
すべてが上手くいくと思っていたのではないか?」

「だってレオン様は、やりたいことが見つかれば、あとはそれを
やるだけだ、って言ったじゃん」

「あぁ、確かにそう言った」

「しかしな、鉄平」

「お前はその私の言葉を、非常に浅い意味でしか理解して
おらぬのだ」

「どういうことさ」

「お前は以前『みんなが笑顔で、貧困がなくて、不安もなくて、
誰もがやりたいことをやって暮らしている世界』が自分の目指す
楽しい世界だと言ったな」

「それが?」

「そうつっかからずに、よく聞け」

「お前はあれから『みんなが笑顔で、貧困がなくて、不安もなくて、
誰もがやりたいことをやって暮らしている世界』を作るには
どうすればいいか考えたか?」

「そもそも誰を笑顔にしたいのか、何によって貧困を無くすのか、
誰もがやりたいことをやって暮らしていくにはどうすればいいのか」

「そういうことを考えたか?」

「・・・考えてない」

「そういうことだ」

「お前はもっと、お前自身が何を考えているのかを知らなければ
ならない」

「お前はまだまだ自分のことを知らなすぎるのだ」

「言ってることがよく分からないよ」

「要するに俺はどうすればいいのさ」

「だからその問いを自分自身に向けろと言っておるだろ」

「私が毎回お前にやるべきことを教えるのは容易なことだが、
私がいなくなったときにお前はどうするつもりなのだ」

「それは・・・」

「難しいのは分かっておる」

「分かっておるが、これはホンモノになるためには避けては
通れぬ道なのだ」

「朝食が終わったら少しだけヒントをやる」

「そこからは自分でやってみろ」

「うん・・・」

 

・・・朝食後・・・

 

「ぷはー、極楽じゃー」

「さっき言ってたヒントってなんなの?」

「気の早いやつだな」

「もっと余裕をもて、余裕を」

「だって俺にはあんまり時間が」

「そうやって焦っても何もよいことはないぞ」

「そうかもしれないけど、次に何をすれば分からない状態で
焦らずにいる方が難しいよ」

「予定ではもっとサクサク上手くいくはずだったのに・・・」

鉄平はうなだれている。

「わかった、わかった、今から話してやるから頭をあげよ」

「うん」

「まず今のお前は、何を考えればいいのかすら分からない状態だ」

「この点は認めるな?」

「うん、認める」

「こういう場合、取りうる手段は私の知るかぎり1つしかない」

「それは、分かるところまで戻って考える、ということだ」

「どういうこと?」

「今お前に分かっていることは『みんなが笑顔で、貧困がなくて、
不安もなくて、誰もがやりたいことをやって暮らしている世界』を
作りたい、ということだ」

「だから一旦そこまで考えを戻して、その分かっていることを
より深く掘り下げていく」

「これで大体何を考えればいいかは見当がつくはずだ」

「自分の分かっていることに対して、細かく(厳密に)5W1Hの
問いを立てれば、進むべき道は見えてくる」

「もう少し具体的に言うと、笑顔とは何か、どうすれば笑顔になるか、
貧困とは何か、なぜ貧困をなくすのか、どうすれば貧困を無くせるのか、
不安とは何か、どうすれば不安を無くせるのか、他者の不安を
なくすために必要な能力とは何か、などなどを考える」

「立てられる問いを取り敢えず立てておいて、必要なさそうなやつは
あとから消していけばよい」

「これでヒントは終わりだ」

「うーん・・・」

「どうした?」

「言いたいことは分かったけど、ホントにこんなので大丈夫なのかなぁ、
と思って」

「相変わらず失礼なヤツだな」

「あ、ごめん、別に疑ってるワケじゃないんだけどさ」

「そんなことはやっていけば分かる」

「やりもしないうちから悩んでも何も始まらぬであろう」

「それもそうだね」

「じゃあちょっと考え直してみるよ」

 

・・・昼食・・・

 

「調子はどうだ?何か分かってきたか?」

「うーん、まだモヤモヤしてる」

「まあそれも仕方あるまい」

「ほとんどの人間は日頃からこのような訓練をしておらぬからな」

「ってことはレオン様はやってるの?」

「あぁ、昔は散々やらされたぞ、師匠が厳しくてなぁ」

「師匠?」

「初耳だよ、レオン様に師匠がいたなんて」

「そうだったか?」

「うんうん」

「レオン様の師匠ってどんな人、いや、どんな猫なの?」

「聞いてくれるな」

「あの方はもうこの世には・・・」

「ごめん、そんなつもりじゃ・・・」

「『猫もまっさお』以上にうまい猫缶はないと言っておった」

「何の話だよ!」

「たしかに私もあの猫缶よりうまいものには、今にいたるまで
出合ったことがない」

「だから誰もそんなこと聞いてないってば!」

「食いものの話ではなかったのか?」

「どこをどう聞き間違えれば猫缶の話になるんだよ」

「すまぬ、すまぬ」

「で、何の話だ?」

「レオン様の師匠の話だよ」

「そうだったか」

「その話は・・・また今度にしよう・・・」

「え、あ、うん、わかった・・・(なんか俺、マズイこと
聞いちゃったのかな)」

 

・・・昼食後・・・

 

鉄平は昼食後もずっと自分のことについて考え続けた。

世界を楽しくするとは、どういうことなのか。

世界を楽しくするのには何が必要で、何を最初にやらなければ
ならないのか。

今の自分には何ができるのか。

周りは何を望んでいるのか。

周りとは具体的には誰のことなのか。

そういったことを考えるにつれ、鉄平にはあることが明確に
見えるようになってきた。

それは「自分一人で考えて導き出せる答えには限界がある」
ということである。

頭の中で自分の理想を具体化するのは簡単なことだ。

しかし、その理想を周りも同じように理想に思っているとは
かぎらない。

自分がよかれと思っていたことも、実際にやってみたら
ただのお節介にしかならないかもしれない。

考えれば考えるほど、鉄平には自分一人の限界がくっきりと
見えてきたのだ。

そこで彼は、そのことをレオン様に相談することにした。

 

「レオン様、ちょっといい?」

「なんだ、もう飯か」

「違うってば」

「どうした」

「相談したいことがあるんだけど」

「話してみよ」

「さっきのヒントを元にいろいろ考えてみたんだけど、自分一人で
考えててもどうにもならないことがあるってことに気付いたんだよ」

「ほぉ」

「自分のやりたいことは明確になってきたんだけどさ、
そのやりたいことが果たして他の人の望んでいるものを生むのか、
っていうのが分からないんだ」

「なるほどな」

「こういうときって、どうすればいいの?」

「それも本来は自分で考えろと言いたいところだが、そこまで自分で
考えたのなら上出来だ」

「もうなんとなく気付いているとは思うが、その問題を解決するには
お前が救いたいと思う人間とコミュニケーションをとる必要がある」

「やっぱりそうなるのかぁ」

「その通りだ」

「お前は今、やりたいこと、から、やるべきこと、へ足を進めようと
しておる」

「たしかに自分のやりたいことをやって生きていけるのは
素晴らしいことだが、その自分のやりたいことを周りが必要と
していなければ、その願いは叶えられぬ」

「自分のやりたいことと、周りの望むことが結びついて、はじめて
その行為は報われる、ということだ」

「しかし、何が周りの望んでいることなのかは、実際にやりたいことを
やってみなければ分からない」

「つまり、自分のやりたいことを世界に向けて発信し、
そこから得られるフィードバックで周りの望んでいることをつかみ、
自分の進むべき道を探っていくしか方法はないのだ」

「理屈では難しく感じるかもしれぬが、やることはシンプルだ」

「今のお前にできることを世界に発信する」

「それをやってみればよい」

「そうすれば自然と次にやるべきことは分かるはずだ」

「そっかぁ、まだまだ時間がかかりそうだなぁ・・・」

「簡単に誰もがホンモノになれるなら、私の暇つぶしにならぬ
ではないか」

「そりゃそうだ」

「わかった、やってみるよ」

「でも・・・今日はもう夕飯にしちゃおっか」

「鉄平にしては珍しく気が利くな」

「たまには師匠を敬わないとねー」

 

その日の夜、鉄平は布団の中で考えていた。

今の自分にできることとは何なのか。

世界に向けて何を発信すればいいのか。

まだ彼にはそれがよく見えていなかったのだ。

「明日は自分に何ができるかを考えなくちゃなー」

そうして道に迷いながらも、鉄平は着実に前進していくのだった。

つづく。

 

ありがとうございました。

杉野

 

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引き続き、レオン様と鉄平のイラストは募集していますので、
もし気が向いたら

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まで送ってくださいねー。

 

