ども、杉野です。

いつも通り、大体2ヶ月ぶりですね(笑)

今回はニャポレオン・ヒルの続きです。

意外と読まれているようなので、がんばってみました。

サクッと読んでくださいな。

 

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第12号 猫が教える成功哲学 ニャポレオン・ヒルの秘密(3)

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・・・2日目・・・

リリリリリリリッ!!(目覚ましの音)

「うーん、むにゃむにゃ・・・」

「はぁー・・・朝かぁ・・・」

カチッ(目覚ましを止める)

「しかし、4時って早過ぎだよなー・・・」

鉄平はまだ布団にもぐって目をこすっている。

「よっ!」

「うわっ!」

「うわっ!とはなんだ、人を化け物みたいに」

「いっつも急過ぎるんだよ、出てくるのが」

「それにあんたは人じゃないって」

「まあ細かいことは気にするな」

「それより、今日はちゃんと起きていたようだな」

「言われてたからね」

「これからは毎日4時起きだからな、寝坊するなよ」

「えぇ!?毎日なんて聞いてないよ」

「今はじめて言ったのだから当たり前だ」

「いや、そういう意味じゃなくて」

「じゃあどういう意味だ」

「毎日4時起きってのは、ちょっと勘弁してほしいんですけど」

「なぜだ?」

「なぜって、ほら、やっぱり眠いし」

「理由になっておらんな」

「だってぇー」

「だってぇー、じゃない!」

「お前も、早起きは三文の得、という言葉を知っておるだろ」

「この言葉の意味は、やっていればすぐに理解できる」

「とにかく明日からもずっと4時起きだ、忘れんようにな」

「ふぇーい・・・」

 

「ところで、こんな朝早くから何やるのさ」

「瞑想だ」

「はぁ?瞑想?」

「そうだ」

「いやいや、俺、瞑想なんてやったことないよ」

「それは私が教えてやる」

「いや、そういう話じゃなくて、瞑想ってアレでしょ?」

「アレとはなんだ」

「あのー、宗教っぽいヤツでしょ?興味ないんだよねー、そういうの」

「お前は何と勘違いしておるのだ?」

「えっ?みんなで目をつむって、神様にお祈りするんじゃないの?」

「そんなことはせん、目はつむるがな」

「じゃあ瞑想ってなんなの?」

「瞑想というのは、精神をフラットな状態に保つための訓練だ」

「人間は普段、自分の解釈で世界を見ている」

「例えばお前は私のことを猫だと思っているが、実際には私は
猫ではない」

「前々から喋れる猫なんているワケないと思ってたけど、
やっぱりそうだったかぁ」

「そういう話ではない」

「え?」

「<猫>とは、厳密には、目がパッチリしていて、鼻にひげがあって、
4本足で歩くネコ科に属する小型動物のことだ」

「それを人間が勝手に解釈して<猫>と呼んでいるだけで、猫という
何かがこの世に存在するワケではない」

「実際に存在するのは、猫と解釈しうる何か、だということだ」

「何か、ってなにさ」

「そんなことはどうでもよい」

「どうでもよくないよ」

「レオン様が猫じゃないなら、一体何だっていうのさ」

「そういうことをいちいち気にしているから、お前には瞑想が
必要なのだ」

「はぁ?」

「瞑想は今言った、何か、を、何か、のまま見るための訓練だ」

「瞑想をやっていくと、世界のすべてがフラットに見られる
ようになる」

「今まで失敗だと思っていたことが、別の角度から見れば成功であり、
今までムカついていたことが、別の角度から見れば有り難いことである
ということに気付くようになるのだ」

