ども、杉野です。

今回はニャポレオン・ヒルの第2話目です。

物語の構成や流れが下手なのは自覚していますが、今のところ
書くのが楽しいので、まだ続けると思います。

ウザければ

info●philosophia-style.com

まで「ウザイ」と送ってください。

無視しますので(笑)

「やりたいことをやれ」って言ってる本人が、やりたいことをやって
なかったら説得力ないですからね。

僕は僕でやりたいことをやります。

もちろん“あなたの役に立つカタチで”ね。

ちなみに今回のレオン様もかなり重要なことを言います。

サラッと読み流さないように注意してくださいませ。

それでは、本編をどうぞ。

 

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第4号 猫が教える成功哲学 ニャポレオン・ヒルの秘密(2)

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社員が全員そろったところで、突然、社長が大きな声を出した。

「みんなに大事な話がある」

静まりかえる社内。

みんな社長の方を振り向く。

「実は今、ある企業から莫大な損害賠償を求められている」

「損害賠償!?」(全員)

ざわつく社内。

「私のチームの一人がその企業のページで商品の価格を誤って表記して
しまったことが原因だ」

「誰のミスなんですか?」

篠原の先輩の佐々木が質問する。

「いや、誰がやったとか、何があったとか、もはやそういう問題では
ないんだ」

「どういうことですか?」

「うちの会社は、もう、おしまいなんだ・・・」

「それじゃ分かりませんよ、どういうことなんですか、はっきり言って
下さいよ」

「とてもうちの会社に支払える額じゃないんだよ、賠償金が」

「一体いくらなんですか?」

「聞いても仕方ないだろ、そんなこと・・・」

「聞かなきゃ納得いかないですよ!」

「ふぅ・・・」

社長はため息をついたあと、口を開いた。

「5億だよ」

「5億!?」

社員全員が驚く。

「分かるだろうが、その金額はうちの年商の約10倍だ」

「うちのような弱小企業に、そんな賠償金を支払う力はない」

社員の一人が思わず声をだす。

「え、じゃあ、これから会社はどうなるんですか?」

社長は声のトーンを落としながら答える。

「その件については、みんなが想像している通りだ」

「うちの会社は、今日をもって・・・倒産とする」

社員たちは動揺を隠せない。

「本当にみんなには申し訳ないことをしたと思っている」

「だが幸い、倒産による失業の場合は、雇用保険がすぐにおりる」

「給料3カ月分満額というワケにはいかんだろうが、生活できるぐらいは
もらえるはずだ」

「その間になんとか次の職を見つけてほしい」

「もちろん会社の後処理は、私が責任を持っておこなう」

「もうこれ以上、みんなには迷惑をかけられない・・・」

すると寺田が声を出した。

「じゃあもう帰っていいですか?」

みんな、信じられない、という顔で彼を見ている。

「・・・あぁ」

社長が弱々しく答える。

最初はみんな戸惑っていたが、寺田が帰るのをキッカケに他の社員も
ぞろぞろと帰り始めた。

帰りがけに寺田が鉄平に声をかける。

「お前は帰らないのか?」

「うん、ちょっと社長と話がしたくて」

「ふーん」

「じゃあ俺は先に帰るわ、また何かあったら連絡してくれよ」

「あぁ、わかった、いろいろ、ありがとな」

「おう」

会社に残ったのは鉄平と社長だけになった。

社長は頭をさげ、うなだれている。

「社長、ちょっとだけ、お話聞いてもいいですか?」

「なんだ」

「社長はどうしてこの会社の社長になろうと思ったんですか?」

「俺は・・・別に社長になりたくてなったワケじゃないんだ」

「この会社の立ち上げ当初、ここには俺を含め4人の役員がいた」

「俺はそいつらと一緒にこの会社を立ち上げたが、最初、俺の役職は
取締役で、社長は別のヤツだったんだ」

「けれども、社員が1人増え2人増え会社の仕事が増えていくうちに、
役員同士のコミュニケーションが希薄になっていった」

「それでもしばらくは無事に会社も回っていたが、気付いた時には
役員はみんなそれぞれのやり方や方針で仕事をやっていて、それを
統合することが出来なくなっていたんだ」