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【第13号】猫が教える成功哲学 ニャポレオン・ヒルの秘密(4)

No Comments

ども、杉野です。

今回もレオン様は大活躍です(笑)

それではどうぞ。

 

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第13号 猫が教える成功哲学 ニャポレオン・ヒルの秘密(4)

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・・・3日目・・・

この日、鉄平は約束の時間より30分早く起きていた。

レオン様に昨日のことを謝るためだ。

外はまだ真っ暗である。

「うーん、眠みぃー・・・」

鉄平が目をこすっていると、いつものようにレオン様が
突然現れた。

「よっ!」

「おはようございます」

「なんだ、今日は驚かぬのか」

「いや、昨日のことを謝ろうと思って」

「なるほどな」

「して、どうだった?」

「レオン様の言う通り、俺は何も分かってなかったよ」

「息抜きのつもりで言った飲み会が、逆にストレスになった」

「そうだろうな」

「お前は今ホンモノになるための訓練をしておるのだぞ」

「そんな人間が今更ホンモノでない人間に会ってなんになる」

「そうだね・・・」

「孤独を恐れるな、鉄平」

「やるべきことをやれば、いずれ新しい仲間ができる」

「それまでは自分のことだけに集中するのだ」

「今回の件は多めに見てやるから、次からは気を緩めるでないぞ」

「はい、ありがとうございます」

「分かればよろしい」

「しかし、アレだな、鉄平よ」

「ん?」

「謝る気があるなら、どうして私に手土産の1つも買って来ぬのだ?」

「いやー、それはー、あのー、そのー(やっぱりここでも食い意地は
健在なのか・・・)」

「ごめんなさい」

「それだけか?」

「あ、いや、じゃ、明日なんか買ってくるから」

「うむ」

「ふぅー(これからはつねに賄賂を用意しておくか)」

「では昨日と同じように、瞑想をはじめるぞ」

「おっす!」

 

ここから一週間、鉄平は昨日と同じことを繰り返した。

朝4時に起きて7時まで瞑想。

それから朝食を食べ、8時頃から昼休みを挟み夕方まで「なぜ?」と
自問自答し続けた。

そして遂に、鉄平は自分のやりたいことを見つける。

 

・・・8日目の夕方・・・

 

ノートを眺めていた鉄平が声をあげる。

「なんか分かったかもしれない」

「何がだ?」

「やりたいことだよ、やりたいこと」

「ほぉ、やっとか」

「うん」

「で、お前のやりたいこととは、なんなのだ?」

「バカにしたりしないでね」

「当然だ」

「俺、世界を楽しくしたい」

「これまた壮大な夢だな」

「漠然としているようだけど、そうじゃないんだ」

「俺の中ではすごくシックリきてるんだよ」

「言わずとも分かっておる」

「私を誰だと思っておるのだ」

「あ、そうだよね」

「お前の中でシックリきているのならば、それでよい」

「うん」

「今までは敢えて言わなかったが、お前に教えた方法を使うと、
結局は誰もがそのような結論に至る」

「世界を平和にする、世界を楽しくする、世界をよりよくする、
みんなを幸せにするなど、言葉は違えど言っていることは同じだ」

「しかし、その言葉の意味するところは、それぞれ異なる」

「お前がお前の中でシックリきているように、他の者は他の者の中で
シックリきているということだ」

「何が楽しいかは人によって異なる」

「当然、平和のイメージも異なる」

「だからこそ、他でもないお前自身の“楽しい世界”を見つける
必要があったのだ」

「今ならなんとなくだけど言ってる意味が分かるよ」

「うむ、それならよろしい」

「そういえばサン=テグジュペリも言っておったな」

「肝心なことは目に見えない、と」

「この言葉は視覚的なことだけに捉えられがちだが、実は違う」

「ヤツに言わせれば、目に見えないとは、言葉にならないものも
含んでいる」

「言葉になっているものは、言葉として目に見えるからな」

「つまり、お前の今の言葉にならないもの、なんとなく
分かっているものこそが、肝心なことなのだ」

「よく覚えておくようにな」

「うん、分かった」

「よし、それでは飯にするぞ」

 

「ところで鉄平」

「ん?」

「一週間ほど前に言っていたアレはどうなった?」

「アレって?」

「ほれ、言っておったではないか、何か買ってくる、と」

「あ、それのことね、ちゃんと買ってあるよ」

「おぉ、本当か!」

「もちろん」

「で、で、どこにあるのだ?」

「買ってあるなら、さっさと持ってこぬか」

「うん、じゃあちょっと待ってて」

鉄平は流し台の下から何かを取り出した。

「はい、これ」

「おおぉー!って、なんだこれは」

「サバの缶詰」

「きさまぁぁぁぁ、私を愚弄するにも程があるぞぉ!!」

「え?もしかしてサバ嫌い?」

「そういうことではないわ!」

「猫に貢ぐものといえば、マタタビに決まっておろうが、
この愚か者め!!」

「えぇ、そうなの!?」

「当たり前だ!」

「私がどれほど期待したことか・・・くぅ、私の青春を返せぇ!」

「いや、青春は関係ないだろ」

「この絶望感をどうしてくれる!」

「そんなこと言われてもなぁ・・・」

「呪ってやるぅー、呪ってやるぞぉー、鉄平・・・」

レオン様は鉄平の頭にしがみついた。

「んな大袈裟な」

「シャァァァー!!!」

「分かったよ、分かったから、ちょっと落ち着けって」

「とりあえず頭から降りなさい」

レオン様、着地。

「ふぅ・・・じゃあ今度マタタビ買ってくるから、今日はこれで
我慢してよ」

「ホントだな?ホントのホントだな?」

「ホントだって」

「今度裏切ったら、どうなっても知らぬからな」

「はいはい、分かったってば」

 

・・・9日目・・・

 

いつもの瞑想が終わり、鉄平がレオン様に質問する。

「ねぇ、レオン様」

「なんだ」

「やりたいことは見つかったけど、これからどうすればいいの?」

「やりたいことが見つかったのだから、やりたいことをやるに
決まっておろうが」

「いや、でも、世界を楽しくするためには何をすればいいの?」

「それはお前の考えることだ」

「うーん、そう言われても何から考えればいいか分からないよ」

「それもお前が考えるのだ」

「何から考えるのかを考えるの?」

「そうだ」

「むちゃくちゃだよ、そんなの」

「むちゃくちゃでも何でも、やるしかなかろう」

「なんかヒントちょうだいよ、ヒント」

「相変わらず脳みそは幼稚なままのようだな」

「悔しいけど言い返せない・・・」

「では私の質問に答えよ」

「お前の考える“楽しい世界”とは、どんな世界なのだ?」

「みんなが笑顔で、貧困がなくて、不安もなくて、誰もが
やりたいことをやって暮らしている世界、かな」

「では、人はどういうときに笑顔になったり、
不安がなくなったりするのだ?」

「うーん、好きなことをやってるときはみんな笑顔になると
思うよ」

「あと、お金がたくさんあれば不安はなくなるかな」

「前者はよい、後者は本当か?」

「え、だってお金がたくさんあれば何かあっても安心でしょ」

「では例えば大地震や大津波があったらどうする、それでも
安心なのか?」

「そんなことは滅多に起こらないんだから、考えても仕方ない
じゃない」

「確かにそうかもしれぬ」

「しかしな、鉄平、お前は大きな勘違いをしておるぞ」

「何が勘違いなの?」

「人間の不安は、いつどこでも無くなることなどない」

「無くなったように感じるのは、不安が見えなくなっている、
もしくは見ないようにしているだけだ」

「今お前が言ったこともそうであろう」

「人間はいつだって死の不安に襲われている」

「それは確かに滅多に起こらぬのかもしれんが、決して消えた
ワケではない」

「どれだけお金があっても、不慮の事故は防ぎようがない」

「大金を積んでも人間を蘇生することはできない」

「だとすれば、不安がなくなるということ自体が幻想に過ぎない
ということだ」

「なんか納得できないなぁ」

「人間はそう簡単には死なないよ、医学だって発展してるんだし」

「死という発想が大袈裟だと思うならば、骨が折れて手が
動かなくなったら、頭を打って半身不随になったら、
親が倒れて付きっきりで介護をしなくてはいけなくなったら、
ということを考えてみよ」