「世界をフラットに見るとは、それをあるがままに捉えるということを
意味する」

「つまり、自分の感情や思考(認識)を働かさずに、世界を世界のまま
見るということだ」

「???」

「混乱しているようだな」

「まあ今のお前の頭では、無理もない」

「ガルゥゥゥ!!」

「はぁ・・・・」

「とにかく今から始めるぞ」

「えぇぇ・・・」

「あ、じゃあ、その前に1つだけ教えてよ」

「なんだ」

「瞑想を続けると、どんな効果があるの?」

「やれば分かる、と言いたいところだが、それぐらいは教えておいて
やろう」

「瞑想を続けていくと、自分の感情や欲望に振り回されなくなる」

「これが最も重要な効果だ」

「どういうこと?」

「例えばお腹が空いても、お腹が空いていること自体がどうでもいいと
思えるようになる」

「ムカつくことや悲しいことが起こっても冷静でいることができ、
物欲や金銭欲、その他の欲も消えていく」

「それって人間じゃなくなっていくってこと?」

「少し違うな」

「より自然に近づいていく、よりシンプルに暮らせるようになっていく、
と言う方が正しい」

「イメージで言えば、天皇や皇太子のような感じだ」

「ほぉ」

「私は彼らには関与しておらぬが、彼らも恐らく瞑想のような
何かしらの修行をしておるのだろう」

「そうでなければ、あのような人間離れした雰囲気をまとうことは
できぬからな」

「つまり俺に天皇や皇太子を目指せと」

「そういうことではない」

「じゃあどういうこと?」

「それはさっき言った通りだ」

「感情や欲望に振り回されなくなれば、それでよい」

「それ以上になりたいか否かは、やってみてからお前自身で考えろ」

「ふーん」

「少しはやる気になったか?」

「まあ少しはね」

「瞑想は、分かることよりも出来ることに意味がある」

「そういうものなのかね」

「そういうものだ」

「さあ、分かったら早速始めるぞ」

「へいへい」

 

「まずは座布団を用意しろ」

「座布団なんて持ってないよ」

「無いなら布団でよい」

「布団を3つ折りにして、その上に座れ」

「座り方は?」

「なんでも構わぬ」

「え?正座じゃなくてもいいの?」

「お前が一番楽だと思う座り方で座ればよい」

「そしてカーテンを閉めて電気を消す」

「これは私がやってやろう」

「あ、ありがとう」

「準備ができたら目をつむって、自分の呼吸、鼻の穴の空気の
出入りに意識を集中する」

「空気が入って出ていく、ただそれだけに意識を向けるのだ」

「このとき、体は可能なかぎり動かさぬように」

「動かしてもいいのは首と背筋のみ」

「どこかが痒くなっても、意識は呼吸に向けたままにする」

「痒みなんてものは、数分もすれば自然に消えていくからな」

「まずは30分続けるぞ」

 

・・・30分経過・・・

 

「よし、姿勢を崩してよいぞ」

「ふぅーーー、足がぁぁぁ・・・」

「しびれたか」

「うん・・・うおっ!!た、立てない・・・」

「ただじっとしているのが、こんなに辛いとは思わなかったよ」

「だろうな」

「それと、呼吸に意識を向けるのも案外難しいんだね」

「2,3分ぐらいは続くんだけど、気がついたら全然別のことを
考えていたりして、ぜんぜん集中できなかった」

「自分の意識がどれだけ散漫か分かっただろ」

「うん、これは認めざるを得ないね」

「人間は普段、そうやって無駄なことばかり考えて生きておる」

「だから無駄なことばかりに右往左往して、まともな判断が
できぬのだ」

「反省しましたー」

「よろしい」

「ではもう一度やるぞ」

「えー、まだやるのー」

「当たり前だ、さっさと準備しろ」

「はーい・・・」

 

この朝、結局鉄平は30分の瞑想を合計3回行った。

 

「おわったー!!!!」

「では朝飯にするぞ」

「おう!!」

「しかし、これでまだ7時だなんて信じらんないよ」

「瞑想してると、時間が経つのが遅いのなんのって」

「30分が2時間ぐらいに感じたよ」

「そうだろうな」

「動画を見ている時間と比べるとどうだ?」

「動画を見てるときは1時間が10分ぐらいに感じるから、
10倍以上の差があるね」

「なぜか分かるか?」

「そんなこと急に聞かれてもなぁ」

「では飯を食っている間に考えておけ」

「うーん・・・」

 