「その結果として他の役員は会社をやめ、当時、社内で一番大きな
プロジェクトをやっていた俺が成り行きでこの会社を引き継ぐことに
なったということだ」

「俺はババを引いたってことさ・・・」

「そうだったんですね・・・」

「でも、俺は、社長が社長でよかったと思ってます」

「え?」

「社長はババを引いたと思ってるかもしれませんが、俺はぜんぜん
ババだなんて思ってませんよ」

「だって俺、この会社に育ててもらいましたから」

「まだまだミスばっかりで怒られてばっかりですけど、この会社で
育ててもらわなかったら、俺、絶対もっと酷い人間になってました」

「俺みたいなどうしようもない人間を見捨てずに育ててくれた社長が
いたからこそ、今の俺があるんです」

「だからババを引いたなんて、言わないでください」

「篠原・・・」

「俺、感謝してるんですから、ホントに」

「ありがとう・・・ありがとう、篠原」

社長は涙を流しながら、そう言った。

「もう会社はつぶれちゃいましたけど、何か力になれることがあったら
言ってください」

「俺、後処理でも何でも手伝いますから」

社長が涙をぬぐって顔を上げる。

「あぁ、その気持ちだけで十分だよ」

「これは俺の責任なんだ、あとは俺だけでなんとかする」

「そうしなければケジメがつかないんだ、俺一人でやらさせてくれ」

なぜかこのとき、社長はすがすがしい顔になっていた。

「そうですか・・・分かりました」

「でも俺、この恩はぜったい忘れません」

「社長が引いたのはババじゃなかったって、俺が証明してみせますから、
待っててください」

「分かった、楽しみに待ってるよ」

「はいっ!!!」

 

・・・帰宅後・・・

 

「レオンさまー、レオンさまー!」

「呼んだか?」

「はやっ」

「早くて何が悪い」

「ちょっとびっくりしただけだよ」

「そうか」

「で、何かあったのか?」

「俺、やります!」

「ほう、あと1ヶ月待ってくれと言っていた割には、ずいぶんと決断が
早いではないか」

「実は今日、会社がつぶれちゃったんだ」

「なるほどな、しかしそのわりには顔が明るいな」

「そう?」

「私にはそう見えるが」

「なんていうか・・・いろいろスッキリしたんだよ」

「そうか」

「そういえば就職活動はせぬのか?昨日は再就職するとか何とか言って
おったではないか」

「うーん、それは貯金と雇用保険が尽きそうになったら考える」

「切りつめて生活すればギリギリ半年ぐらいは生きていけそうだし」

「ほう、なんだか1日にして人間が変わったな」

「倒産のショックが大きすぎて頭のねじが飛んだか?」

「それもあるかもね、いきおいで社長にデカイ約束もしちゃったし」

「なんの約束だ?」

「ないしょ」

「ふっ、まあよい、これでやっと私も暇がつぶせる」

「あ、そうそう、しばらく収入がなくなるから、牛乳は当分、低脂肪で
我慢してね」

「おい、それとこれとは関係ないではないか」

「関係あるよ、節約しなきゃいけないんだし」

「うむむ・・・いや、違うぞ、それは断じて違うっ!」

「節約とは、無駄を削るのであって、必要なものを削るのではない!」

「だって牛乳なんて無駄じゃん」

「何を言うか、愚か者め!」

「私がホンモノになる方法を教えるかどうかは、私の気分次第だという
ことを忘れたのか」

「いやぁ、忘れちゃいないけどさぁ」

「だったら牛乳ごときでケチケチするでない」

「へいへい、分かりましたよー」

「分かればよろしい」

 

もふもふ。

「で、これからどうするの?」

「やりたいことをやれ」

「へ?」

「やりたいことを好きなようにやればよい、と言っておるのだ」

「やりたいことって言われてもなぁ・・・」

「ないのか?」

「特には」

「お前、よくそれで、やりますなんて言ったなぁ」

「だって、やるしかないんだもん」

「ではお前は普段、休みの日は何をしておったのだ?」

「うーん、ネコネコ動画を見たり、ニャンチューブ見たり、かな」

「お前はよっぽど猫が好きなのだな」

「まあね」

「それ以外には?」

「他は特に思い浮かばないなぁ」

「そうか、まあよい」

「このままではらちがあかぬので、今日はお前がやると決めただけで、
よしとしておこう」

「あれ、そんなんでいいの?」

「ただし、明日からはビシバシいくから、覚悟しておくように」

「はーい」

「ではもう飯にするぞ」

「もう飯!?」

「早く、牛乳だ、牛乳」

「ホント、食い意地だけは張ってるよな」

鉄平がぼそっとつぶやく。

「何か言ったか?」

「なーんにも」

ここからようやく本編のはじまりである。

 