「少しは実感が湧いてくるはずだ」

「どれもお金では解決できぬ不安であろう」

「なるほど、そう言われればそうだね」

「じゃあどう頑張っても不安はなくせないってこと?」

「そういうことになるな」

「不安は無くすのではなく、向き合うものだ」

「そうすれば自然と余計な不安は消えていく」

「本来、不安は恐れるようなものではない」

「にもかかわらず、多くの者が不安を恐れているのは、
不安のことをよく知らないからだ」

「幽霊でもお化けでも、人間はよく分からないものを恐がる」

「不安は、漠然としているうちは恐いが、具体的で明確な不安は
恐るるにたらぬということだ」

「ふーん」

「で、今の話がやりたいことと何の関係があるの?」

「ホントに鈍いヤツだな、お前は」

「わるーございましたねぇ」

「まずはお前自身が自分の不安と向き合うところから始めろ、
と言っておるのだ」

「いくらやりたいことがあっても、不安に押し潰されている
ようでは、気持ち良く活動することはできぬだろ」

「あ、そういうことね」

「でも今のところ特に不安なんてないよ」

「本当か?」

「うん」

「それはウソだな」

「え、なんでさ、不安なんてないって」

「さっきも言ったであろう、不安が無い、というのは幻想だと」

「お前は自分の不安に気付いておらぬだけだ」

「その証拠にお前は私に施す牛乳代をケチっておる」

「それはお金が無いんだから仕方ないじゃない」

「それがお前の不安だ」

「お前は、お金がない、という不安を持っておるのだ」

「それって不安とちょっと違うような気がするんだけど」

「何も違うことなどない」

「少し想像してみろ」

「今後お前がやりたいことを実現するために、どうしても大金が
必要になった場合、お前は生活するためのお金がなくなってしまう
という不安を理由に、それを諦めるのではないか?」

「どうしても必要な本、どうしても必要な交通費、どうしても
必要な機材、どうしても必要な設備環境などが高額だった場合、
お前はそれにお金を払うことができないだろう」

「なぜなら、お前は来月や再来月の生活費がなくなることに
不安を感じているからだ」

「お前は今、収入がないために、自分のやりたいことにお金を
使えなくなっている」

「もし今私が、お前のやりたいことを実現するためには
この5万円の本が必要だ、と言ったら素直に買えるか?」

「買えない」

「どうしてだ?」

「だってギリギリ節約して半年の生活費しか捻出できないのに、
5万円の本なんて買っちゃったら、半年が5カ月になっちゃう
じゃない」

「そんなの買えないに決まってるよ」

「そこがホンモノになれるか否かを分けるのだ」

「ホンモノになりたければ、そこで5万円の本をあっさりと
購入できなければならない」

「たとえ半年の生活費が5カ月の生活費になろうとも、だ」

「言いたいことは分かるけど、それは理想論だよ」

「いくらやりたいことが大切だとは言っても、生活できなきゃ
どうしようもないでしょ」

「その発想が凡人の発想だと言っておるのだ」

 

「いいか、鉄平」

「不安と向き合えば、今お前が考えているような余計な不安は
すべてなくなる」

「余計な不安とは、考える(感じる)意味のない不安だ」

「半年が5カ月になる・・・それがどうしたというのだ」

「5ヶ月になるなら、5カ月でなんとかすればいい」

「そう考えるのがホンモノであろう」

「そして、そう考えるためにも、なぜ半年が5ヶ月になると
不安になるのか、ということを明確にしておく必要があるのだ」

鉄平は黙って話を聞いている。

「仮に、収入がないから、という理由でお前が不安だったとしよう」

「そこで次は、なぜ収入がないと不安になるのか、ということを
考える」

「すると今度は、貯金が減っていくから、という理由が出てくる
かもしれない」

「次も同様にして、なぜ貯金が減ると不安なのかを考える」

「これは、気持ちの余裕がなくなるから、という理由にしておく」

「ではなぜ貯金が減ると気持ちの余裕がなくなるのか」

「これが胆になるワケだが、お前の場合は、先のことばかり考えて
今のことを見ようとしないからだ」

「半年先や5カ月先なんて、どうなっているかは誰にも分からない」

「いつでも誰でも予定は未定だ」

「にもかかわらず、お前はその誰にも分からない未来のことを考えて
勝手に不安を増幅させている」

「今やることが、半年後や5カ月後の自分を変えるのだということを
忘れている」

「今5万円の本を買えば、5カ月後には余裕のある暮らしができて
いるかもしれないのに、お前にはそれが見えていないのだ」

「言い換えれば、お前には今自分できることを精一杯がんばって、
未来を変えてやろうという意志が欠けている、ということだ」

「そんな人間がホンモノになれるはずがなかろう」

鉄平はレオン様の目を見て答えた。

「まだちゃんとは理解できないけど、なんとなくは分かった」

「俺はまだまだスタート地点にも立てていないような状況だ
ってことだね」

「そういうことだ」

「やりたいことが分かっただけでは、何も事は起こせない」

「物事には順序というものがあるのだ」

「で、結局これから俺はどうすればいいの?」

「さあな」

「なにそれー」

「そんなことより」

「そんなことってなんだよ、そんなことって」

「気にするな」

「そんなことより飯にするぞ」

「うぅー・・・」

 

・・・昼食後・・・

 

「んがぁー!!やっぱり何すりゃいいのか全然分からない!!」

「そう焦るな、鉄平」

「息抜きでもしてきたらどうだ」

「息抜きって?」

「さあな」

「おいっ!」

「とりあえず最初の難所は越えたのだから、好きなところへでも
出かけてくればよかろう」

「好きなところって言われてもなぁ」

「オススメは?」

「私にそれを聞くのか」

「それぐらい教えてよ」

「ガラパゴス島だ」

「聞いた私がバカでした」

「あそこは楽しいぞぉー」

「もういいってば」

「では動物園はどうだ」

「そっちを先に言ってよ!」

「動物園かぁー、なんかいいじゃん、それ」

「ガラパゴス島には劣るがな」

「じゃあ早速行ってくるよ」

「土産を忘れるでないぞ」

「分かったよ(やっぱりそれが狙いだったか)」

 

・・・動物園・・・

 

「平日だと空いてるなー」

「お、最初はフラミンゴか」

※豆知識:フラミンゴの淡いピンク色は、餌の色素によるもので、
通常、動物園の餌は色づけのために着色料が混ぜられている。

「あいつら片足でずっと立ってて疲れないのかなぁ」

「あ、首が長いから、自分の胴体に頭を乗っけて休憩できるのね、
なるほど」

「まあいいや、つぎつぎ」

「タカ発見!」

「いや、あれはワシか?」

「あぁ、タカって書いてあるな」

「こいつらの目って、どこかで見たことがあるような気が
するんだよなー・・・」

「うーん・・・忘れた」

そこから鉄平はライオン、ゾウ、シマウマ、ペンギン、キリン、
オウム、爬虫類館、猿、ゴリラ、オットセイ、コアラ、羊、
山羊などを見て回った。

そして彼は最後にマンドリルを見つける。

「うおぉ、なんだ、この鮮やかな赤や水色は」

「こんな色が自然界に存在するのかぁ」

「そういえばオウムや爬虫類もめちゃくちゃ鮮やかな色だったなぁ」

「どうやったら、あんな色ができるんだろ?」

「というより、どこにあんな色をしている意味があるんだろ?」

「うーん、分からん」

「レオン様なら知ってるかなぁ」

「帰ったら聞いてみよ」

 

・・・夕方(帰宅)・・・

 

「ただいまー!」

「・・・」

「あれ?」

「ただい」

「よっ!」

「うわっ!?」

「またそのパターンかよ」

「お決まりだからな」

「それよりも動物園は楽しかったか?」

「うん、それなりにね」

「それは何よりだ」

「あ、そうそう、レオン様に聞きたいことがあったんだよ」

「なんだ」

「なんで南国の動物はあんな鮮やかな色なのか、レオン様なら
知ってるんじゃないかと思って」

「そんなことは知らぬ」

「えぇー、知らないのー」

「当たり前だ」

「そんな形而上学的な問いに、正解などあるはずがなかろう」

「ただ、それでガッカリすることはない」

「なんで?」

「お前の今日の収穫は、その疑問を得たことだからだ」

「どゆこと?」

「午前中は何を考えればいいか分からないと言っていたお前が、
今は考えることを見つけた」

「それで十分だということだ」

「ほぇ?」

「まあ理解できないなら、それでもよい」

「とにかくお前は今日、ちゃんと仕事をしたのだ、安心せい」

「はぁ、そうですか」

「うむ」

「で、鉄平」

「お前もしかして、また忘れたのではあるまいな」

「ん?なにを?」

「きさまぁぁぁぁぁ!!またしても土産を忘れおってぇ!!!」

「あ、いや(うわぁ、完全に忘れてたぁ・・・)」

「仏の顔も三度までと言うであろうがぁぁぁ!!!」

「えーっと、あのー、まだ二度目ですけどぉ・・・」

急にレオン様の目が元に戻る。

「お、確かにそうだな」

「ね、ね、だからあと1回猶予があるでしょ」

「私は自分の言ったことは守る主義だ」

「仕方あるまい、今回も仏の顔に免じて見逃してやる」

「ふぅ・・・」

「しかし次こそは覚えておれよ」

「本当にどうなっても知らぬからな」

こうして2人(1人と1匹)は、いろんなごたごたが
ありながらも、なんとかやっているのだった。

つづく。

 