「ごちそうさまでした」

「うむ」

「何か答えは浮かんだか?」

「じぇんじぇん」

「やはりお前の頭では無理か」

「わるーございましたねぇ」

「じゃあ答えは何なのさ」

「無意識か意識か、これが関係しておる」

「動画を見るときには、人間の意識はほとんど働いておらぬ」

「その証拠に、お前は動画を見ても疲れぬだろ」

「うん、あんまり疲れないね」

「瞑想と比べたらどうだ?」

「瞑想の方が圧倒的にキツイよ」

「そう、人間は意識を使うと疲れるのだ」

「瞑想でなくても、ややこしい計算をした後や、テスト勉強をした
後などは疲れているはずだ」

「1時間しか勉強してないのにヘロヘロ、なんてことはざらに
あるだろう」

「たしかに」

「にもかかわらず、動画が何時間でも集中して見続けられるのは、
そこでは意識が使われていないからだ」

「だから疲れない」

「動画というのはよくも悪くも、意識ではなく無意識で、
思考ではなく感覚で捉えられる」

「それによって、何時間でも見続けられるということだ」

「もちろん動画を見る場合であっても、意識を使っていれば
そのかぎりではないが、そもそも意識しなければならないような
動画は人気がない」

「なんで?」

「見ていると疲れるのだから、当然だろう」

「小難しいことを言っている動画が不人気で、どうでもいい
下らない動画が人気なのは、そのためだ」

「これ以上の細かい話は割愛する」

「わかったか」

「大体はね」

「どこが分からんのだ」

「意識を使うと疲れるけど、無意識は疲れない、ってところ」

「なんで無意識は使っても疲れないの?」

「それは、そういうものだから、としか言い様がない」

「そもそも無意識が何なのかさえよく分かっておらぬのだから、
無意識の構造などは未知なる領域だ」

「なるほど」

「さぁ、余談はこれぐらいにして、今日の課題を始めるぞ」

 

「今日は何するんだっけ?」

「ブレインダンプの続きだ、お前はもう痴呆が始まったのか?」

「ひとこと余計だよ」

「まずは昨日のノートを開く」

「はい」

「あとはそのノートを見ながら、そこに書いてあるキーワードの
1つ1つに、なぜ、と問いかけていくだけだ」

「それだけ?」

「そう、それだけ」

「例は昨日言ったから分かるな」

「えっと、どうやるんだっけ?」

「やはりお前、痴呆ではないか?」

「その話はもういいから」

「仕方がない、もう一度説明してやろう」

「その代わり、分かっておるだろうな?」

「はいはい、昼ご飯に煮干しつけてあげるから」

「よろしい」

「口の悪さと食い意地だけは一流だな・・・」

「例えば、英語がペラペラになりたい、というキーワードが
あった場合、

なぜ英語がペラペラになりたいのか・・・外国人の友達が
ほしいから

なぜ外国人の友達がほしいのか・・・自分の世界を広げたいから

なぜ自分の世界を広げたいのか・・・今の自分の世界が
狭過ぎるから

なぜ今の自分の世界は狭過ぎるのか・・・殻に閉じこもって
いるから

なぜ殻に閉じこもっているのか・・・

という風に考えるということだ」

「なぜ、の回数は10回前後を目安にするといいだろう」

「それをやったあと、どうするんだっけ?」

「あとのことは考えなくてもよい」

「とにかく、これを1週間ほど続けるだけだ」

「ふーん」

「分かったら、さっさと始めるぞ」

「うん」

 

・・・昼食・・・

 

「そろそろ昼飯にするぞ」

「あ、うん」

「今回のは昨日の作業ほどには疲れないね」

「朝の瞑想の方がよっぽどキツかったよ」

「そうか」

「何か感じることはあったか?」

「うーん、今のところはまだ無いかなー」

「あ、ただ、意外と自分はいろんなこと考えてるんだな、
ってことは分かったよ」

「今までは単に高級な腕時計を欲しいだけだと思ってたのに、
その理由が自分の人間性に関係していたりして、自分の知らない
自分が見えてきた感じはする」

「それが狙いだからな」

「へ?」

「今の時点でそれが分かっているなら、やりたいことを
見つけるまでに、そう時間はかからぬだろう」

「ホントに?」

「うむ」

「ところで鉄平」

「ん?」

「これはどういうことだ!」

「何が?」

「煮干しは煮干しでも、3本しか入っておらぬではないか!」

「だって、まだ先は長いんでしょ?」

「だったら、こっちも色々節約しないと」

「それとこれとは」

「ウソはついてないもんねー」

「おのれ、貧乏人めー」

「次からはちゃんと本数まで指定してやるからな、覚えておれ!」

「いひひっ」

 