・・・1日目・・・

 

「おい、こら、目を覚ませ、鉄平」

「んあ?」

「もう朝だぞ」

「へ?・・・って、まだ6時じゃん」

「何を言っておる、もう6時ではないか」

「仕事に行かなくてもいいんだし、もうちょっとゆっくりさせてよ」

「いいから早く起きろ」

「だってぇー」

「だってぇー、じゃない!」

「お前はホンモノを目指すのではなかったのか」

「そうだけどさぁ」

「だったら起きろ」

「うへぇ・・・」

鉄平が布団をたたんでいると、突然ラジオ体操の音声が聞こえてきた。

「ではラジオ体操から始めるぞ」

「な、なんでラジオ体操?」

「体を動かした方が、頭がすっきりするからに決まっておろうが」

「いやいや、そうじゃなくて」

「小さいことばかり気にしてないで、さっさとやれ、ほら」

2人(1人と1匹)がラジオ体操を始める。

腕を前から上げて、せのびの運動からー。

「いち、にー、さん、し・・・・そうそう、昨日は何もしなかった分、
今日はいろいろやってもらうぞ」

「にー、にっ、さん、しっ・・・え?いろいろって?」

「それは体操が終わってから話してやる・・・さーん、しっ」

「へいへい・・・さーん、しっ」

ラジオ体操が終了。

「おぉー、意外といいね、ラジオ体操」

「ホントに頭がすっきりしたよ」

「私が協力しておるのだから効果があるのは当然であろう」

「よし、朝食だ」

「ミルクとかつお節を差し出せ」

「おいおい、なんで勝手にメニューが増えてんだよ」

「いいではないか、お前がかつお節を棚の上に隠しているのは
お見通しなのだ」

「よかねーよ」

「これも貴重な食料なんだから、朝はミルクだけで我慢しろ」

「ぶぅー、これだから貧乏人は」

「いい加減、その悪態なおせよ」

「まあよい、とりあえず食事だ」

 

朝食終了。

「ふぅ、食った食ったー」

もふもふ。

「それでは今日は丸一日、ブレインダンプをやってもらう」

もふもふ。

「ブレインダンプって?」

「ブレインダンプとは、一言で言えば、頭の中をすべて吐き出して
からっぽにする作業のことだ」

「ふーん」

「これをやることによって、お前のやりたいことが見つかる・・・
かもしれない」

「かもしれない、ってなんだよ」

「言葉通りの意味だ」

「見つからないこともあるってこと?」

「そうだ」

「これをやっても見つからなかったらどうするんだよ」

「そのときは、そのときだ」

「んな無責任な」

「今の言葉は聞き捨てならんな」

「そもそもお前はなんで自分にやりたいことがないのか、考えたことが
あるのか?」

「ないけど・・・」

「やりたいことがないというのは、お前が今までずっと自分にウソを
つきながら生きてきた証拠だ」

「親の言うことに従い、先生の言うことに従い、上司の言うことに従い、
そして社会の言うことに従って、すべてを無批判に、自分の頭で考えて
判断することなく生きてきたから、自分が何をしたいのかも分から
ないのだ」

「それは言い換えれば、お前は人生のほとんどを自分の足ではなく、
他の誰かにおんぶされて進んできたということだ」

「いやいや、それはいくらなんでも言い過ぎでしょ」

「俺はちゃんと自分で進路も決めたし、就職先だって自分で選んだよ」

「ではなぜ、やりたいことがないのだ」

「本当に自分で進路も就職も決めたのならば、なぜその進路や就職と
同じようなことをしようと思わないのだ、言ってみろ」

「それは・・・」

「言えぬのか」

「まあよい、では別の質問をしよう」

「お前は大学で何を専攻していた?」

「経営学・・・だけど」

「なぜ経営学を専攻したのだ?」

「経営のことを学んでおけば、就職したときに仕事を進めやすいんじゃ
ないかと思って・・・」

「そんなところだろうな」

「多くの人間、すなわち愚民は、やりたいことよりも、目先にある
お得なことを求める」

「自分が何をやりたいかではなく、今何をやっておくのが(将来の)
自分にとって得なのか、いかに損をしないか、を考えるということだ」

「大学は行かないより行った方がいい、就職はしないよりした方がいい、
福袋は買わないより買った方がいい、割引チケットは使わないより
使った方がいい、ポイントは貯めないより貯めた方がいい・・・
愚かな者はみんなこういう判断で生きている」