ありがとうございました。

杉野

 

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「レオン様と鉄平のイラストを書いてやってもいいぞ」という
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よろしくですー。

 

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【第12号】猫が教える成功哲学 ニャポレオン・ヒルの秘密(3)

No Comments

ども、杉野です。

いつも通り、大体2ヶ月ぶりですね(笑)

今回はニャポレオン・ヒルの続きです。

意外と読まれているようなので、がんばってみました。

サクッと読んでくださいな。

 

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第12号 猫が教える成功哲学 ニャポレオン・ヒルの秘密(3)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

・・・2日目・・・

リリリリリリリッ!!(目覚ましの音)

「うーん、むにゃむにゃ・・・」

「はぁー・・・朝かぁ・・・」

カチッ(目覚ましを止める)

「しかし、4時って早過ぎだよなー・・・」

鉄平はまだ布団にもぐって目をこすっている。

「よっ!」

「うわっ!」

「うわっ!とはなんだ、人を化け物みたいに」

「いっつも急過ぎるんだよ、出てくるのが」

「それにあんたは人じゃないって」

「まあ細かいことは気にするな」

「それより、今日はちゃんと起きていたようだな」

「言われてたからね」

「これからは毎日4時起きだからな、寝坊するなよ」

「えぇ!?毎日なんて聞いてないよ」

「今はじめて言ったのだから当たり前だ」

「いや、そういう意味じゃなくて」

「じゃあどういう意味だ」

「毎日4時起きってのは、ちょっと勘弁してほしいんですけど」

「なぜだ?」

「なぜって、ほら、やっぱり眠いし」

「理由になっておらんな」

「だってぇー」

「だってぇー、じゃない!」

「お前も、早起きは三文の得、という言葉を知っておるだろ」

「この言葉の意味は、やっていればすぐに理解できる」

「とにかく明日からもずっと4時起きだ、忘れんようにな」

「ふぇーい・・・」

 

「ところで、こんな朝早くから何やるのさ」

「瞑想だ」

「はぁ?瞑想?」

「そうだ」

「いやいや、俺、瞑想なんてやったことないよ」

「それは私が教えてやる」

「いや、そういう話じゃなくて、瞑想ってアレでしょ?」

「アレとはなんだ」

「あのー、宗教っぽいヤツでしょ?興味ないんだよねー、そういうの」

「お前は何と勘違いしておるのだ?」

「えっ?みんなで目をつむって、神様にお祈りするんじゃないの?」

「そんなことはせん、目はつむるがな」

「じゃあ瞑想ってなんなの?」

「瞑想というのは、精神をフラットな状態に保つための訓練だ」

「人間は普段、自分の解釈で世界を見ている」

「例えばお前は私のことを猫だと思っているが、実際には私は
猫ではない」

「前々から喋れる猫なんているワケないと思ってたけど、
やっぱりそうだったかぁ」

「そういう話ではない」

「え?」

「<猫>とは、厳密には、目がパッチリしていて、鼻にひげがあって、
4本足で歩くネコ科に属する小型動物のことだ」

「それを人間が勝手に解釈して<猫>と呼んでいるだけで、猫という
何かがこの世に存在するワケではない」

「実際に存在するのは、猫と解釈しうる何か、だということだ」

「何か、ってなにさ」

「そんなことはどうでもよい」

「どうでもよくないよ」

「レオン様が猫じゃないなら、一体何だっていうのさ」

「そういうことをいちいち気にしているから、お前には瞑想が
必要なのだ」

「はぁ?」

「瞑想は今言った、何か、を、何か、のまま見るための訓練だ」

「瞑想をやっていくと、世界のすべてがフラットに見られる
ようになる」

「今まで失敗だと思っていたことが、別の角度から見れば成功であり、
今までムカついていたことが、別の角度から見れば有り難いことである
ということに気付くようになるのだ」

「世界をフラットに見るとは、それをあるがままに捉えるということを
意味する」

「つまり、自分の感情や思考(認識)を働かさずに、世界を世界のまま
見るということだ」

「???」

「混乱しているようだな」

「まあ今のお前の頭では、無理もない」

「ガルゥゥゥ!!」

「はぁ・・・・」

「とにかく今から始めるぞ」

「えぇぇ・・・」

「あ、じゃあ、その前に1つだけ教えてよ」

「なんだ」

「瞑想を続けると、どんな効果があるの?」

「やれば分かる、と言いたいところだが、それぐらいは教えておいて
やろう」

「瞑想を続けていくと、自分の感情や欲望に振り回されなくなる」

「これが最も重要な効果だ」

「どういうこと?」

「例えばお腹が空いても、お腹が空いていること自体がどうでもいいと
思えるようになる」

「ムカつくことや悲しいことが起こっても冷静でいることができ、
物欲や金銭欲、その他の欲も消えていく」

「それって人間じゃなくなっていくってこと?」

「少し違うな」

「より自然に近づいていく、よりシンプルに暮らせるようになっていく、
と言う方が正しい」

「イメージで言えば、天皇や皇太子のような感じだ」

「ほぉ」

「私は彼らには関与しておらぬが、彼らも恐らく瞑想のような
何かしらの修行をしておるのだろう」

「そうでなければ、あのような人間離れした雰囲気をまとうことは
できぬからな」

「つまり俺に天皇や皇太子を目指せと」

「そういうことではない」

「じゃあどういうこと?」

「それはさっき言った通りだ」

「感情や欲望に振り回されなくなれば、それでよい」

「それ以上になりたいか否かは、やってみてからお前自身で考えろ」

「ふーん」

「少しはやる気になったか?」

「まあ少しはね」

「瞑想は、分かることよりも出来ることに意味がある」

「そういうものなのかね」

「そういうものだ」

「さあ、分かったら早速始めるぞ」

「へいへい」

 

「まずは座布団を用意しろ」

「座布団なんて持ってないよ」

「無いなら布団でよい」

「布団を3つ折りにして、その上に座れ」

「座り方は?」

「なんでも構わぬ」

「え?正座じゃなくてもいいの?」

「お前が一番楽だと思う座り方で座ればよい」

「そしてカーテンを閉めて電気を消す」

「これは私がやってやろう」

「あ、ありがとう」

「準備ができたら目をつむって、自分の呼吸、鼻の穴の空気の
出入りに意識を集中する」

「空気が入って出ていく、ただそれだけに意識を向けるのだ」

「このとき、体は可能なかぎり動かさぬように」

「動かしてもいいのは首と背筋のみ」

「どこかが痒くなっても、意識は呼吸に向けたままにする」

「痒みなんてものは、数分もすれば自然に消えていくからな」

「まずは30分続けるぞ」

 

・・・30分経過・・・

 

「よし、姿勢を崩してよいぞ」

「ふぅーーー、足がぁぁぁ・・・」

「しびれたか」

「うん・・・うおっ!!た、立てない・・・」

「ただじっとしているのが、こんなに辛いとは思わなかったよ」

「だろうな」

「それと、呼吸に意識を向けるのも案外難しいんだね」

「2,3分ぐらいは続くんだけど、気がついたら全然別のことを
考えていたりして、ぜんぜん集中できなかった」

「自分の意識がどれだけ散漫か分かっただろ」

「うん、これは認めざるを得ないね」

「人間は普段、そうやって無駄なことばかり考えて生きておる」

「だから無駄なことばかりに右往左往して、まともな判断が
できぬのだ」

「反省しましたー」

「よろしい」

「ではもう一度やるぞ」

「えー、まだやるのー」

「当たり前だ、さっさと準備しろ」

「はーい・・・」

 

この朝、結局鉄平は30分の瞑想を合計3回行った。

 

「おわったー!!!!」

「では朝飯にするぞ」

「おう!!」

「しかし、これでまだ7時だなんて信じらんないよ」

「瞑想してると、時間が経つのが遅いのなんのって」

「30分が2時間ぐらいに感じたよ」

「そうだろうな」

「動画を見ている時間と比べるとどうだ?」

「動画を見てるときは1時間が10分ぐらいに感じるから、
10倍以上の差があるね」

「なぜか分かるか?」

「そんなこと急に聞かれてもなぁ」

「では飯を食っている間に考えておけ」

「うーん・・・」

 