・・・昼食後・・・

 

「さて、再開だ」

「午後はどうするの?」

「同じことをやればよい」

「そっか、分かった」

ここで鉄平は大事なことを思い出した。

「あ、そうそう、そういえば昨日友達から連絡があって、
今日の夕方から出かける予定になったんだけど、問題ないよね?」

「今なんと言った?」

「いや、だから夕方から出かける予定があるんだよ」

「・・・」

「レオン様?」

「・・・お前は何も分かっておらぬようだな」

「え?なにが?」

「友達と2,3時間遊ぶだけでもダメってこと?」

「これだけのことやってるんだから、ちょっとぐらい息抜きしても
いいじゃないか」

「そう思うなら、好きにすればよい」

「それって、行ってもいいってことだよね?」

「お前が行きたいのならな」

「うっしゃー!!」

「じゃあ午後もちゃんと頑張りますので、よろしくお願いします!」

 

・・・夕方・・・

 

「あ、そろそろ時間だから行ってくるね」

「・・・」

レオン様は黙ったままコクリと頷き、そのあとはじっと夕焼けの空を
見上げていた。

 

「うぃっすー、ひさしぶりー!!」

「おぉ、鉄平」

「お前んとこの会社、潰れちゃったらしいな」

「そうなんだよぉ」

「生活は大丈夫なのか?」

「まあ失業保険やら何やらで、なんとかね」

「そかそか」

「あのー、余計なお世話かもしれないけどさ」

「ん?」

「よかったら、うちに来ないか?」

「さすがに俺にはお前を雇う権限はないけど、紹介ぐらいは
してやれるからさ」

「うちは出版会社だけど、鉄平みたいなエンジニアが一人いると
随分作業も効率化されて助かると思うんだよ」

「うーん、それは有り難い話なんだけど」

「うちはどうよ」

「お前、車の免許は持ってるだろ?」

「うん、一応持ってるけど」

「うち運送会社だからさ、免許さえあればなんとかなると思うぜ」

「そこそこキツイ仕事だけど、その分給料も結構もらえるし、
覚えることも少ないから、すぐに慣れるって」

「いや、まあそうかもしれないけど」

「なんか乗り気じゃないみたいだな」

「うん・・・」

「お前らってさ、なんで仕事してんの?」

「はぁ?なにを突然言い出すかと思えば」

「そんなもん、金稼ぐために決まってんじゃん」

「そりゃそうだろうけど、それ以外になんかないの?」

「なんかって?」

「例えば、やりがいとか、楽しさとか、情とか」

「うーん、みんないい人だから情は多少はあるけど、やりがいや
楽しさはそこまで感じてないなぁ」

「安定して金稼げりゃ、とりあえずそれでいいんじゃないの?」

「あ、もちろん楽なのに越したことはないけど」

「そうか」

「じゃあさ、今の会社が潰れたらどうするかって考えてる?」

「なーんも」

「右に同じー」

「私もなんも考えてないわ」

「潰れたら潰れたときに考えればいいんじゃねーの?」

「だって、鉄平も考えてなかったんだろ?」

「まあ確かにそうなんだけど」

「だったら一緒じゃん」

友達の一人がそう言うと、鉄平が突然大声を出した。

「一緒にすんなよ!!!!」

周りのみんなは驚いて固まっている。

「なんでお前ら、そんなにテキトーに生きてて平気なんだよ」

「お前ら本当に、そんな人生でいいのか?」

「自分の人生だぞ?」

「おいおい、なに急に熱くなってんだよ」

「バカみたい」

「いいじゃん、みんなそこそこ楽しくやってんだから」

「人生なんて、なるようにしかならないって」

「今日はそういう堅い話をするために集まったんじゃないんだし、
もっと気楽にやろうぜ」

「お、そういえば俺最近Aってマンガにハマってんだけどさ、
この主人公がまた間抜けで笑えんだよ・・・まずは内容を
教えてよ・・・いや、それがね・・・・・・」

この夜、鉄平は悟った。

自分はもう、彼らとは別の人間なのだ、と。

鉄平の頭に、あのときのレオン様の悲しげな顔が浮かぶ。

「明日、レオン様に謝ろう」

彼はそう心に誓ったのだった。

つづく。

 

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ありがとうございました。

杉野

 

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