「しかし、それは“判断”などと呼べるものではない」

「そもそもなぜ大学は行かないより行った方がいいのだ?いつ誰が
そんなことを決めたのだ?大学に行かずに大成した者は何か損をして
おるのか?」

「それは・・・」

「今言ったようなことはすべて、自分ではない誰かが勝手に決めた
ことでしかない」

「大学も就職も福袋も割引チケットもポイントカードも、すべては
自分ではない誰かによって、仕向けられているだけなのだ」

「その証拠に、本当にお前が理想とする大学や就職先や割引チケット
なんてものはどこにもないはずだ」

「いつだって大学は大学のやり方にこっちが合わせなければならないし、
どれだけ遠くても職場にはこっちから出向かなければならないし、
仕事はどんなものでも渡されれば受けなければならない」

「それらの拘束を、お前は自分で判断して、心から受け入れていた
とでも言うつもりか?」

「いや、でも、俺は就職先は自分で選んで」

「だったらどうしてもっと精一杯やらないのだ、どうして言い訳など
するのだ」

「すべてはお前が自分の判断で選んだことなのであろう」

「自分で選んだことに対して、自分で文句を言うなど、どう考えても
おかしいではないか」

「お前は自分で買ったCDが最悪だったら、そのミュージシャンや
レコード会社に文句を言うのか?」

「好きなら聞く、嫌いなら捨てる、もしくは売る、それだけだろ!」

「それは・・・」

「いい加減、認めたらどうだ」

「私は別にお前をいじめたいワケではない」

「ただ、自分に正直になれ、と言っておるのだ」

「うん・・・」

「お前が正直になりさえすれば、やりたいことなど勝手に見つかる」

「ブレインダンプは、自分に正直になるための1つの方法なのだ」

「・・・悪かったよ、無責任なんて言って」

「俺、今までそんなこと考えたこともなくてさ、なんか軽い気持ちで
考えてた」

「やりたいことがないって、そんなに重大なことだったんだな」

「分かればよい」

「しかし今のような若い時期に私と出会えてよかったな」

「世の中では、このことにすら気付かずに無責任な人生を無責任に
終える者が、ほとんどなのだから」

「いくらでも感謝してよいぞ」

「はいはい、ありがとうございます」

「それだけか?」

「へ?」

「お礼に今日のお昼には煮干しを買って来ますとか、もっと色々あるだろ、
感謝の仕方が」

「それとこれとは話が別だっての」

「うむむ、これだけよい話をしてやったというのに、貧乏人めぇ」

「それよりも早くブレインダンプやろうよ」

「無視するな!」

「分かった分かった、いつもより多めに牛乳入れてあげるから」

「妥協案か、まあいたしかたあるまい、今日はそれで我慢してやる」

 

「で、ブレインダンプって具体的に何やんの?」

「まずは大きめのノートとペンを用意しろ」

「大きめってどれぐらい?」

「特に決まりはないが、A4以上がのぞましい」

「A4のノートならあるけど」

「それでよい」

「あとはペンだ、これは字が書ければ何でもよい」

がさごそ。

「はい、そろえたよ」

「では今から私が出す問いに対して、その答えを可能なかぎり多く
ノートに書き出していけ、それがブレインダンプだ」

「今日1日を使って、これだけを行う」

「これだけ?」

「そうだ」

「そんなの2,3時間で終わるんじゃないの?」

「それはやってみれば分かる、とにかく始めるぞ」

「う、うん」

「まずは今お前の欲しい物をすべて書き出せ」

「欲しい物ね」

ふわふわのベッド、ダイスンの掃除機、ヴィンドウズ8のノートパソコン、
スポーツカー、スマートフォン、新しい包丁、新しい鍋、ニスチルの
ライブチケット、ドリクムのライブチケット、電気ケトル、グッチョの財布、
オメニャの時計、フェナガモの靴、ライキャのデジタル一眼レフカメラ、
オンニョーのスピーカー、ペナソニックのプラズマテレビ、iPed、iPon、
ジャープの電子レンジ、マッサージチェアー、低反発まくら・・・。