「ごちそうさまでした」

「うむ」

「何か答えは浮かんだか?」

「じぇんじぇん」

「やはりお前の頭では無理か」

「わるーございましたねぇ」

「じゃあ答えは何なのさ」

「無意識か意識か、これが関係しておる」

「動画を見るときには、人間の意識はほとんど働いておらぬ」

「その証拠に、お前は動画を見ても疲れぬだろ」

「うん、あんまり疲れないね」

「瞑想と比べたらどうだ?」

「瞑想の方が圧倒的にキツイよ」

「そう、人間は意識を使うと疲れるのだ」

「瞑想でなくても、ややこしい計算をした後や、テスト勉強をした
後などは疲れているはずだ」

「1時間しか勉強してないのにヘロヘロ、なんてことはざらに
あるだろう」

「たしかに」

「にもかかわらず、動画が何時間でも集中して見続けられるのは、
そこでは意識が使われていないからだ」

「だから疲れない」

「動画というのはよくも悪くも、意識ではなく無意識で、
思考ではなく感覚で捉えられる」

「それによって、何時間でも見続けられるということだ」

「もちろん動画を見る場合であっても、意識を使っていれば
そのかぎりではないが、そもそも意識しなければならないような
動画は人気がない」

「なんで?」

「見ていると疲れるのだから、当然だろう」

「小難しいことを言っている動画が不人気で、どうでもいい
下らない動画が人気なのは、そのためだ」

「これ以上の細かい話は割愛する」

「わかったか」

「大体はね」

「どこが分からんのだ」

「意識を使うと疲れるけど、無意識は疲れない、ってところ」

「なんで無意識は使っても疲れないの?」

「それは、そういうものだから、としか言い様がない」

「そもそも無意識が何なのかさえよく分かっておらぬのだから、
無意識の構造などは未知なる領域だ」

「なるほど」

「さぁ、余談はこれぐらいにして、今日の課題を始めるぞ」

 

「今日は何するんだっけ?」

「ブレインダンプの続きだ、お前はもう痴呆が始まったのか?」

「ひとこと余計だよ」

「まずは昨日のノートを開く」

「はい」

「あとはそのノートを見ながら、そこに書いてあるキーワードの
1つ1つに、なぜ、と問いかけていくだけだ」

「それだけ?」

「そう、それだけ」

「例は昨日言ったから分かるな」

「えっと、どうやるんだっけ?」

「やはりお前、痴呆ではないか?」

「その話はもういいから」

「仕方がない、もう一度説明してやろう」

「その代わり、分かっておるだろうな?」

「はいはい、昼ご飯に煮干しつけてあげるから」

「よろしい」

「口の悪さと食い意地だけは一流だな・・・」

「例えば、英語がペラペラになりたい、というキーワードが
あった場合、

なぜ英語がペラペラになりたいのか・・・外国人の友達が
ほしいから

なぜ外国人の友達がほしいのか・・・自分の世界を広げたいから

なぜ自分の世界を広げたいのか・・・今の自分の世界が
狭過ぎるから

なぜ今の自分の世界は狭過ぎるのか・・・殻に閉じこもって
いるから

なぜ殻に閉じこもっているのか・・・

という風に考えるということだ」

「なぜ、の回数は10回前後を目安にするといいだろう」

「それをやったあと、どうするんだっけ?」

「あとのことは考えなくてもよい」

「とにかく、これを1週間ほど続けるだけだ」

「ふーん」

「分かったら、さっさと始めるぞ」

「うん」

 

・・・昼食・・・

 

「そろそろ昼飯にするぞ」

「あ、うん」

「今回のは昨日の作業ほどには疲れないね」

「朝の瞑想の方がよっぽどキツかったよ」

「そうか」

「何か感じることはあったか?」

「うーん、今のところはまだ無いかなー」

「あ、ただ、意外と自分はいろんなこと考えてるんだな、
ってことは分かったよ」

「今までは単に高級な腕時計を欲しいだけだと思ってたのに、
その理由が自分の人間性に関係していたりして、自分の知らない
自分が見えてきた感じはする」

「それが狙いだからな」

「へ?」

「今の時点でそれが分かっているなら、やりたいことを
見つけるまでに、そう時間はかからぬだろう」

「ホントに?」

「うむ」

「ところで鉄平」

「ん?」

「これはどういうことだ!」

「何が?」

「煮干しは煮干しでも、3本しか入っておらぬではないか!」

「だって、まだ先は長いんでしょ?」

「だったら、こっちも色々節約しないと」

「それとこれとは」

「ウソはついてないもんねー」

「おのれ、貧乏人めー」

「次からはちゃんと本数まで指定してやるからな、覚えておれ!」

「いひひっ」

 

・・・昼食後・・・

 

「さて、再開だ」

「午後はどうするの?」

「同じことをやればよい」

「そっか、分かった」

ここで鉄平は大事なことを思い出した。

「あ、そうそう、そういえば昨日友達から連絡があって、
今日の夕方から出かける予定になったんだけど、問題ないよね?」

「今なんと言った?」

「いや、だから夕方から出かける予定があるんだよ」

「・・・」

「レオン様?」

「・・・お前は何も分かっておらぬようだな」

「え?なにが?」

「友達と2,3時間遊ぶだけでもダメってこと?」

「これだけのことやってるんだから、ちょっとぐらい息抜きしても
いいじゃないか」

「そう思うなら、好きにすればよい」

「それって、行ってもいいってことだよね?」

「お前が行きたいのならな」

「うっしゃー!!」

「じゃあ午後もちゃんと頑張りますので、よろしくお願いします!」

 

・・・夕方・・・

 

「あ、そろそろ時間だから行ってくるね」

「・・・」

レオン様は黙ったままコクリと頷き、そのあとはじっと夕焼けの空を
見上げていた。

 

「うぃっすー、ひさしぶりー!!」

「おぉ、鉄平」

「お前んとこの会社、潰れちゃったらしいな」

「そうなんだよぉ」

「生活は大丈夫なのか?」

「まあ失業保険やら何やらで、なんとかね」

「そかそか」

「あのー、余計なお世話かもしれないけどさ」

「ん?」

「よかったら、うちに来ないか?」

「さすがに俺にはお前を雇う権限はないけど、紹介ぐらいは
してやれるからさ」

「うちは出版会社だけど、鉄平みたいなエンジニアが一人いると
随分作業も効率化されて助かると思うんだよ」

「うーん、それは有り難い話なんだけど」

「うちはどうよ」

「お前、車の免許は持ってるだろ?」

「うん、一応持ってるけど」

「うち運送会社だからさ、免許さえあればなんとかなると思うぜ」

「そこそこキツイ仕事だけど、その分給料も結構もらえるし、
覚えることも少ないから、すぐに慣れるって」

「いや、まあそうかもしれないけど」

「なんか乗り気じゃないみたいだな」

「うん・・・」

「お前らってさ、なんで仕事してんの?」

「はぁ?なにを突然言い出すかと思えば」

「そんなもん、金稼ぐために決まってんじゃん」

「そりゃそうだろうけど、それ以外になんかないの?」

「なんかって?」

「例えば、やりがいとか、楽しさとか、情とか」

「うーん、みんないい人だから情は多少はあるけど、やりがいや
楽しさはそこまで感じてないなぁ」

「安定して金稼げりゃ、とりあえずそれでいいんじゃないの?」

「あ、もちろん楽なのに越したことはないけど」

「そうか」

「じゃあさ、今の会社が潰れたらどうするかって考えてる?」

「なーんも」

「右に同じー」

「私もなんも考えてないわ」

「潰れたら潰れたときに考えればいいんじゃねーの?」

「だって、鉄平も考えてなかったんだろ?」

「まあ確かにそうなんだけど」

「だったら一緒じゃん」

友達の一人がそう言うと、鉄平が突然大声を出した。

「一緒にすんなよ!!!!」

周りのみんなは驚いて固まっている。

「なんでお前ら、そんなにテキトーに生きてて平気なんだよ」

「お前ら本当に、そんな人生でいいのか?」

「自分の人生だぞ?」

「おいおい、なに急に熱くなってんだよ」

「バカみたい」

「いいじゃん、みんなそこそこ楽しくやってんだから」

「人生なんて、なるようにしかならないって」

「今日はそういう堅い話をするために集まったんじゃないんだし、
もっと気楽にやろうぜ」

「お、そういえば俺最近Aってマンガにハマってんだけどさ、
この主人公がまた間抜けで笑えんだよ・・・まずは内容を
教えてよ・・・いや、それがね・・・・・・」

この夜、鉄平は悟った。

自分はもう、彼らとは別の人間なのだ、と。

鉄平の頭に、あのときのレオン様の悲しげな顔が浮かぶ。

「明日、レオン様に謝ろう」

彼はそう心に誓ったのだった。

つづく。

 

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ありがとうございました。

杉野

 

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【第4号】猫が教える成功哲学 ニャポレオン・ヒルの秘密(2)

No Comments

ども、杉野です。

今回はニャポレオン・ヒルの第2話目です。

物語の構成や流れが下手なのは自覚していますが、今のところ
書くのが楽しいので、まだ続けると思います。

ウザければ

info●philosophia-style.com

まで「ウザイ」と送ってください。

無視しますので(笑)

「やりたいことをやれ」って言ってる本人が、やりたいことをやって
なかったら説得力ないですからね。

僕は僕でやりたいことをやります。

もちろん“あなたの役に立つカタチで”ね。

ちなみに今回のレオン様もかなり重要なことを言います。

サラッと読み流さないように注意してくださいませ。

それでは、本編をどうぞ。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

第4号 猫が教える成功哲学 ニャポレオン・ヒルの秘密(2)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

社員が全員そろったところで、突然、社長が大きな声を出した。

「みんなに大事な話がある」

静まりかえる社内。

みんな社長の方を振り向く。

「実は今、ある企業から莫大な損害賠償を求められている」

「損害賠償!?」(全員)

ざわつく社内。

「私のチームの一人がその企業のページで商品の価格を誤って表記して
しまったことが原因だ」

「誰のミスなんですか?」

篠原の先輩の佐々木が質問する。

「いや、誰がやったとか、何があったとか、もはやそういう問題では
ないんだ」

「どういうことですか?」

「うちの会社は、もう、おしまいなんだ・・・」

「それじゃ分かりませんよ、どういうことなんですか、はっきり言って
下さいよ」

「とてもうちの会社に支払える額じゃないんだよ、賠償金が」

「一体いくらなんですか?」

「聞いても仕方ないだろ、そんなこと・・・」

「聞かなきゃ納得いかないですよ!」

「ふぅ・・・」

社長はため息をついたあと、口を開いた。

「5億だよ」

「5億!?」

社員全員が驚く。

「分かるだろうが、その金額はうちの年商の約10倍だ」

「うちのような弱小企業に、そんな賠償金を支払う力はない」

社員の一人が思わず声をだす。

「え、じゃあ、これから会社はどうなるんですか?」

社長は声のトーンを落としながら答える。

「その件については、みんなが想像している通りだ」

「うちの会社は、今日をもって・・・倒産とする」

社員たちは動揺を隠せない。

「本当にみんなには申し訳ないことをしたと思っている」

「だが幸い、倒産による失業の場合は、雇用保険がすぐにおりる」

「給料3カ月分満額というワケにはいかんだろうが、生活できるぐらいは
もらえるはずだ」

「その間になんとか次の職を見つけてほしい」

「もちろん会社の後処理は、私が責任を持っておこなう」

「もうこれ以上、みんなには迷惑をかけられない・・・」

すると寺田が声を出した。

「じゃあもう帰っていいですか?」

みんな、信じられない、という顔で彼を見ている。

「・・・あぁ」

社長が弱々しく答える。

最初はみんな戸惑っていたが、寺田が帰るのをキッカケに他の社員も
ぞろぞろと帰り始めた。

帰りがけに寺田が鉄平に声をかける。

「お前は帰らないのか?」

「うん、ちょっと社長と話がしたくて」

「ふーん」

「じゃあ俺は先に帰るわ、また何かあったら連絡してくれよ」

「あぁ、わかった、いろいろ、ありがとな」

「おう」

会社に残ったのは鉄平と社長だけになった。

社長は頭をさげ、うなだれている。

「社長、ちょっとだけ、お話聞いてもいいですか?」

「なんだ」

「社長はどうしてこの会社の社長になろうと思ったんですか?」

「俺は・・・別に社長になりたくてなったワケじゃないんだ」

「この会社の立ち上げ当初、ここには俺を含め4人の役員がいた」

「俺はそいつらと一緒にこの会社を立ち上げたが、最初、俺の役職は
取締役で、社長は別のヤツだったんだ」

「けれども、社員が1人増え2人増え会社の仕事が増えていくうちに、
役員同士のコミュニケーションが希薄になっていった」

「それでもしばらくは無事に会社も回っていたが、気付いた時には
役員はみんなそれぞれのやり方や方針で仕事をやっていて、それを
統合することが出来なくなっていたんだ」

「その結果として他の役員は会社をやめ、当時、社内で一番大きな
プロジェクトをやっていた俺が成り行きでこの会社を引き継ぐことに
なったということだ」

「俺はババを引いたってことさ・・・」

「そうだったんですね・・・」

「でも、俺は、社長が社長でよかったと思ってます」

「え?」

「社長はババを引いたと思ってるかもしれませんが、俺はぜんぜん
ババだなんて思ってませんよ」

「だって俺、この会社に育ててもらいましたから」

「まだまだミスばっかりで怒られてばっかりですけど、この会社で
育ててもらわなかったら、俺、絶対もっと酷い人間になってました」

「俺みたいなどうしようもない人間を見捨てずに育ててくれた社長が
いたからこそ、今の俺があるんです」

「だからババを引いたなんて、言わないでください」

「篠原・・・」

「俺、感謝してるんですから、ホントに」

「ありがとう・・・ありがとう、篠原」

社長は涙を流しながら、そう言った。

「もう会社はつぶれちゃいましたけど、何か力になれることがあったら
言ってください」

「俺、後処理でも何でも手伝いますから」

社長が涙をぬぐって顔を上げる。

「あぁ、その気持ちだけで十分だよ」

「これは俺の責任なんだ、あとは俺だけでなんとかする」

「そうしなければケジメがつかないんだ、俺一人でやらさせてくれ」

なぜかこのとき、社長はすがすがしい顔になっていた。

「そうですか・・・分かりました」

「でも俺、この恩はぜったい忘れません」

「社長が引いたのはババじゃなかったって、俺が証明してみせますから、
待っててください」

「分かった、楽しみに待ってるよ」

「はいっ!!!」

 

・・・帰宅後・・・

 

「レオンさまー、レオンさまー!」

「呼んだか?」

「はやっ」

「早くて何が悪い」

「ちょっとびっくりしただけだよ」

「そうか」

「で、何かあったのか?」

「俺、やります!」

「ほう、あと1ヶ月待ってくれと言っていた割には、ずいぶんと決断が
早いではないか」

「実は今日、会社がつぶれちゃったんだ」

「なるほどな、しかしそのわりには顔が明るいな」

「そう?」

「私にはそう見えるが」

「なんていうか・・・いろいろスッキリしたんだよ」

「そうか」

「そういえば就職活動はせぬのか?昨日は再就職するとか何とか言って
おったではないか」

「うーん、それは貯金と雇用保険が尽きそうになったら考える」

「切りつめて生活すればギリギリ半年ぐらいは生きていけそうだし」

「ほう、なんだか1日にして人間が変わったな」

「倒産のショックが大きすぎて頭のねじが飛んだか?」

「それもあるかもね、いきおいで社長にデカイ約束もしちゃったし」

「なんの約束だ?」

「ないしょ」

「ふっ、まあよい、これでやっと私も暇がつぶせる」

「あ、そうそう、しばらく収入がなくなるから、牛乳は当分、低脂肪で
我慢してね」

「おい、それとこれとは関係ないではないか」

「関係あるよ、節約しなきゃいけないんだし」

「うむむ・・・いや、違うぞ、それは断じて違うっ!」

「節約とは、無駄を削るのであって、必要なものを削るのではない!」

「だって牛乳なんて無駄じゃん」

「何を言うか、愚か者め!」

「私がホンモノになる方法を教えるかどうかは、私の気分次第だという
ことを忘れたのか」

「いやぁ、忘れちゃいないけどさぁ」

「だったら牛乳ごときでケチケチするでない」

「へいへい、分かりましたよー」

「分かればよろしい」

 

もふもふ。

「で、これからどうするの?」

「やりたいことをやれ」

「へ?」

「やりたいことを好きなようにやればよい、と言っておるのだ」

「やりたいことって言われてもなぁ・・・」

「ないのか?」

「特には」

「お前、よくそれで、やりますなんて言ったなぁ」

「だって、やるしかないんだもん」

「ではお前は普段、休みの日は何をしておったのだ?」

「うーん、ネコネコ動画を見たり、ニャンチューブ見たり、かな」

「お前はよっぽど猫が好きなのだな」

「まあね」

「それ以外には?」

「他は特に思い浮かばないなぁ」

「そうか、まあよい」

「このままではらちがあかぬので、今日はお前がやると決めただけで、
よしとしておこう」

「あれ、そんなんでいいの?」

「ただし、明日からはビシバシいくから、覚悟しておくように」

「はーい」

「ではもう飯にするぞ」

「もう飯!?」

「早く、牛乳だ、牛乳」

「ホント、食い意地だけは張ってるよな」

鉄平がぼそっとつぶやく。

「何か言ったか?」

「なーんにも」

ここからようやく本編のはじまりである。

 