「書けたか?」

「うん」

「何個ぐらい書けたのだ?」

「うーんと、3,40個ってとこかな」

「なるほど、この質問についてはそれぐらいでもいいだろう」

「次は今お前が社会に対して貢献したいことをすべて書き出せ」

「社会に対して?」

「そうだ」

「本来は、やりたことをすべて書き出せ、と言いたいところだが、
それでは範囲が広過ぎてお前には何も思い浮かばぬであろう」

「まあね」

「だからこうして私が的をしぼって質問してやっているのだ」

「なるほど、そいつはどうも」

捨て猫をなくしたい、ゴミ問題をなくしたい、貧困層の子供たちを
救いたい、水質汚染を止めたい、被災地でボランティアをしたい、
プログラマーの労働環境を改善したい・・・。

「よしっ、と」

「今回はどれぐらい出せたのだ?」

「10個ぐらいかな」

「それでは少な過ぎるな」

「えぇ、なんでさ、これで全部だよ」

「最低でも30個は出せ」

「そんなに出せないってば」

「とにかく無理矢理でもいいから出せ、それがブレインダンプなのだ」

「分かったよぉ・・・」

アマゾンの密林を守りたい、人身売買をなくしたい、タバコのポイ捨てを
なくしたい、ホームレスをなくしたい・・・。

「ふぅー・・・30個ぴったりだけど、なんとか出せたよ」

「ほれ、出るではないか」

「いいから早く次の問いを出してよ」

「次は死ぬまでに一度でいいからやってみたいことをすべて書き出せ」

「りょうかい!」

バンジージャンプ、スカイダイビング、北極探検、エベレスト登頂、
田舎で畑を耕す、シルク・ガ・ソレイユのショーを見る、ホバマ大統領と
食事をする、1泊30万円のスイートルームに泊まる・・・。

「できたー」

「今度はいくつ出た?」

「40個ぐらいかな」

「よしよし、その調子だ」

「次は生まれ変わったらやってみたいことをすべて書き出せ」

「おぉ、それならいっぱいあるよ」

ピアノを習いたい、ヴァイオリンを習いたい、そろばんを習いたい、
英会話を習いたい、たくさん本を読みたい、東大に入りたい、
演劇を習いたい、ダンスを習いたい、宇宙飛行士になりたい・・・。

「うっし、習いたいことばっかりだけど、40個ぐらい出せたよ」

「うむ」

「ちょっといい?」

「なんだ」

「休憩・・・しない?」

「そうだな、次は昼食をとってからにしよう」

「う、うん」

「バテたか?」

「かなり」

「やってみるとキツイものだろう」

「想像していた以上に疲れるね、これ」

「こんなに頭使ったの、生まれて初めてかも」

「それでいいのだ」

「午後からも続けるから、しっかり休んでおけよ」

「うっす!」

 

・・・1日目の午後・・・

 

「再開するぞ」

「おう」

「今度は無制限にお金が使えるならやってみたいことをすべて書き出せ」

「無制限に?」

「そうだ」

「うっは、それならいっぱい出そうだなぁ」

ジェット機のファーストクラスに乗る、新幹線のグリーン席に乗る、
赤坂のすし屋で10万円の寿司を食べる、高級車でドライブする、
ネズミーランドを貸し切る、都内の一等地に一戸建ての家を建てる、
ブランド品を買いまくる、スーツをオーダーしまくる・・・。

「これで50個ぐらいは出たんじゃないかな」

「十分だ」

「ではこれで最後にしよう」

「かかってこい!」

「もし自分が不老不死だったらやりたいことをすべて書き出せ」

「それって事故で骨が折れたりしても自然治癒するってこと?」

「いちいち設定が細かいな、お前は」

「そこは重要でしょ」

「そういう解釈でも構わぬ」

「よし、分かった」

治安の悪い紛争地域へ行って人の命を救う、FBIに喧嘩を売る、
医療機関に自分の臓器を売りまくる・・・。

「うーん、これまでの答えと色々かぶってくるんだけど」

「そうだろうな」

「かぶっているのも含めて、どれぐらい出せた?」

「20個ぐらい」

「まあいいだろう」

「一旦これで終了だ」

「おわったぁ・・・」

「では晩飯にするぞ、私はもう腹が減って死にそうだ」

「えぇ!?もうそんな時間なの!?」

「時計を見てみろ」

「うわぁ、夜7時って、マジかよぉ・・・」

「わかったら早く用意せよ」

「へいへい」

 