・・・1日目・・・

 

「おい、こら、目を覚ませ、鉄平」

「んあ?」

「もう朝だぞ」

「へ?・・・って、まだ6時じゃん」

「何を言っておる、もう6時ではないか」

「仕事に行かなくてもいいんだし、もうちょっとゆっくりさせてよ」

「いいから早く起きろ」

「だってぇー」

「だってぇー、じゃない!」

「お前はホンモノを目指すのではなかったのか」

「そうだけどさぁ」

「だったら起きろ」

「うへぇ・・・」

鉄平が布団をたたんでいると、突然ラジオ体操の音声が聞こえてきた。

「ではラジオ体操から始めるぞ」

「な、なんでラジオ体操?」

「体を動かした方が、頭がすっきりするからに決まっておろうが」

「いやいや、そうじゃなくて」

「小さいことばかり気にしてないで、さっさとやれ、ほら」

2人(1人と1匹)がラジオ体操を始める。

腕を前から上げて、せのびの運動からー。

「いち、にー、さん、し・・・・そうそう、昨日は何もしなかった分、
今日はいろいろやってもらうぞ」

「にー、にっ、さん、しっ・・・え?いろいろって?」

「それは体操が終わってから話してやる・・・さーん、しっ」

「へいへい・・・さーん、しっ」

ラジオ体操が終了。

「おぉー、意外といいね、ラジオ体操」

「ホントに頭がすっきりしたよ」

「私が協力しておるのだから効果があるのは当然であろう」

「よし、朝食だ」

「ミルクとかつお節を差し出せ」

「おいおい、なんで勝手にメニューが増えてんだよ」

「いいではないか、お前がかつお節を棚の上に隠しているのは
お見通しなのだ」

「よかねーよ」

「これも貴重な食料なんだから、朝はミルクだけで我慢しろ」

「ぶぅー、これだから貧乏人は」

「いい加減、その悪態なおせよ」

「まあよい、とりあえず食事だ」

 

朝食終了。

「ふぅ、食った食ったー」

もふもふ。

「それでは今日は丸一日、ブレインダンプをやってもらう」

もふもふ。

「ブレインダンプって?」

「ブレインダンプとは、一言で言えば、頭の中をすべて吐き出して
からっぽにする作業のことだ」

「ふーん」

「これをやることによって、お前のやりたいことが見つかる・・・
かもしれない」

「かもしれない、ってなんだよ」

「言葉通りの意味だ」

「見つからないこともあるってこと?」

「そうだ」

「これをやっても見つからなかったらどうするんだよ」

「そのときは、そのときだ」

「んな無責任な」

「今の言葉は聞き捨てならんな」

「そもそもお前はなんで自分にやりたいことがないのか、考えたことが
あるのか?」

「ないけど・・・」

「やりたいことがないというのは、お前が今までずっと自分にウソを
つきながら生きてきた証拠だ」

「親の言うことに従い、先生の言うことに従い、上司の言うことに従い、
そして社会の言うことに従って、すべてを無批判に、自分の頭で考えて
判断することなく生きてきたから、自分が何をしたいのかも分から
ないのだ」

「それは言い換えれば、お前は人生のほとんどを自分の足ではなく、
他の誰かにおんぶされて進んできたということだ」

「いやいや、それはいくらなんでも言い過ぎでしょ」

「俺はちゃんと自分で進路も決めたし、就職先だって自分で選んだよ」

「ではなぜ、やりたいことがないのだ」

「本当に自分で進路も就職も決めたのならば、なぜその進路や就職と
同じようなことをしようと思わないのだ、言ってみろ」

「それは・・・」

「言えぬのか」

「まあよい、では別の質問をしよう」

「お前は大学で何を専攻していた?」

「経営学・・・だけど」

「なぜ経営学を専攻したのだ?」

「経営のことを学んでおけば、就職したときに仕事を進めやすいんじゃ
ないかと思って・・・」

「そんなところだろうな」

「多くの人間、すなわち愚民は、やりたいことよりも、目先にある
お得なことを求める」

「自分が何をやりたいかではなく、今何をやっておくのが(将来の)
自分にとって得なのか、いかに損をしないか、を考えるということだ」

「大学は行かないより行った方がいい、就職はしないよりした方がいい、
福袋は買わないより買った方がいい、割引チケットは使わないより
使った方がいい、ポイントは貯めないより貯めた方がいい・・・
愚かな者はみんなこういう判断で生きている」

「しかし、それは“判断”などと呼べるものではない」

「そもそもなぜ大学は行かないより行った方がいいのだ?いつ誰が
そんなことを決めたのだ?大学に行かずに大成した者は何か損をして
おるのか?」

「それは・・・」

「今言ったようなことはすべて、自分ではない誰かが勝手に決めた
ことでしかない」

「大学も就職も福袋も割引チケットもポイントカードも、すべては
自分ではない誰かによって、仕向けられているだけなのだ」

「その証拠に、本当にお前が理想とする大学や就職先や割引チケット
なんてものはどこにもないはずだ」

「いつだって大学は大学のやり方にこっちが合わせなければならないし、
どれだけ遠くても職場にはこっちから出向かなければならないし、
仕事はどんなものでも渡されれば受けなければならない」

「それらの拘束を、お前は自分で判断して、心から受け入れていた
とでも言うつもりか?」

「いや、でも、俺は就職先は自分で選んで」

「だったらどうしてもっと精一杯やらないのだ、どうして言い訳など
するのだ」

「すべてはお前が自分の判断で選んだことなのであろう」

「自分で選んだことに対して、自分で文句を言うなど、どう考えても
おかしいではないか」

「お前は自分で買ったCDが最悪だったら、そのミュージシャンや
レコード会社に文句を言うのか?」

「好きなら聞く、嫌いなら捨てる、もしくは売る、それだけだろ!」

「それは・・・」

「いい加減、認めたらどうだ」

「私は別にお前をいじめたいワケではない」

「ただ、自分に正直になれ、と言っておるのだ」

「うん・・・」

「お前が正直になりさえすれば、やりたいことなど勝手に見つかる」

「ブレインダンプは、自分に正直になるための1つの方法なのだ」

「・・・悪かったよ、無責任なんて言って」

「俺、今までそんなこと考えたこともなくてさ、なんか軽い気持ちで
考えてた」

「やりたいことがないって、そんなに重大なことだったんだな」

「分かればよい」

「しかし今のような若い時期に私と出会えてよかったな」

「世の中では、このことにすら気付かずに無責任な人生を無責任に
終える者が、ほとんどなのだから」

「いくらでも感謝してよいぞ」

「はいはい、ありがとうございます」

「それだけか?」

「へ?」

「お礼に今日のお昼には煮干しを買って来ますとか、もっと色々あるだろ、
感謝の仕方が」

「それとこれとは話が別だっての」

「うむむ、これだけよい話をしてやったというのに、貧乏人めぇ」

「それよりも早くブレインダンプやろうよ」

「無視するな!」

「分かった分かった、いつもより多めに牛乳入れてあげるから」

「妥協案か、まあいたしかたあるまい、今日はそれで我慢してやる」

 

「で、ブレインダンプって具体的に何やんの?」

「まずは大きめのノートとペンを用意しろ」

「大きめってどれぐらい?」

「特に決まりはないが、A4以上がのぞましい」

「A4のノートならあるけど」

「それでよい」

「あとはペンだ、これは字が書ければ何でもよい」

がさごそ。

「はい、そろえたよ」

「では今から私が出す問いに対して、その答えを可能なかぎり多く
ノートに書き出していけ、それがブレインダンプだ」

「今日1日を使って、これだけを行う」

「これだけ?」

「そうだ」

「そんなの2,3時間で終わるんじゃないの?」

「それはやってみれば分かる、とにかく始めるぞ」

「う、うん」

「まずは今お前の欲しい物をすべて書き出せ」

「欲しい物ね」

ふわふわのベッド、ダイスンの掃除機、ヴィンドウズ8のノートパソコン、
スポーツカー、スマートフォン、新しい包丁、新しい鍋、ニスチルの
ライブチケット、ドリクムのライブチケット、電気ケトル、グッチョの財布、
オメニャの時計、フェナガモの靴、ライキャのデジタル一眼レフカメラ、
オンニョーのスピーカー、ペナソニックのプラズマテレビ、iPed、iPon、
ジャープの電子レンジ、マッサージチェアー、低反発まくら・・・。

「書けたか?」

「うん」

「何個ぐらい書けたのだ?」

「うーんと、3,40個ってとこかな」

「なるほど、この質問についてはそれぐらいでもいいだろう」

「次は今お前が社会に対して貢献したいことをすべて書き出せ」

「社会に対して?」

「そうだ」

「本来は、やりたことをすべて書き出せ、と言いたいところだが、
それでは範囲が広過ぎてお前には何も思い浮かばぬであろう」

「まあね」

「だからこうして私が的をしぼって質問してやっているのだ」

「なるほど、そいつはどうも」

捨て猫をなくしたい、ゴミ問題をなくしたい、貧困層の子供たちを
救いたい、水質汚染を止めたい、被災地でボランティアをしたい、
プログラマーの労働環境を改善したい・・・。

「よしっ、と」

「今回はどれぐらい出せたのだ?」

「10個ぐらいかな」

「それでは少な過ぎるな」

「えぇ、なんでさ、これで全部だよ」

「最低でも30個は出せ」

「そんなに出せないってば」

「とにかく無理矢理でもいいから出せ、それがブレインダンプなのだ」

「分かったよぉ・・・」

アマゾンの密林を守りたい、人身売買をなくしたい、タバコのポイ捨てを
なくしたい、ホームレスをなくしたい・・・。

「ふぅー・・・30個ぴったりだけど、なんとか出せたよ」

「ほれ、出るではないか」

「いいから早く次の問いを出してよ」

「次は死ぬまでに一度でいいからやってみたいことをすべて書き出せ」

「りょうかい!」

バンジージャンプ、スカイダイビング、北極探検、エベレスト登頂、
田舎で畑を耕す、シルク・ガ・ソレイユのショーを見る、ホバマ大統領と
食事をする、1泊30万円のスイートルームに泊まる・・・。

「できたー」

「今度はいくつ出た?」

「40個ぐらいかな」

「よしよし、その調子だ」

「次は生まれ変わったらやってみたいことをすべて書き出せ」

「おぉ、それならいっぱいあるよ」

ピアノを習いたい、ヴァイオリンを習いたい、そろばんを習いたい、
英会話を習いたい、たくさん本を読みたい、東大に入りたい、
演劇を習いたい、ダンスを習いたい、宇宙飛行士になりたい・・・。

「うっし、習いたいことばっかりだけど、40個ぐらい出せたよ」

「うむ」

「ちょっといい?」

「なんだ」

「休憩・・・しない?」

「そうだな、次は昼食をとってからにしよう」

「う、うん」

「バテたか?」

「かなり」

「やってみるとキツイものだろう」

「想像していた以上に疲れるね、これ」

「こんなに頭使ったの、生まれて初めてかも」

「それでいいのだ」

「午後からも続けるから、しっかり休んでおけよ」

「うっす!」

 

・・・1日目の午後・・・

 

「再開するぞ」

「おう」

「今度は無制限にお金が使えるならやってみたいことをすべて書き出せ」

「無制限に?」

「そうだ」

「うっは、それならいっぱい出そうだなぁ」

ジェット機のファーストクラスに乗る、新幹線のグリーン席に乗る、
赤坂のすし屋で10万円の寿司を食べる、高級車でドライブする、
ネズミーランドを貸し切る、都内の一等地に一戸建ての家を建てる、
ブランド品を買いまくる、スーツをオーダーしまくる・・・。

「これで50個ぐらいは出たんじゃないかな」

「十分だ」

「ではこれで最後にしよう」

「かかってこい!」

「もし自分が不老不死だったらやりたいことをすべて書き出せ」

「それって事故で骨が折れたりしても自然治癒するってこと?」

「いちいち設定が細かいな、お前は」

「そこは重要でしょ」

「そういう解釈でも構わぬ」

「よし、分かった」

治安の悪い紛争地域へ行って人の命を救う、FBIに喧嘩を売る、
医療機関に自分の臓器を売りまくる・・・。

「うーん、これまでの答えと色々かぶってくるんだけど」

「そうだろうな」

「かぶっているのも含めて、どれぐらい出せた?」

「20個ぐらい」

「まあいいだろう」

「一旦これで終了だ」

「おわったぁ・・・」

「では晩飯にするぞ、私はもう腹が減って死にそうだ」

「えぇ!?もうそんな時間なの!?」

「時計を見てみろ」

「うわぁ、夜7時って、マジかよぉ・・・」

「わかったら早く用意せよ」

「へいへい」

 

・・・食後・・・

 

「なんかまだ頭がくらくらするんですけど」

「知恵熱だな」

「へー、これが知恵熱なんだぁ、はじめてだよ、こんなの」

「あれだけ集中して考えれば誰だって知恵熱ぐらいは出る」

「そういうもんなのか?」

「そういうものだ」

「ところでブレインダンプはあれで終わりなの?」

「何を言っておる、これからが本番だ」

「えぇー、まだあるのかよー」

「今日書き出したものを、これから3日から1週間ほどかけてずっと
眺め続けてもらう」

「なーんだ、それぐらいなら楽勝だよ」

「ただし」

「ただし?」

「眺めている間はずっと自分に、なぜ、と問いかけること」

「どういうこと?」

「例えばだな、さっき欲しい物を書き出してもらったが、欲しいと
思っているのだから欲しいのにはそれなりの理由があるだろ」

「うーん、まあね」

「それを

なぜテレビが欲しいのか・・・テレビが見たいから

なぜテレビが見たいのか・・・見たい番組があるから

なぜその番組を見たいのか・・・好きな俳優が出ているから

なぜその俳優が好きなのか・・・

という感じで考えていくということだ」

「なんじゃそりゃ」

「現時点ではこの作業の意味は分からなくても構わない」

「とにかく明日からはこれをやってもらう」

「ほぇ」

「分かったら今日はさっさと寝ろ」

「いやいや、まだ夜の9時だよ?」

「明日は4時起きだ」

「4時!?」

「知恵熱が出るほど集中したのだ、すぐに眠れるだろ」

「まあ・・・たしかに」

「ではまたな」

そう言うと、レオン様はそそくさと窓から出て行ってしまった。

 

鉄平が布団を出して寝る準備をしていると、大学時代の友人から
1通のメールが入った。

「よっ、鉄平、明日久々にサークルのみんなで飲み会やるんだけど、
お前も来ないか?」

鉄平が返事を返す。

「悪い、俺の会社、倒産しちゃってさ、今それどころじゃないんだよ」

さらに返事が返ってくる。

「倒産!?マジか・・・うーん、わかった、みんなに事情話して
お前の分ぐらいなんとかしてやるからさ、気分転換も兼ねて出てこいよ、
ちなみに夜6時に三角公園に集合だから」

おどろく鉄平。

すかさず返事を書く。

「えっ、いいのかよ!?分かった、夜6時に三角公園ね、いくいく」

送信。

だが、メールを送ってから、ふと、不安がよぎる。

「さすがに6時にはブレインダンプ、終わるよな・・・」

若干の不安をかかえつつ、鉄平は眠りについた。

つづく。

 

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までどうぞ。

 

ありがとうございました。

杉野

 

追伸1:ブレインダンプの簡単なまとめ。

1.A4以上の大きさのノートとペンを用意する。
2.ノートに欲しい物を書き出す。
3.同じく社会に対して貢献したいことを書き出す。
4.同じく死ぬまでに一度でいいからやってみたいことを書き出す。
5.同じく生まれ変わったらやってみたいことを書き出す。
6.同じく無制限にお金が使えるならやってみたいことを書き出す。
7.同じく自分が不老不死だったらやってみたいことを書き出す。

以上です。

本文には出てきませんでしたが、もし自分でやる場合は、これらを
合計で200個以上書き出すことを目標にしてやって下さい。

特に3・4・5・6あたりを多く出すことが好ましいです。

「やりたいこと」を見つけたい場合は参考にしてくださいな。

 

追伸2:前々回のクイズについて。

あれからまた2通「回答」を頂きました。

メールを送って下さった方、勇気ありますね(笑)

でも答えてくれて、めちゃくちゃ嬉しいです。

ありがとうございます。

僕の「回答」は次回書かせて頂きますので、それまで回答は
受け付けることにします。

どしどし送ってくださいね。

あと、返事はまだ書けていませんが、いただいたメールには個別に
返信させてもらいますので、少々お待ちを。

 

追伸3:ブログ。

メルマガのバックナンバーはブログに貼っておきます。

復習したい場合はいつでも見に来てくださいませ。

http://kokohiru.philosophia-style.com/

 

追伸4:メルマガの登録・解除。

登録・解除は以下のリンク先からどうぞ。

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