・・・食後・・・

 

「なんかまだ頭がくらくらするんですけど」

「知恵熱だな」

「へー、これが知恵熱なんだぁ、はじめてだよ、こんなの」

「あれだけ集中して考えれば誰だって知恵熱ぐらいは出る」

「そういうもんなのか?」

「そういうものだ」

「ところでブレインダンプはあれで終わりなの?」

「何を言っておる、これからが本番だ」

「えぇー、まだあるのかよー」

「今日書き出したものを、これから3日から1週間ほどかけてずっと
眺め続けてもらう」

「なーんだ、それぐらいなら楽勝だよ」

「ただし」

「ただし?」

「眺めている間はずっと自分に、なぜ、と問いかけること」

「どういうこと?」

「例えばだな、さっき欲しい物を書き出してもらったが、欲しいと
思っているのだから欲しいのにはそれなりの理由があるだろ」

「うーん、まあね」

「それを

なぜテレビが欲しいのか・・・テレビが見たいから

なぜテレビが見たいのか・・・見たい番組があるから

なぜその番組を見たいのか・・・好きな俳優が出ているから

なぜその俳優が好きなのか・・・

という感じで考えていくということだ」

「なんじゃそりゃ」

「現時点ではこの作業の意味は分からなくても構わない」

「とにかく明日からはこれをやってもらう」

「ほぇ」

「分かったら今日はさっさと寝ろ」

「いやいや、まだ夜の9時だよ?」

「明日は4時起きだ」

「4時!?」

「知恵熱が出るほど集中したのだ、すぐに眠れるだろ」

「まあ・・・たしかに」

「ではまたな」

そう言うと、レオン様はそそくさと窓から出て行ってしまった。

 

鉄平が布団を出して寝る準備をしていると、大学時代の友人から
1通のメールが入った。

「よっ、鉄平、明日久々にサークルのみんなで飲み会やるんだけど、
お前も来ないか?」

鉄平が返事を返す。

「悪い、俺の会社、倒産しちゃってさ、今それどころじゃないんだよ」

さらに返事が返ってくる。

「倒産!?マジか・・・うーん、わかった、みんなに事情話して
お前の分ぐらいなんとかしてやるからさ、気分転換も兼ねて出てこいよ、
ちなみに夜6時に三角公園に集合だから」

おどろく鉄平。

すかさず返事を書く。

「えっ、いいのかよ!?分かった、夜6時に三角公園ね、いくいく」

送信。

だが、メールを送ってから、ふと、不安がよぎる。

「さすがに6時にはブレインダンプ、終わるよな・・・」

若干の不安をかかえつつ、鉄平は眠りについた。

つづく。

 

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までどうぞ。

 

ありがとうございました。

杉野

 

追伸1:ブレインダンプの簡単なまとめ。

1.A4以上の大きさのノートとペンを用意する。
2.ノートに欲しい物を書き出す。
3.同じく社会に対して貢献したいことを書き出す。
4.同じく死ぬまでに一度でいいからやってみたいことを書き出す。
5.同じく生まれ変わったらやってみたいことを書き出す。
6.同じく無制限にお金が使えるならやってみたいことを書き出す。
7.同じく自分が不老不死だったらやってみたいことを書き出す。

以上です。

本文には出てきませんでしたが、もし自分でやる場合は、これらを
合計で200個以上書き出すことを目標にしてやって下さい。

特に3・4・5・6あたりを多く出すことが好ましいです。

「やりたいこと」を見つけたい場合は参考にしてくださいな。

 

追伸2:前々回のクイズについて。

あれからまた2通「回答」を頂きました。

メールを送って下さった方、勇気ありますね(笑)

でも答えてくれて、めちゃくちゃ嬉しいです。

ありがとうございます。

僕の「回答」は次回書かせて頂きますので、それまで回答は
受け付けることにします。

どしどし送ってくださいね。

あと、返事はまだ書けていませんが、いただいたメールには個別に
返信させてもらいますので、少々お待ちを。

 

追伸3:ブログ。

メルマガのバックナンバーはブログに貼っておきます。

復習したい場合はいつでも見に来てくださいませ。

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